米国アマゾンでさえ15ドルはするのに、国内正規盤(CD2枚組み。しかもドイッチェ・グラモフォン、フィリップス、デッカというクラシック・レーベルの三大老舗の名盤からと言うゴージャスな演奏ぞろい)で1250円というショッキング・プライスを展開しているのがアマゾン・ジャパン。
今晩はその中から、「これさえ買えばあなたも一晩でラヴェル通」という飛び切りの二枚組みを紹介します。ラヴェル:作品集 ユニバーサルクラシックASIN: B0007OE294です。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0007OE294/ref=cm_aya_asin.title/249-1244652-9199564?%5Fencoding=UTF8
ラヴェルで最も有名な「ボレロ」はカラヤン指揮ベルリン・フィルの1965年頃の演奏で。カラヤンならではの対旋律の浮沈等興味深いが、サウンドがドイツ的重厚な華美に傾きがち。最後の「初めての転調の驚き」や「輝かしいクライマックスからの崩壊としてのエンディング」も、予定調和的で驚きがない。もっと冷徹でめくるめくしなやかさが欲しい。
その点最高なのが次のピエール・ブーレーズ指揮ベルリン・フィルの新録音。作曲者自身の言う「渦巻く雲の切れ目から、円舞曲を踊る人々の何組かがきらめいて見える。雲は次第に晴れ、広大なホールの中で、円舞曲を踊り旋回する人々と群集にの姿がはっきりと見えてくる。ホールは徐々に明るくなり、シャンデリアの光は燦然ときらめく。1855年頃の宮廷である」という曲想が、クールに、切れ味鋭く、「溜める」べきところは溜め、衝撃的なところは衝撃的に、めくるめく饗宴はめくるめく饗宴として全く自然に演奏される。「クールな熱狂」。最高のラヴェル演奏だ。絶賛に値する。
「ピアノ協奏曲ト長調」「水の戯れ」「夜のガスパール」は天才アルゲリッチの最高の演奏で聞けるし(それだけでも本当にお買い得です)、「スペイン狂詩曲」「亡き王女のためのパヴァーヌ」は我らの小澤の若き日の演奏で。 「ダフニスとクロエ」第2組曲はラヴェル管弦楽集も録音しているアッバード指揮ロンドン交響楽団で安心して聞ける。
ラヴェルの最高傑作のひとつ「ピアノ三重奏曲イ短調」は最高級のワインのコクで楽しめる練達のボザール・トリオの演奏で。この二枚組みセットの目玉商品の一つ。
最後をアッカルドの「ツィガーヌ」で締めくくるのは、私の趣味に合わないが、(ピアノ三重奏曲と入れ替えてほしかったなあ)、いずれにせよたった二枚でラヴェルの主要名曲を、しかも最高級の演奏で聴けるのは嬉しい限りだ。超お薦めです。