人生はたくさんの「さよな
ら」で成り立っている。
けれどもその一言がスマートに言え
たためしはなく、惨めにすくみあが
ってばかりいる。
「さよならに乾杯」と、さりげなく
言えたら、どんなにいいだろう。
別れをそんなふうに優雅に茶化すこ
とができたら・・・・・。
いさぎよくできないのならいっその
こと、女ならなりふりかまわず泣き
喚き、
別れたくないのだ、さよならなんて
いやだとすがりつけば、まだ可愛ら
しいものを、
そんなふうに姿勢を崩してしまうく
らいなら死んだほうがましと、笑え
もしないお粗末なユーモアを一席
披露して、結局泣きたくなるのが
セキのヤマ。
あぁ人生はなんとまあよく、
ウッディ・アレンの映画の世界と
似ていることか。ドジで、哀しくて、
滑稽で・・・・。