“能ある鷹は爪を隠す”という言葉
がある。最近、私の周囲には、この
“能ある鷹”のような女たちが
増えている。
まず彼女たちに共通するのは、男た
ちに伍して仕事をする女たちだ。
多分、男たち以上に才能もあり、
仕事ができるかもしれない。
仕事の場では男も女もない。
時には男以上に冷静である時
だってあるのだろう。
それはさしおいて、もうひとつの
特徴は結婚をしており、家庭を
大事に思い、夫を愛している点。
従って仕事と家庭生活の両方の
ために払う努力、実に涙ぐましい
ものがある。
家事の分担なんて最初から期待し
ていない。
「あたしだって働いているのよ」
の一言は、タブー。口が裂けても
言わない。
そんなことを言えば、ヤブヘビに
なるのはわかりきっているからだ。
私の知っている女性はそれなりの
地位になっている。それでもあら
ゆる努力をして、常にできるだけ、
夫の帰宅より三十分でも十五分で
も早く家に戻っているようにして
いる。
そこへ「ただいま」と帰る夫。
いい気なもので、妻の顔をみるなり、
一日のつもりつもった不満やストレス
を一気にぶちまける。
それを優しく聞いてやり、柔らかく
なだめる。彼女だって、本当はストレ
スをどこかにぶつけたいのだ。
しかしそれをやれば家庭生活は両立
しない。
“一艘の舟に船頭は二人いらない”
これが、本気で働いている女たちの
現場である。日本でも私の周囲には、
そういう女が着実に増えている。