「玄武書房」に勤める馬締光也が、新しく刊行する辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられ、個性豊かな編纂者たちが辞書の世界に没頭していく姿を描いた作品。「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でこの書名が付いている
【あらすじ】
出版社・玄武書房では中型百科事典『大渡海』の刊行計画を進めていた。
営業部員の馬締光也は、定年を間近に控えて後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木に言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。
社内で「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部であったが、
馬締は言葉への強い執着心と持ち前の粘り強さを生かして、辞書づくりに才能を発揮してゆく。
新しい辞書『大渡海』の完成に向け、馬締と編集部の面々の長い長い旅が始まる。
【感想】
現在放映中のNHKドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』を見ている
映画を観たくなり映画を観て、原作を読んでみたくなり三浦しをん/著 『舟を編む』を読む。
辞書は引くもので、辞書ができるまでの工程など一度も考えてみたこともなかった。
辞書を作るのは気の遠くなるような地味な編纂作業の繰り返し、そして気が遠くなるような年月がかかるということ。
用例採集
目新しい言葉、言葉の使い方を書き留める、数種類の辞書と照らし合わせる
↓
辞書に載せる言葉を選ぶ
言葉を追加する、言葉を見直す、言葉を削除する
↓
語釈を考える
とにかく辞書編纂に関わる人たちの、言葉に対するこだわりと熱量には驚かされる。
作業は地味だが一冊の辞書を作るという編集部員の強い執念がヒシヒシと感じられる。
登場人物達も、個性的で味があり魅力的だ。
特に主人公の「まじめさん」、とにかく不器用でコミュニケーションは苦手。
周りには変人扱いされ、目立たず地味だが、辞書編集部では水を得た魚のように、本領を発揮する彼は職人のようだ。
外国の辞書づくりは国の威信をかけた、国で使用する言葉の定義を行う国家事業であるのに対して日本では出版社による民間事業であり、だから莫大なお金がかかるという事を改めて実感させられた。
インターネットやスマホの普及で何でも検索して調べることができるようになり
辞書を引く機会が少なくなったが、この本を読んで辞書を引く、ではなく読んでみたくなり広辞苑(第六版)を購入しました。
我が家にある1番古い国語辞典は主人のものです。
しかも、貰い物。
物をとても大事に使う(捨てられない)主人らしい、物持ちの良さ。
明解国語辞典 改訂新装版 金田一京助 監修
広辞苑は今日届く予定。
老化のため皮脂が少なくなり、指でページをペラペラと捲れるのか?
と、ちょっと気になるが楽しみだ。