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母味

2010-03-07 | ひとりごと

4日まえ、

めまいで倒れてしまったワタシ。

 

布団から一歩も出られずにしんどかった。

 

もちろん、

何も口に出来ず。

水分も取れず、脱水状態。

 

丸一日、寝たきり、、、

 

それでも何か食べなくては、、、

と無理して口にするも、からだが受け付けないのでどうすることも出来ず。

 

トイレにも決死の覚悟で行ってるくらいなので、

当然病院にも行けず。

 

なんとか夜中の受診で点滴をしてもらうことが出来て、

ちょっとは楽になってたのかな。

 

翌日は

少しからだを起こせるくらいになってた。(ほっ)

 

で、

母が

何か食べさせなくてはと、

口に出来そうなものを何かと工夫してこしらえて

枕元に持ってきてくれた。

 

はじめはおかゆ。

それもワタシの注文どおり、ゆる~いの。

ゆっくりと少しずつ口にした。

 

しばらくして、

小さめの真っ白い器に

ほわ~っと香りのたつものを持ってきてくれた。

 

枕元においてくれたのだが、

そのときのワタシの鼻には刺激を感じた。

母は悪がって、

持ち去ろうとしたが

ワタシは母の気持ちを察し、傍らに置いておいてくれる様に頼んだ。

 

少し冷めて、香りが和らいだら、口に出来るとも思ったから。

 

 

そのときは、意外とはやくやってきた。

まだほわ~っとした温かさが残っているうちに、

ワタシはそれを食べることが出来た。

 

ゆる~い薄味の茶碗蒸し。

玉子だけの小さなかわいい茶碗蒸しだった。

香りがきついと思っていたのに、

食べてみると、

味の加減が、食欲のなかったワタシを別人にした。

 

ペロリと食べちゃった。

 

 

昼前には、精がつくようにと、

白身魚と一緒に炊いた長芋をふた切れ。

アボガドはさっぱりとサラダ風にして、ひとくち持ってきてくれた。

これもゆっくりといただいた。

 

この後眠ってしまっていて、

遅いお昼にと

母が用意してくれたのが、

これだった。

 

 

 

 

やさしい味だった。

 

昼前に、おそばを食べたいといってた私の注文を

少しだけ聞いてくれてた。

 

 

じつは、

茶碗蒸しを食べたとき、ワタシは母の偉大さを改めて感じていた。

 

だからこそ午後には、食前にこんな写真が取れるほどの活力も出たのだろう。

 

ワタシの具合を見て、ちょうどいい加減のタイミングを見計らって

食べられそうなものを届けてくれる。

しかも正真正銘の母の味で。

 

小さな頃の、

記憶の母の味とはちょっと違うと思うのに、

でも

確かに

母の味だったのである。

 

 

ワタシの記憶が、間違ってるのかと思うと同時に、

母もあの頃は仕事に追われ、

こんなにゆっくりと料理できなかったのかとも思う。

 

今、ワタシもこの歳になって

母の味をゆっくり、大切に味わうことが出来て、

ほんとにほんとに良かったと思う。

 

 

みくち目を食べたとき、

自然と

涙がこぼれていた。

 

 

ワタシも母になりたいと思った。