左:CASIO fx-502P (1979), 右:CASIO fx-5800P (2007)
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左は1979年に日本では最初のポケット型プログラム関数電卓として発売されたCASIO fx-502P。(定価24,800円)1981年にプログラム・ステップ数を倍増したfx-602Pが発売されるまでパーソナル電卓の最上位機種だった。日本の電卓史上、個人によるプログラミングという新たな世界の幕開けを象徴する高級電卓である。アルミ製のボディの質感は格別だ。(2012年5月27日に追記:日本で最初のパーソナル・プログラム電卓は1976年に発売されたCASIO fx-201Pである。127ステップのプログラムが組めた。)
CASIO fx-502P(51関数、22メモリー、プログラム:256ステップ)
CASIO fx-602P(51関数、22メモリー、プログラム:512ステップ)
CASIO fx-602P (1981)
1980年当時のCASIO電卓カタログ:クリックで拡大
日本初の関数電卓は1972年に36万5千円で発売された CASIO fx-1 である。プログラム可能になるまで7年かかったわけだ。当時の関数電卓には定積分の機能は備わっていなかった。
fx-502Pの登場によって数百から数万回の繰り返し計算が必要な定積分をはじめ、解析的には解けない非線型な方程式/微分方程式の数値解の計算、数値シミュレーションが2万円台のパーソナル電卓で行えるようになった。ちなみに日本初のパーソナルコンピュータ NEC PC-8001 が発売されたのも1979年である。本体価格16万8千円、モニター込みで30万円ほど。当時の大卒初任給は11万円ほどだった。
fx-502Pのマニュアル(英語)
http://www.voidware.com/manuals/fx502p.pdf
そして掲載写真の右側が2007年に発売されたCASIO fx-5800Pで、グラフ関数電卓を除けばこれが現在でも最上位機種である。(仕様詳細)
CASIO fx-5800P(407関数、26~2,398メモリー、プログラム:最大28,500バイト)
fx-5800P製品マニュアル:
http://support.casio.jp/manualfile.php?cid=004007004
外観の比較
新旧2つの電卓を較べてみた。(クリックで拡大する。)
fx-502P液晶パネル
fx-502Pキー配列
fx-5800P液晶パネル
fx-5800Pキー配列
計算速度を比較
計算速度を比較してみた。プログラム方法はそれぞれ30分ほどかけてマスターした。
定積分
を1000分割の「長方形近似」して定積分をそれぞれの電卓にプログラムして実行。fx-502Pでのプログラムは40ステップほどである。WolframAlphaによる計算結果はここをクリック。
計算結果:
fx-502P: 550秒(ループ1回あたり0.55秒。)
fx-5800P: 72秒(ループ1回あたり0.07秒。)
CASIO fx-502Pでの計算例:
1)sin 35°を計算し、その逆(arcsin)を計算して35°に戻るかを確認。
2)cos 35°を計算し、その逆(arccos)を計算して35°に戻るかを確認。
3)tan 35°を計算し、その逆(arctan)を計算して35°に戻るかを確認。
4)10の平方根を計算。
5)10の立方根を計算し、その結果を3乗して10に戻るかを確認。
プログラム言語が違うので単純比較はできないかもしれないが、同じような処理をさせるとfx-5800Pのほうが7.6倍ほど速度が向上していることがわかる。とはいってもパソコンでの処理速度とは比較にならないほど遅いわけであるが。。(参考記事:「いまどきのパソコンの計算能力 (覆面算)」)
fx-502Pのプログラム・ライブラリ(日本語): PDF
CASIO fx-602Pオンライン・シミュレータ
ところでfx-502Pの上位機種のfx-602Pについてはシミュレーターが公開されている。Javaアプレットのほか、Windows、MacOS、LinuxなどのOSのほか(有料だが)Androidスマートフォン用やiPhone用のアプリもあるのだ。日本製の電卓でスマートフォン・アプリが公開されているのはこの機種だけだと思う。さすが名機だけのことはある。
fx-602P Simulator:
http://fx-602p.krischik.com/index.php/Simulator/HomePage
fx-602P Androidスマートフォン用アプリ(有料):プリンタ機能付き
https://play.google.com/store/apps/details?id=net.sourceforge.uiq3.fx602p&feature=apps_topselling_paid
fx-602P Sim for iPhone (有料):プリンタ機能付き
http://www.wulfbecker.de/fx-602p-sim/FX-602P_Sim_for_iPhone.html
操作マニュアルはこちらでお読みいただきたい。
fx-602Pのマニュアル(日本語): PDF
fx-602Pのマニュアル(英語): PDF
fx-602Pのプログラム・ライブラリ(日本語): PDF
fx-502Pのプログラム・ライブラリ(日本語): PDF
関連ページ:fx-502P、fx-602Pには今でもマニアックなファンが多い。
[FX-502P] Contents
http://siv.jp/wifky.cgi?p=%5BFX-502P%5D+Contents
fx-502P
http://cyndi.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/fx502p.html
fx-502Pをいじる
http://www.geocities.jp/rocketamp/fx-502p/fx-502p.htm
Casio FX-502P Geek
http://www.fx502p.pwp.blueyonder.co.uk/
fx-502P(国立科学博物館)
http://sts.kahaku.go.jp/sts/detail.php?&key=900990151012&APage=1094
fx-502P(英語版ウィキペディア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Casio_FX-502P_series
FX-602P Page
http://www.asahi-net.or.jp/~ey5k-myhr/fx602p.htm
歴代のCASIOパーソナル電卓
http://www.epocalc.net/pages/mes_calcs_03.htm
FX Series (Casio)
http://www.dentaku-museum.com/calc/calc/2-casio/5-casiofx/casiofx.html
カシオ電卓の歴史(カシオのサイト内)
http://casio.jp/dentaku/info/history/beginning/
液晶電卓開発物語(シャープのサイト内)
http://www.sharp.co.jp/products/lcd/tech/dentaku/story.html
電卓博物館
http://www.dentaku-museum.com/
関数電卓マニアの部屋
http://teamcoil.sp.u-tokai.ac.jp/calculator/index.html
電卓の歴史
http://www.kogures.com/hitoshi/history/dentaku/index.html
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関連記事:
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今でもfx-602Pをお持ちなのですね。
Casio FA-1やFA-2というカセットインタフェースがあれば、プログラムを602Pに入れることができます。
http://www.nexyzbb.ne.jp/~honhiro/pockecom12.html
FA-1やFA-2は今でもヤフーオークションでときどき出品されます。
いま検索したところ、たまたま1つ出品されていました。オークション終了まであと6日あるようですので、もしよろいしかったらチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
でも、動作確認はされておらず「ジャンク品」として出品されているので、ご注意ください。
CASIO Fx-501P,Fx-502P用 オーディオI/O FA-1
http://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f125277237
Fx-501P, Fx-502P用と書いてありますがfx-602Pでも使えます。
あと、カセットテープの再生機も必要ですね。これはヤフオクからでも、リサイクルショップからでも買うことができると思います。
昔作ったプログラム、StarTrekとかGundamとかカセットに入れてあるのですが、何とか読み出す術はないもんでしょうかね?
日時計の記事もいいなと考えていたところです。ただ買ったものを紹介するだけというのも能がありませんから、どうしようかと思案中。
こういう日時計なら小学生も興味を持つことでしょう。
ttp://store.shopping.yahoo.co.jp/starbook/sundial.html
http://www.astrodea.jp/story/story27.html
う、次は日時計ですかとか書こうかと
思ってました ^_^;
> よく考えてみたらモノグラムですね
× モノグラム
○ ノモグラム
です ^_^;
星座早見盤や日時計もよく考えてみたらモノグラムですね。以下はすごい日時計モノグラムだと思いました。
天文精密日時計
http://www.astrodea.jp/story/story28.html
google で nomogram で画像検索すると、
私も見たことのない感動的なやつが
たくさん出ますねえ。
今日は、ちょっとだけ幸せかも ^_^;
計算機ネタは物理、数学の分野の人には人気がないような気がするので、コメントがつくと嬉しいです。古いタイプの関数電卓のようなものは昔持っていた人には思い入れがありますが、そうでない人にとっては「古い性能の悪い機種なんて必要ない。」と思われるでしょうし。
fx-502PはEROICAさんにとっても思い出の品だったのですね。
僕の父はこういうのには興味なかったですからEROICAさんの子供時代は環境的に恵まれていましたね。
noboshemonさん
今回は外しましたか。(笑)
ノモグラム(計算図表)というものの存在すら僕は知りませんでした。実に美しい器具ですね。
この分野の昔の本を集めるのはマニアック過ぎます。w
学生時代まで、現役で活躍していた記憶があります。
http://www.yuken.co.jp/japanese/pdf/y771775.pdf
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%A2%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0
業界によっては、まだ本が出てますねえ。
http://www.amazon.co.jp/dp/4274101169/
きっと、図表自体に芸術的な価値があるのでしょう...
滅びないうちに基本的な教科書を漁ろうかと思ってはいるのですが。
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JBMCI8/
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JA2VZ8/
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JA5Z9M/
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JA2Y14/
http://www.amazon.co.jp/dp/4339060054/
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JALN02/
http://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339060058/
雑談で失礼いたしました m(_ _)m
FX-502P、父が私の小学校3年生の頃買ってきて、自分も使いながら、日曜日になる度に、私に、本に書いてある、プログラムを打ち込ませていました。
虫取りゲーム、というのもあったのですが、かなり一所懸命入れたのに、どこが間違っていたのか、虫が一匹もいませんでした。
もう一度、最初から入れ直して、やってみたら、虫は網の中にいるのですが、どうしても捕まらなくて、父が、網が破けているんじゃないか?と、冗談を言ったほどでした。
高校時代は、私に父が譲ってくれて、色々な計算に使いました。ただ、プログラム機能はあまり使いませんでした。もう、パソコンの時代になっていたのです。
そういえば、父は、PC-8001も買ってきて、私に、プログラムを打ち込ませていました。インベーダーとか、パックマンとか、野球ゲームなどを楽しんだのを覚えています。
FX-502Pは、2001年に壊れてしまって、それ以後は、やはりカシオのCFX-9850GB PLUS という、グラフィックも出る、電卓を使っています。
アーベルの計算力に関する発見が出来たのは、この大画面の電卓のお陰でした。
それにしても、とねさんは、関数電卓たくさん持っているのですね。
懐かしい機種が映っていたので、思わずコメントしてしまいました。
それでは。