高知白バイ 即時抗告棄却されました
予定通り 高知白バイ事件再審請求審において、不公平な訴訟指揮を執るタケダヨシノリ裁判官の忌避申し立てを高松高裁も却下しました。
高知地裁の棄却文と比較して、ネットに掲載されることを知ってか知らずか少しは丁寧な扱い?
棄却決定文全文を掲載します
本件即時抗告の趣意及び理由は,副主任弁護人作成の即時抗告申立言に記載のとおりであるから,これを引用する。
論旨は,前記再審請求事件の担当裁判長裁判官武田義徳(以下「担当裁判官」という。)に対する忌避の申立てを却下した原決定は違法であるから,これを取り消した上,担当裁判官を忌避するとの裁判を求める,というものである。
そこで,記録を調査して検討するに,裁判官忌避の制度は,裁判官がその担当する事件の当事者と特別な関係にあるとか,訴訟手続外においてすでに事件にっき一定の判断を形成しているとかの,当該事件の手続外の要因により,当該裁判官によっては,その事件について公平で客観性のある審判を期待することができない場合に,当該裁判官をその事件の審判から排除し,裁判の公正及び信頼を確保することを目的とするものであって,その手続内における審理の方法,態度などは,それだけでは直ちに忌避の理由となしえないものであり,これらに対しては異議,上訴などの不服申立方法によって救済を求めるべきであるところ,申立人弁護人の担当裁判官忌避の理由は,当該事件外の事由を主張するものとは解されず,原決定が,再審請求事件の手続内における審理の方法,態度等を非難するものにすぎないと判断したのは相当であり,本件裁判官忌避の申立てを却下した原決定に何ら違法な点はない。 所論は,次のとおり主張する。すなわち,本件忌避申立てにおいて,申立人弁護人は,担当裁判官が,本件再審請求事件の裁判長として,平成25年5月23日の打合せ(三者協議)から予断を待って証拠調べを行わずに最終意見書提出期限を告知して事件を終結させようとしたことが「不公平な裁判をする虞」に当たると主張しているところ,
「予断を待って」という意味は,原決定がいうような「事件の手続内における審理の方法,態度等を非難する
に過ぎ」ないものではなく,同裁判官は,「訴訟手続外においてすでに一定の判断を形成して」おり,同裁判官が裁判長として訴訟進行を主導するのでは,本件再審請求事件において,公平で客観性のある裁判は到底期待できないことを主張しているのである。
本件再審請求事件は,マスコミに取り上げられて広く報道されており,担当裁判官が予断を待っていた可能性は否定できないところ,同裁判官は,本件再審請求事件の一件記録を精査せず,合理的理由なくして,裁量権を逸脱して申立人側が求める証拠調べをしないことを明らかにしているのであって,そのような行為は,すでに訴訟手続外で事件につき一定の判断を形成していることを強く推認させるものである。
同裁判官は,平成25年9月12日の打合せ期日において,副主任弁護人が三宅洋一の証人尋問を求めたのに対し,「専門家に難しいことを証言してもらっても理解できない」旨の発言を行っているのであって,この一事をもってしても,同裁判官が事件につき一定の判断を形成しており,公平で客観性のある裁判が期待できないことの証左であるといえる。
同裁判官が,裁量の範囲を逸脱して「不公平な裁判をする虞」を生ぜしめていないかどうかを判断するに際しては,本件再審請求事件の一件記録を精査して裁判官交替時の審理状況を把握することが必要であるのに,本件忌避中立事件の原審裁判所は,平成25年9月19日に構成され,当日中か遅くとも翌同月20日早朝には中立棄却の判断をしているものと思われるが,それでは,原審裁判所裁判官が本件再審請求事件の記録を精査したとは到底思われず,申立人弁護人からの意見聴取をすることもなく,担当裁判官から事情を聴取したのかも不明のまま,中立言を受け取って即座に却下決定をしているのであり,このような決定は,公正らしさを全く欠いており,判断の内容のみならず,手続的にも違法である,というのである。
そこで検討するに,申立人弁護人は,平成25年9月12日付(同月19日受付)の「裁判官忌避の申立言」において担当裁判官を忌避する理由を主張しているところ,その骨子は,要するに,平成25年5月23日の第 28回三者協議の際に,担当裁判官が,それまでに検察官,弁護人双方から提出されている証拠関係の整理を求め,すでに必要な審理が尽くされているのではないかとして,最終意見をまとめるよう検討されたい旨述べたこと,同年7月22日の第29回三者協議の際に,申立人弁護人が三宅の意見書を準備しており,追って提出予定である旨述べたところ, 担当裁判官は,弁護側の立証を制限する態度をあらわにした上,当事者双方に対し,同年10月末をめどに最終意見書を提出するよう督促し,三宅意見書は次回期限(同年9月12目)までに提出されたい旨述べたこと,弁護人は,同年9月2目に三宅意見書及び川上和裕作成のF山崎回答書への意見書」を提出し,同月1
2目に第30回三者協議が行われ,弁護人は,次回三者協議までに,理由の詳細を記載した書面で三宅の証人尋問請求を行うので,それを踏まえて採否を決せられたい旨要請するなどしたが,担当裁判官は,合議の上,同証拠調べは必要がないので行わない旨を述べるなどしたため, 同裁判官を忌避するに至った,というものである。そうすると,本件忌避の理由は,結局,担当裁判官が,それまでの本件再審請求事件の審理経過を踏まえた上で今後の審理の予定を述べたことに対し,弁護人としては,そのような同裁判官の態度は,従前の裁判体の審理動向と異なるものであって,それまでの審理経過等
を踏まえれば,審理に連続性がなく,明らかに公平,適正を欠き予断を持つものであるとして「不公平な裁判をする虞があるとき」に当たるというものである。 一件記録から窺われるところによると,担当裁判官が裁判長として関与するようになって以降,弁護人としては,それまでの審理経過と異なる審理が行われようとしているとの認識を有しているものと思われる。しかし,
担当裁判官は,それまでの審理経過を踏まえて,すでに,弁護人から相応の証拠が提出されており,これに対する検察官の反論,さらに弁護人の再反論等がされ,それらが証拠として提出されている状況等から,前記のような本件の審理予定を採ることを示したものである。 このような担当裁判官の態度は,明らかに,当該手続内における審理の方法,態度であるというべきであって,前記のとおり,忌避の理由となしえないものというほかない。
所論は失当である。なお,原審裁判所は,担当裁判官がその担当する事件の当事者
と特別な関係にあるとか,訴訟手続外においてすでに事件につき一定の判断を形成しているかといった当該事件の手続外の要因の有無について判断すればよいのであり,本件再審請求事件の記録を精査し,その内容を検討する必
要までは必ずしもないのであって,申し立てられた当日に判断することも不可能であるとはいえず,原審裁判所が違法に記録の検討を省略したなどとは認められない。
また,申立人弁護人に意見聴取をしたり,担当裁判官から事情を聴取するかどうかは原審裁判所の裁量であり,一件記録に照らしても,これらをしなかった原審裁判所の手続が違法であるとはいえない。 よって,本件即時抗告は理由がないから,刑事訴訟法426条1項により,これを棄却することとし,主文のとおり決定する。
平成25年9月30日
高松高等裁判所第1部
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