KSB社員の語り場

近代システムビューロー株式会社(KSB)の社員が交代で何かを語ります。
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将棋AI

2023年06月13日 09時23分55秒 | 名古屋支社からの発信

こんにちは。名古屋支社の仕藤です。

私は将棋が趣味なのですが、つい最近気になるニュースが報道されていました
将棋「学生名人戦」 優勝者が対局中にAIアプリ使用 失格に | NHK | 将棋

将棋を知っている身としては、遂に起きてしまったか...という感想なのですが、一般の方にとっては、
そもそも将棋AIとは?、なぜ対局中に使用するのが問題なの?
という疑問があるかもしれません。そのため以下で解説していきたいと思います。

将棋AIは、KENTO (kento-shogi.com) のようにブラウザ上からオンラインで利用できるものや、スマホのアプリやPCにインストールしてオフラインで利用できるものなどがあり、さまざまな形態で無料で簡単に利用することができます。

機能としては最善手の探索や局面の解析などが可能で、それらは以下のような場面で活用されています。

  1. 研究
    最善手の探索が可能になったことで、将棋の戦術研究はプロやアマチュアを問わず大いに進歩しました。
    具体的な例として、平成初期にはプロから厳しい評価を受けていた戦術がAIによって再評価され、史上最年少の名人が誕生した先の名人戦においても、実際にその戦術がなんと5戦中4戦も使用される結果となりました。

  2. 解説
    局面の解析が可能になったことで、プロの対局の様子を評価値という手段で示すことができるようになりました。
    これにより一般の人々も将棋の中継映像を見ながら、今どちらが有利なのかを容易に理解できるようになったのです。

このように将棋界にとって欠かせない存在となっている将棋AIですが、前提として最新の将棋AIに人間は勝つことができません。
なのでもし対局中に将棋AIの「最善手の探索」機能を使うと、素人が藤井聡太名人にすら勝ててしまいます。(藤井名人はAIの最善手を超えた一手を偶に指しますが、それでも全体を通して最善手を指してくるAIには「今はまだ」勝てないと思います)

将棋AIを使用すれば必ず勝てるため、プロの公式戦やネット将棋問わず対局中の使用は禁止されており、発覚した場合は厳しい処分が下されます(今回の失格者も今後将棋大会への参加禁止、将棋関連施設へは実質出禁になるようです)

このような問題がいつか公式の場でも起こるのではないかと以前から言われていましたが、遂に違反者が出てしまったという状況です。(ちなみにネット将棋では将棋AIによるカンニングは日常茶飯事で、アカウントをBANされる違反者が未だに後を絶ちません...)

今回の将棋AI使用によるルール違反の例を見ると、厳しい罰則だけでは違反行為を完全に止めることは難しいことが分かりました。
AIが身近に利用可能になった現在、ChatGPTを利用したサイバー犯罪や、イラスト生成AIによる著作権侵害など、AI利用によるルール違反が社会問題となっています。
この問題に対処するためには罰則やルールの制定だけでなく、違反行為を即座に検知して利用を停止するようなシステムを導入するなど、ルールを破ること自体を防ぐための対策を講じることが必要だと感じました。

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