あしたはきっといい日

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少しでも

2015-02-09 23:26:00 | 見上げる
内藤正典氏の『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』を読み終えた。非常に興味深い内容だったので、本を開けば比較的速く読み進めることができたけれど、読書に充てる時間を十分に取らなかったので、思ったよりも時間がかかってしまった。

自称イスラム国による2人の日本人殺人事件について、先週の国会では、政府による対応について瑕疵がなかったかという野党の質問に対して、安倍首相はじめ政府は「テロには屈しない」という言葉がまるで免罪符のように使われている印象を受ける。

テロにより問題解決を図るというのは許されないことではある。しかしながら、歴史上の政変、例えば「明治維新」は江戸幕府に対するテロだったと言うこともできるだろうし、「アメリカ独立戦争」はイギリスによる植民地統治に対するテロなのかもしれない。「大化の改新」、「フランス革命」…と、いくらでも例を挙げることが可能だ。それらが「テロ」と言われなかったのは、ただ単にその言葉がなかったからというのではなく、「勝者が歴史をつくる」という古来からの習わし(?)によるものだろう。

テロという手段は許せないものの、そこに至った経緯については考えなければならない。もちろん、そうした経緯の全てまたは一部にテロを起こす側が単に自分たちの利益だけを考えてのものというのもあるだろう。一方で、自分たちの仲間を救うためにやむにやまれずというものもあるだろう。自称イスラム国がどちらかという判断は難しいけど、だからといって一方的に爆撃をするという方法が恒久的な解決に繋がるとは到底思えない。

この本を読み終えて、殺された2人を助ける術はあったのだろうと改めて思った。自称イスラム国側がたとえ残酷な人質の殺害を繰り返しているとはいえ、他国の人質の中には助かった人たちもいる。その差が何だったのかというのは今後の検証により明らかになるのだろうか。政府は「特定機密に該当する」というのを理由として全てを明らかにすることなく、また都合の悪いことは隠すのだろうことが、やはり先週の国会での質疑から見えてくる。

それでも、すでに一部の外国メディアから情報が流れてきている。日本国内のマスコミ(特に大手)にそれを期待するのは難しいものの、そうした情報が流れてくることを歓迎したい。残念ながら人質2人が殺されてしまった今、この間の経緯が明らかになって困る(のではないか…)のは政府だけだろうから。そして、それを知ることによって、政府が進めようとしている緊急時の武力行使が有効な手段なのかを僕らは判断しなければならない。

それでも、この国の大半の人たちには真実は届かないのだろう。ここ数日で発表された世論調査の結果では、この事件を機に内閣支持率が上がっているという。マスコミによる世論操作を疑いたくなるけど、特に意識を持っていなければ「テロには屈しない」と勇ましく言う首相を支持するのだろう。いや、そこに至るまでにはマスコミの情報操作があることは否めない。

いま必要なことは、憎悪と暴力の連鎖を断つことだ。そして、そのためには少しでもお互いを理解し合うことが求められる。世論調査で「わからない」という答えがあるけど、民主主義国でそう答えることは許されないと言ったら、それは言い過ぎだろうか。

そんなことを考えていたら、以前古本屋さんで手に入れ読んだ『オスマン帝国』という本を読み返してみようと思った。とりあえず、現在日本が抱えているもう一つの問題に関する本を読み終えてから。

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