あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

ああ…

2009-02-25 22:36:51 | つれづれ
涙が溢れなくても、心が揺さぶられなくても、いい作品はある。
だが、今回は心に届くものが感じられなかった。

小川糸さんの新刊『喋々喃々』を読んだ。
前作『食堂かたつむり』があまりにも素敵な作品だったことと、物語の舞台が谷根千と呼ばれる、なじみ深い場所だったからだ。

大人の男女の恋が、周囲の人たちや、この街のお店や名物を絡めながら描かれている。着物についての描写には惹かれるものがあった。けれども、主人公がなぜこの相手を選んだのか、読み終えても何とも分からない。

不倫が悪いとは思わないし、むしろ恋愛には賞味期限があると思っている。それは、そう願い行動すれば何度でも伸ばせるものだとも… それよりも、人はある人の所有物であってはならない。

まあ、ろくな恋愛経験もない僕が何を言っても仕方ないが、その男性の存在がリアルに感じられない。もしかしたら、ただ僕が知らないだけで、仕事中に職場を抜け出して女性に会いに行ったり、家庭を持ちながらあちこちおいしいものを食べに行ったりできる人は少なくないのかもしれない。だが、主人公が恋したのは、形からのように思えて仕方がない。わざとその男性を描かなかったのかもしれないが…
まあ、この本が多くの人に受け入れられるのなら、40年間恋に縁がないのも当然なのだと、諦めと納得が得られるような気もする。

いっそのこと、店の写真やマップなども載せてくれれば、エンタテインメント性を持ったガイドブックと割り切ることもできたかもしれない。
まあ、読む前の情報だけで強くおススメしなかっただけ良かったかな…

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