手話通訳者のブログ

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ヤングたいし/Kとの思い出

2015-01-05 05:48:24 | 日記
大学を卒業後、数年、一人暮らしをしていた。
学生時代に知り合い、親友となったK(ろう者)は、隣町の有名企業に就職して、やはり、一人暮らしをしていた。
お互いに一人暮らしだから、週末には互いのアパートに交互に泊まりに行ったりしていた。

Kとはなぜか気が合った。
若さ故か、今なら恥ずかしくてできないような、若者ならではの話も、よく、した。


なあ、K、人を愛するって、どういうことだと思う?


しばらく考えて、Kは、
「信じること」
と答えた。


なるほど・・・信じること、か・・・


黙って考えている俺にKが痺れを切らして、聞いてきた。
「たいしは? どう思ってるんだ?」


許すこと。
「許す・・・なるほど・・・たいしらしいな。その通りかもしれない・・・」
信じることも大切だけどね。
「信じる、ということなら、男同士の友情でもそうだろう。でも男女の愛となると、ちょっと違う。たいしの思考は優れている」
おいおい・・・改まって褒められると、気色悪いな。
「素直に褒めてるんだよ。他意はない」


Kは若い時から、非常に頭がいい。
大変な勉強家で、難しい本をたくさん読んでいる。
その上、頭の回転が速く、多くを語らなくても、ちゃんと理解してくれる。

つくづく、思う。
Kに出会わなかったら、絶対に、手話を身に付けることはできなかった。
Kという人物の魅力に惹かれたからこそ、手話を学んだ。
もし、Kが聴者で韓国人だったら、俺は手話を学ぶことはなく、韓国語の勉強をしていただろう。

手話は言語である。
一つの言語を身に付けるのは、容易ではない。
まず、勉強を続ける動機付けがないと、凡人には言語習得は難しい。
凡人以下の俺が、曲がりなりにも手話通訳者になれたのは、Kのお陰である。

もっとKと話したい。
そういう欲求が強かったからこそ、手話を身につけることができた。



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