言葉のかけら

エルヴィスのレパートリーを日本人の視点から読み取る訳詞プロジェクト「言葉のかけら」

かけら補足資料「Only Believe (Single Version)」

2019-02-23 20:00:00 | かけら補足資料

【 lifted all my burdens 】
今回「Only Believe (Single Version)」の「かけら化」にあたって、「日々是エルヴィス」ではレコーディング情報について「2019年1月のメモ」を記したところですから、やはりここでは「かけら化対象」に関するメモを残すべきです。まあ、これまで度々その「本来のルール」を逸脱してきたのですけど

さて、wikipedia「Only Believe (song)」 などを覗くと

   evangelist(福音伝道者)Paul Raderを作者とする歌

との解説が一般的ですが、あらら、1921年に残された「Only Believe」を見る限り、
エルヴィスが歌った「Only Believe」とは、かけ離れたものでした。
しかし、ここで「かけら経験値」を活かしますと、
「Amazing Grace」的裏話が想像できるのです

   1.奴隷船の船長が「Amazing Grace」を書いた
   2.教会で歌われるようになり、歌詞が追加された
          ↓
   「かけら的解釈」
   だから、前半は主語が「I」で後半は「We」になっている   

なんてな例もありましたし、エルヴィスが歌った歌詞が1921年以降に書かれたのではないかとの「あくまでも推測」ですけど、この段階で見識が深まりました。

で、2012年にLP「ラブ・レター・フロム・エルヴィス」収録曲として「Only Believe」を取り上げた時点では存在しなかった「Keith んとこ」の楽譜を、今回見せてもらったら、2つ目の「あらら」が発生しました。
楽譜には「I felt tired down in.」と書かれているのに、
エルヴィスは「I felt fire down in.」と歌っているようなのです。
レコード・マスターになったテイク4だけでなくテイク3でもそうですし、
唯一のライブ・バージョンとして知られる
1971年1月27日ミッドナイト・ショー」(FTD「The Impossible Dream」に収録)でも「tired」ではなく「fire」になっているのです。もうこうなったらオリジナル・バージョン探しをしてみるしかありません。

1958年~1960年にエルヴィスが兵役に就いていたときに、ドイツへ持ち込んでいたレコードの中に、「Only Believe」のオリジナルとされる「The Harmonizing Four」バージョン(1957年)があったそうで、YouTube(↓)で聞いてみましたら、あらら(3回目)、
「The Harmonizing Four」も楽譜通りには歌っておらず、
「I had a bowed down in.」に聞こえます。意味からすると

   (精神的な)重荷を背負わされて
   (その結果、物理的にも)うつむくことになった

と、楽譜の「tired」よりも、上手いこと歌っている気がしますが、
更に日本語の「頭を垂れる」に結びつけたら、「(結果的に)神に対して」の
「もっと上手いこと」になるのですが、余分な話はここで止めておきます



んで、エルヴィスが1970年6月8日のレコーディングで「fire」と歌った理由について
仮説を許されるとしたら・・・

   エルヴィスは「The Harmonizing Four」バージョンの歌詞が頭の中にあるものの、
   取り寄せた楽譜には「tired」と書かれていたので、韻を踏む「fire」を捻り出した

・・・「The Harmonizing Four」バージョン以上に、エルヴィスに影響を与えたバージョンが
存在しないと思われる状況では、こんなとこでしょうか。

結局のところ、2019年1月の調査で

   1.1921年に残された「Only Believe」と楽譜の歌詞が違う
   2.オリジナルとされる「The Harmonizing Four」バージョンと楽譜の歌詞も違う
   3.エルヴィス・バージョンはどれとも違う

の「3つのあれれ」が発生し、どれひとつとして解決できない状態ですけど
このように必要以上に長々と書き記しておいたのも、
エルヴィス・ファンのひとりとして、また、エルヴィス考古学の提唱者 として、
自ら背負った重荷をすべて降ろした気になりたかったからなんですね (← やっと辿り着いたぁ)

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