窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

夕ぼらけのコクガン

2019-11-19 22:37:42 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

コクガンの調査を初めて15年になります。毎年10月5日前後に姿を見せるコクガン。

北極海に面したツンドラ地帯で繁殖するコクガンは根室地方を通過して行く雁の仲間では

一番遅く野付湾に渡ってきます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ★  夕ぼらけのコクガン  ★    

野付湾だけの観察ではコクガンは11月の初めまで個体数が増えてきます。後発で渡って

くる個体が合流してきてるのでしょう。

湾内全体に広く生息するせいで陸から正確にカウントするのは難しいのですが、観察ポイ

ントを6か所ほどにしてほぼ湾内全域をカバーできる範囲で調べると私のカウントだと

1万羽近くが湾内で生息しています。

全域に生息するのは、ここ10年爆弾低気圧が異常に通過して行ったせいで、湾内に砂が

大量に運び込まれ浅瀬が増えてきたことがあげられそうです。浅くなってアマモの生息範

囲が増加、コクガンがアマモを採り易くなったなったことが大きいようです。

コクガンは太陽が水平線から上がってくる朝ぼらけの時間帯に根室海峡から編隊を組んで

やってきます。面白いことに半島を横切ることなく先端の入り口を通って湾内に入って行

きます。日中は出ていくことはほぼなく、湾内でアマモを採って食べて過ごします。

11月になってからは日没前1時間ころに半島の先端の砂嘴湾に一部が集まってきます。

300羽ほどのことが多いのですが、そこで休んでいます。

10月は夕方、待っていても群れがやってこず、日が沈んでも湾内から出ていかない日が

ありましたが、11月になると集まってきます。集まりだすと必ず、湾内で過ごした

コクガンが出ていくと確信しています。10年以上調べた結論です。

日により最初の群れがやってくる時間に変化があります。何故なのか、これからの課題

ですが早い時と遅い時があります。

平均すると日が水平線に沈む前の10分前後。湾内の奥の方から黒い一群が先端めがけ

やってきます。遠いので翼の音は聞こえませんが、空耳でサッサッと空気を切る音が聞

こえて来そうです。

最初の群れが外洋に消えると私的に緊張します。遠くのどこかで群れが飛び上がり、黒い

塊がやってくるのです。双眼鏡で飛び上がってきそうな方位で探していきます。早く見つ

ければカメラで群れ全体を複数枚撮っておけます。あとで正確に近い数が押さえられます。

大群が次々に現れるのは時間の問題。東の空が暗くなった頃、ほんとどっとやってきます。

300羽、400羽とまとまった群れが西に向かい、湾内から根室の方向へ飛んできます。

茜色になった空を背景に、黒いコクガンの群れの姿が浮き上がります。

いつもこの瞬間が見たくて先端に一人たたずむのです。自分一人の素敵なひとときなんです。



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