先発投手の成績はスポーツ紙に「投手成績」として毎日のように紹介されているので把握できるが、リリーフ投手はわかりづらい。そこで抑え、中継ぎに関係なく、ここまで10試合以上に登板し、防御率2点台までの投手を、防御率順、さらにセイバーメトリクスのK/BB(奪三振÷与四死球)順で紹介してみた(参考までにWHIPも紹介した)。
セのリリーフ投手の成績を見ると、「防御率」がいかに投手の本当の実力を表していないかよくわかる。DeNA快進撃の立役者、山崎康晃は防御率2.21でこの中では17位でしかないが、K/BBは1位、WHIPは3位になる。K/BBは投手としての純粋な能力を表し、1イニングに何人の走者を出したかを表すWHIPはMLBで公式記録として扱われているので、やはり投手の純粋な能力を表す指標になり得る。山崎はその分野でともに優れた数値を示している。
山崎とともに2分野で数値が優れているのは福原忍(阪神)と高木京介(巨人)だが、試合数、イニング数とも山崎が倍近く投げているので同等に扱えない。DeNAの快進撃に山崎が大きく貢献していることがわかる。
――セ・リーグ――
防御率順位
バーネット(ヤクルト) 14試合、16.1回、4被安打、8四死球、10奪三振、防御率0.00
高木京介 (巨人) 10試合、11.1回、5被安打、3四球、14奪三振、防御率0.79
福原 忍 (阪神) 12試合、11回、8被安打、2四球、11奪三振、防御率0.82
田島慎二 (中日) 18試合、20.2回、14被安打、7四球、16奪三振、防御率0.87
呉 昇桓 (阪神) 14試合、15回、15被安打、5四球、13奪三振、防御率1.20
澤村拓一 (巨人) 17試合、20.1回、17被安打、4四死球、15奪三振、防御率1.33
ヒース (広島) 11試合、11.1回、19被安打、5四球、12奪三振、防御率1.59
マシソン (巨人) 16試合、16.1回、11被安打、8四球、11奪三振、防御率1.65
浅尾拓也 (中日) 12試合、10.2回、9被安打、7四死球、13奪三振、防御率1.69
徳山武陽 (ヤクルト) 13試合、16回、15被安打、6四球、17奪三振、防御率1.69
戸根千明 (巨人) 14試合、14.2回、9被安打、6四球、18奪三振、防御率1.84
田中健二朗(DeNA)18試合、19回、18被安打、5四球、16奪三振、防御率1.89
サガースキー (広島) 10試合、8.2回、7被安打、3四球、10奪三振、防御率2.08
ロマン (ヤクルト) 11試合、17回、10被安打、11四球、14奪三振、防御率2.12
古野正人 (ヤクルト) 13試合、16.2回、20被安打、5四死球、9奪三振、防御率2.16
オンドルセク (ヤクルト) 17試合、16.1回、13被安打、5四球、16奪三振、防御率2.20
山崎康晃 (DeNA) 20試合、20.1回、12被安打、4四球、26奪三振、防御率2.21
中澤雅人 (ヤクルト) 16試合、11回、9被安打、4四球、5奪三振、防御率2.45
国吉佑樹 (DeNA) 10試合、10回、8被安打、3四死球、10奪三振、防御率2.70
◇K/BB順位(奪三振÷与四死球)→数値が高いほうが優秀
WHIP(被安打+与四死球)÷投球回数→数値が低いほうが優秀
[註]K/BB→WHIP
山崎康晃 (DeNA)6.50→0.79
福原 忍 (阪神) 5.50→0.91
高木京介 (巨人) 4.67→0.71
澤村拓一 (巨人) 3.75→1.03
国吉佑樹 (DeNA)3.33→1.10
サガースキー (広島) 3.33→1.15
田中健二朗(DeNA)3.20→1.21
オンドルセク (ヤクルト) 3.20→1.10
戸根千明 (巨人) 3.00→1.02
徳山武陽 (ヤクルト) 2.83→1.31
呉 昇桓 (阪神) 2.60→1.33
ヒース (広島) 2.40→2.12
田島慎二 (中日) 2.29→1.02
浅尾拓也 (中日) 1.86→1.50
古野正人 (ヤクルト) 1.80→1.50
マシソン (巨人) 1.38→1.16
ロマン (ヤクルト) 1.27→1.24
バーネット(ヤクルト) 1.25→0.73
中澤雅人 (ヤクルト) 1.25→1.18
「K/BBは数値が高いほど三振が取れて四球が少ないことを示す数値。コントロールがよくて、バットに当てさせないボールを投げられる、投手としての純粋な能力を表す」
「WHIPはMLBでは公式記録として扱われる。1イニングに何人の走者を出したかを表す」(以上、京都純典企画・監修の『プロ野球 本当の実力がわかる本 2015』より)