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小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

東都の入替戦でドラフト1位が激突

2015-11-08 12:39:01 | 2015年大学野球

 昨日(11/7)は高校野球の東京大会準決勝と、午後4時から東都大学リーグ1部2部入替戦、東洋大対駒沢大戦を観ました。高校生は二松学舎大付の打線が東海大高輪台を圧倒し、第2試合に出場した帝京、関東一とくらべても2ランク上くらいの実力差を感じました。選抜に出場したら優勝候補の一角に挙げられると思います。入替戦は圧巻の投手戦でした。駒沢大の今永昇太はDeNAの1位、東洋大の原樹理はヤクルトの1位。小雨がパラつく曇り空にもかかわらず大勢のファンが球場に押し寄せたのは2人の投球への期待が高かったから。それに十分応える力投でした。

 原は最速145キロのストレートより「縦・横」「大・小」「遅・速」を備えたバリエーション豊かなスライダーに140キロ前後のシュートに、カットボール、チェンジアップ、カーブを交えた左右の揺さぶりで、駒沢大を8回、5安打、2四球、1失点に抑えました。この中でも素晴らしかったのがスライダー。とくに左打者の内角をえぐる縦・横のスライダーはプロでも強力な武器になると思います。

 今永はさらによかったです。スピードは1カ月前の中央大戦のリリーフ登板より1キロ遅い146キロが最速。しかし、そんなことは問題になりません。最高なのは前(右)肩が最後まで開かないフォーム。ストレートがいきなり出てくるような錯覚をネット裏から見ていても覚えましたから打者はたまったもんじゃありません。9回投げて3安打、3四球、12三振の快投。スライダー、カーブ、フォークボールがありますが、最もいいのはストレート。12三振中、ストレートで奪ったのが8個でそのうち空振りが6個。フライアウトも多く、27アウト中10個を数えました。DeNAではローテーションの期待をかけてもいいと思います。


1位候補、今永昇太(駒大)が復活登板!

2015-09-12 11:00:19 | 2015年大学野球

 台風で延び延びになっていた東都大学リーグの第2週が昨日の9月11日(金曜)に行われました。その第2試合、各球団のスカウトが延長12回になっても帰りません。これは相当異例なことで、日大の俊足・山崎晃大朗(4年・外野手)がいるから? 来年の候補・京田陽太(3年・遊撃手)がいるから? と最初は事情が飲み込めませんでしたが、ああ、今永が投げるかもしれないから残っているんだ、と納得できました。駒大の左腕・今永昇太(4年)は昨年秋、リーグで2番目に多い11試合に登板(86イニングは圧倒的1位)、7勝2敗、防御率1.67(完投8、完封2、奪三振率9.31)の好成績で最高殊勲選手、最優秀投手、ベストナインの三冠に輝き、明治神宮大会の優勝投手にもなりました。それが一転、今春のリーグ戦は左肩の故障で1試合も登板できませんでした。ドラフトを41日後に控え、複数球団の1位入札が予想される即戦力候補がどんなピッチングを見せるのか、スカウトでなくても興味があります。

 そして日大戦の延長12回裏、今永の名がアナウンスされるとスカウトたちは一斉に録画機器を取り出し、撮影を始めます。果たして復活はどの程度進んだのか――。ストレートは最初から140キロ台中盤を計測し、スタンドは沸きます。しかし146キロを代打の清水弘毅にセンター前に持っていかれ、バント、2つの四球に一塁けん制悪送球で2死満塁のピンチを迎えます。日大・三塁走者の飛び出しでゲームは唐突に終了しますが、何となく気持ちはもやもやしたまま。

 ストレートは最速147キロを計測し、105キロの縦割れカーブ、120キロ台後半の縦スライダーなど、1つ1つのボールのキレは戻っていますが、球筋は一定しません。以前の「下半身→上半身」というピッチングの流れが、昨日はステップと同時に腕を振っていくような間合いのなさ。このへんが実戦の勘でしょう。スカウトはとりあえずひと安心したと思います。私も「入札(複数球団の競合)1位候補」と胸を張って言えますが、今永の気持ちの中のもやもやは消えないでしょう。以前から「(自分の)イメージが独り歩きしている」と自己分析しているくらいですから。

 スカウトは今が悩みの時期です。多和田真三郎(富士大)は右肩の故障で今秋リーグ戦の登板回避を決め、上原健太(明大)、吉田凌(東海大)も春はよくありませんでした。ドラフトは本当に難しい。


東都大学リーグの1部、2部統合報道を聞いて思うこと

2015-09-04 17:30:50 | 2015年大学野球

 東都大学リーグは来春、1部、2部を統合し、12校でリーグ戦を行う可能性を示唆した。現在の2部リーグは拓殖大、東洋大、青山学院大、国士舘大、立正大、東京農業大で構成され、東農大を除く5校は2010年春まで1部に在籍経験がある(東農大は直近では93年に1シーズンだけ1部に在籍)。そして、次の選手たちが“2部OB”と呼んでも差し支えないほど長く2部リーグでプレーし、現役としてあるいはOBとしてドラフトで指名された。

 

 2009年 中澤雅人(中大→トヨタ自動車→ヤクルト1位)

     土本恭平(専大→JR東海→巨人3位)

     松井佑介(東農大→中日4位)

     岡本洋介(国士舘大→ヤマハ→西武6位)

 2010年 美馬 学(中大→東京ガス→楽天2位)

 2011年 十亀 剣(日大→JR東日本→西武1位)

     縞田拓弥(日大→JR東日本→オリックス2位)

 2012年 江村将也(日大→ワイテック→ヤクルト4位)

 2013年 吉田一将(日大→JR東日本→オリックス1位)

     吉田裕太(立正大→ロッテ2位)

     陽川尚将(東農大→阪神3位)

     吉原正平(東農大→日本生命→ロッテ4位)

     岩崎 優(国士舘大→阪神6位)

 2014年 戸根千明(日大→巨人2位)

 

 1部リーグ校と大きな実力差のない2部リーグが2014年以降、神宮第二球場を使用できなくなり、各校のグラウンドで行われるようになり、私などはほとんど観に行かなくなった。東都の最大の魅力は平日開催。日本中でアマチュアの試合がやっているのは東都だけなのでスカウトもスポーツライターもスポーツ紙の記者も、自然と東都の試合に集まってくる。それが今、2部リーグは土、日曜に1試合だけ郊外の各校で行われている。週末は東京六大学をはじめ各リーグ戦が行われ、高校野球だってシーズン中なら行われている。そういう環境下で1試合だけ行う東都2部の試合を見るのはよほどのマニアくらいだ。そういう状況に危機感を持ったのだろう。

 難しいのは試合形式で、昨年から8校によるリーグ戦を導入している首都大学リーグを参考にするようだ。首都は1勝1敗になっても3戦は行わず、勝率で順位を競っている。仮に12校が2戦ずつ戦う総当たりで行われると22試合戦うことになり、いかにも多い。今春は最も試合数が多かった亜細亜大でも13試合だった(首都大学リーグは各校14試合)。1戦ずつ戦う総当たりなら各校の試合数は11試合になりちょうどいいが、優勝を左右する試合は2、3試合見たい。そのへんの調整が難しい。首都と同じように8校による2戦ずつの総当たり制が最も納得がいくが、まだまだ二転三転しそうである。今のままのやり方で、2部リーグだけたとえば大宮公園球場や府中球場のような球場でできないのかなと思う。


田中正義(創価大3年)がNPBの若手から7連続三振

2015-06-30 13:16:14 | 2015年大学野球

 6月27、28、29日の3日間は国際交流試合と侍ジャパン大学日本代表の壮行試合を見るため球場に日参した。27、28日の韓国大学選抜対東都選抜、首都選抜は韓国チームの力不足で見どころの少ない試合だったが、29日の大学日本代表対NPB選抜(18~24歳の二軍)は面白かった。大学日本代表はナンバーワン投手、田中正義(創価大3年)をはじめ東京六大学、東都大学リーグの実力派が出揃い、NPBはプロ1年目の安楽智大(投手・楽天)、高橋光成(投手・西武)、岡本和真(三塁手・巨人)の出場が予定されていたので観客が押し寄せる要素は多分にあった。それにしても2万649人の大観衆は予想を越えた。“知名度の高いプロ・アマ同世代のガチンコ勝負”という部分がファンの支持を得たのだろう。この試合で最も注目されたのは大学日本代表の2番手投手として登板した田中正義のピッチングである。3回から6回までの全投球を再現しよう。

 

◇3回表(年齢は数え)

 4番山川穂高(西武24歳)3ボール-2ストライクから左飛

 5番武田健吾(オリックス21歳)0-2から見逃し三振(結果球は152キロストレート)

 6番石川 貢(西武25歳)0-2から空振り三振(138キロフォークボール)

◇4回表

 7番岡本和真(巨人19歳)1-2から空振り三振(149キロストレート)

 8番谷内亮太(ヤクルト24歳)0-2から133キロフォークボール)

 9番清水優心(日本ハム19歳)1-2から152キロストレート)

◇5回表

 1番大嶺翔太(ロッテ24歳)1-2から149キロストレート

 2番岸里亮佑(日本ハム20歳)3-2から149キロストレート

 3番和田 恋(巨人20歳)0-0から右飛

◇6回表

 4番山川 2-1から三塁ゴロ

 5番武田 2-2から108キロカーブ

 6番石川 1-2から二塁ゴロ

 

 外角に集まりすぎるのが数少ない不満で(人によっては評価される)、あとは球持ちがよく低めに唸りを挙げるストレート、ブレーキの効いたフォークボール、ストレートと最大44キロのスピード差があるカーブなど、緩急とも極めてレベルが高かった。

 田中以外ではNPBの若手に好選手が多かった。塹江敦哉(広島)は今季、ウエスタンリーグの登板がわずか1試合(防御率9.00)とは信じられない快刀乱麻ぶりで、最速149キロは左腕投手としては一軍を含めたプロでも上位に入るだろう。野手では大嶺翔太(ロッテ・二塁手)、岡本和真(巨人・三塁手)、香月一也(ロッテ19歳)の動きのよさやスイングの強さが目立った。大学日本代表の野手では3番吉田正尚(青山学院大4年・左翼手)が打ってはホームラン、守っては1回のホーム補殺(ノーバウンド)、8回に香月が放ったレフトのライナーを横っ跳びに好捕したプレーが光り、二塁ゴロのときの一塁到達タイム4.06秒も及第点。3位くらいの指名があってもおかしくない。


大学選手権のベストナインを決定

2015-06-15 10:53:59 | 2015年大学野球

 大学選手権は早大の優勝で幕を閉じました。早大の圧倒的な攻撃力、さらに地方リーグの充実が印象に残る大会で、決勝の早大対流通経済大戦はその2つのことを象徴する内容でした。全25試合中15試合を観戦し、見られなかったのは奈良学園大、西南学院大、西日本工大、東日本国際大、福井工大、愛媛大、京都学園大の7校。それを断った上で、私なりのベストナインを選出しました。まず候補選手を紹介します。

 

[投手]

井口和明(東京農大北海道オホーツク4年)、熊原健人(仙台大4年)、生田目翼(流通経済大3年)、大竹耕太郎(早稲田大2年)、丸山泰資(東海大3年)、濱口遥大(神奈川大3年)、岡田明丈(大阪商業大4年)、高良一輝(九州産業大3年)

[捕手]

樋越優一(東京農大北海道オホーツク4年)、道端俊輔(早稲田大4年)、宇佐見真吾(城西国際大4年)、太田光(大阪商業大1年)

[一塁手]

山本兼三(上武大3年)、笹田仁(流通経済大3年)、丸子達也(早稲田大4年)

[二塁手]

諸永秀幸(東京農大北海道オホーツク3年)、河原右京(早稲田大4年)、高田脩平(神奈川大4年)、原田拓夢(九州産業大2年)

[三塁手]

茂木栄五郎(早稲田大4年)

[遊撃手]

石井一成(早稲田大3年)、山原泰士(神奈川大4年)、吉持亮汰(大阪商業大4年)、田村強(大阪体育大4年)

[外野手]

周東佑京(東京農大北海道オホーツク2年)、大崎健吾(流通経済大3年)、重信慎之介(早稲田大4年)、秦匠太朗(専修大1年)、濱元航輝(神奈川大3年)

[指名代打]

該当者なし

 

 投手で目立ったのは熊原、生田目、浜口、岡田で、その中でも決勝進出の原動力になり、早大を瀬戸際まで追いつめた生田目(流通経済大)がナンバーワン。躍進する地方リーグの象徴として今後さらに注目される存在になるだろう。ちなみに、流通経済大が所属する東京新大学リーグには大学ナンバーワン投手、田中正義(3年)を擁する創価大もいる。2人の投げ合いは秋の呼び物になりそうだ。

 捕手は前評判では宇佐見が高かったが、今大会の印象は1年生捕手としてドラフト上位候補・岡田明丈をよくリードした太田(大阪産業大)が上回る。浪速決戦となった大阪体育大戦では1回に1.98秒のスローイングで二盗を阻止し、イニング間では最速1.85秒を計測。2安打した打撃でも見るべきものがあった。

 一塁手の候補は九州産業大戦で1回に決勝打となる2ランホームランを放った山本、早大戦で2ランホームランと三塁打を放ち、三塁打のときの三塁到達が右打者としては特筆される11.42を計測した笹田がいるが、優勝した早大の4番打者としてチームを牽引した丸子がナンバーワン。社会人入りが内定していると聞くが、プロの巻き返しを強く望みたい。

 二塁手は早大のキャプテンとしてよくチームをまとめ上げた河原と、九産大の俊足・原田の一騎打ちになったが、二塁打のときの二塁到達7.78秒、バントのときの一塁到達3.59秒を計測した原田に軍配を上げた。河原は優勝インタビューで「リーグ戦前は弱いと言われ悔しかった」と言ったあと感極まって言葉が出てこなかったシーンが強く印象に残った。

 三塁手は今大会MVPの茂木(早大)と比較できる選手がいなかった。茂木は俊足、好守、強打を備えるバランスの取れた好選手で、秋のドラフトでは2、3位の上位指名が予想されている。

 遊撃手は石井、山原、吉持の中で、強肩、俊足で吉持(大阪商大)が抜けていた。神奈川大戦の7回に二盗したときのタイムが3.19秒、二塁走者としてセンターフライでタッチアップして三塁到達したときのタイムが3.50秒――これらは大学屈指のタイムと言っていい。

 外野手は5人の中から大崎(流通経済大)、重信(早大)、濱元(神奈川大)を選出した。大崎は現西武の大崎雄太朗などを兄に持つ3兄弟の末弟で、兄譲りの好打と俊足が魅力のチャンスメーカータイプ。重信と濱元は俊足に最大の落ち味があり、重信は走る意志の強さでは3人の中でもトップだと思う。濱元は2回戦の皇學館大戦で三塁打を放ったときの三塁到達が10.88秒と、私の計測史上では2番目の速さだった(1位は現佐野日大の五十幡亮汰が中学3年時に記録した10.76秒)。

 

[投手] 生田目 翼(流通経済大3年)

[捕手] 太田  光(大阪商業大1年)

[一塁手]丸子 達也(早稲田大4年)

[二塁手]原田 拓夢(大阪商業大2年)

[三塁手]茂木栄五郎(早稲田大4年)

[遊撃手]吉持 亮汰(大阪商業大4年)

[外野手]大崎 健吾(流通経済大3年)

     重信慎之介(早稲田大4年)

     濱元 航輝(神奈川大3年)