大学選手権は早大の優勝で幕を閉じました。早大の圧倒的な攻撃力、さらに地方リーグの充実が印象に残る大会で、決勝の早大対流通経済大戦はその2つのことを象徴する内容でした。全25試合中15試合を観戦し、見られなかったのは奈良学園大、西南学院大、西日本工大、東日本国際大、福井工大、愛媛大、京都学園大の7校。それを断った上で、私なりのベストナインを選出しました。まず候補選手を紹介します。
[投手]
井口和明(東京農大北海道オホーツク4年)、熊原健人(仙台大4年)、生田目翼(流通経済大3年)、大竹耕太郎(早稲田大2年)、丸山泰資(東海大3年)、濱口遥大(神奈川大3年)、岡田明丈(大阪商業大4年)、高良一輝(九州産業大3年)
[捕手]
樋越優一(東京農大北海道オホーツク4年)、道端俊輔(早稲田大4年)、宇佐見真吾(城西国際大4年)、太田光(大阪商業大1年)
[一塁手]
山本兼三(上武大3年)、笹田仁(流通経済大3年)、丸子達也(早稲田大4年)
[二塁手]
諸永秀幸(東京農大北海道オホーツク3年)、河原右京(早稲田大4年)、高田脩平(神奈川大4年)、原田拓夢(九州産業大2年)
[三塁手]
茂木栄五郎(早稲田大4年)
[遊撃手]
石井一成(早稲田大3年)、山原泰士(神奈川大4年)、吉持亮汰(大阪商業大4年)、田村強(大阪体育大4年)
[外野手]
周東佑京(東京農大北海道オホーツク2年)、大崎健吾(流通経済大3年)、重信慎之介(早稲田大4年)、秦匠太朗(専修大1年)、濱元航輝(神奈川大3年)
[指名代打]
該当者なし
投手で目立ったのは熊原、生田目、浜口、岡田で、その中でも決勝進出の原動力になり、早大を瀬戸際まで追いつめた生田目(流通経済大)がナンバーワン。躍進する地方リーグの象徴として今後さらに注目される存在になるだろう。ちなみに、流通経済大が所属する東京新大学リーグには大学ナンバーワン投手、田中正義(3年)を擁する創価大もいる。2人の投げ合いは秋の呼び物になりそうだ。
捕手は前評判では宇佐見が高かったが、今大会の印象は1年生捕手としてドラフト上位候補・岡田明丈をよくリードした太田(大阪産業大)が上回る。浪速決戦となった大阪体育大戦では1回に1.98秒のスローイングで二盗を阻止し、イニング間では最速1.85秒を計測。2安打した打撃でも見るべきものがあった。
一塁手の候補は九州産業大戦で1回に決勝打となる2ランホームランを放った山本、早大戦で2ランホームランと三塁打を放ち、三塁打のときの三塁到達が右打者としては特筆される11.42を計測した笹田がいるが、優勝した早大の4番打者としてチームを牽引した丸子がナンバーワン。社会人入りが内定していると聞くが、プロの巻き返しを強く望みたい。
二塁手は早大のキャプテンとしてよくチームをまとめ上げた河原と、九産大の俊足・原田の一騎打ちになったが、二塁打のときの二塁到達7.78秒、バントのときの一塁到達3.59秒を計測した原田に軍配を上げた。河原は優勝インタビューで「リーグ戦前は弱いと言われ悔しかった」と言ったあと感極まって言葉が出てこなかったシーンが強く印象に残った。
三塁手は今大会MVPの茂木(早大)と比較できる選手がいなかった。茂木は俊足、好守、強打を備えるバランスの取れた好選手で、秋のドラフトでは2、3位の上位指名が予想されている。
遊撃手は石井、山原、吉持の中で、強肩、俊足で吉持(大阪商大)が抜けていた。神奈川大戦の7回に二盗したときのタイムが3.19秒、二塁走者としてセンターフライでタッチアップして三塁到達したときのタイムが3.50秒――これらは大学屈指のタイムと言っていい。
外野手は5人の中から大崎(流通経済大)、重信(早大)、濱元(神奈川大)を選出した。大崎は現西武の大崎雄太朗などを兄に持つ3兄弟の末弟で、兄譲りの好打と俊足が魅力のチャンスメーカータイプ。重信と濱元は俊足に最大の落ち味があり、重信は走る意志の強さでは3人の中でもトップだと思う。濱元は2回戦の皇學館大戦で三塁打を放ったときの三塁到達が10.88秒と、私の計測史上では2番目の速さだった(1位は現佐野日大の五十幡亮汰が中学3年時に記録した10.76秒)。
[投手] 生田目 翼(流通経済大3年)
[捕手] 太田 光(大阪商業大1年)
[一塁手]丸子 達也(早稲田大4年)
[二塁手]原田 拓夢(大阪商業大2年)
[三塁手]茂木栄五郎(早稲田大4年)
[遊撃手]吉持 亮汰(大阪商業大4年)
[外野手]大崎 健吾(流通経済大3年)
重信慎之介(早稲田大4年)
濱元 航輝(神奈川大3年)