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小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

明治神宮大会のベストナイン

2017-11-17 11:09:00 | 2017年高校野球

 明治神宮大会が終わった。前評判の高かった大阪桐蔭の主力がほぼ〝期待外れ″という不測の事態こそあったが、好選手が多く満足できた。私が見た範囲でのベストナイン候補は次の通り。

 

[高校の部 ベストナイン]

(捕手)黒岩陽介(静岡2年)、大松将吾(聖光学院2年)

(一塁)松浪基(創成館2年)

(二塁)藤森涼一(明徳義塾2年)

(三塁)成瀬和人(静岡2年)、杉原健介(創成館2年)

(遊撃)村松開人(静岡2年)

(外野)渡部颯太(明徳義塾2年)

    上田優弥(日本航空石川2年)

    斎藤來音(静岡1年)

(左腕)

(右腕)市川悠太(明徳義塾2年)、根尾昂(大阪桐蔭2年)、柿木蓮(大阪桐蔭2年)

 

 この顔ぶれを見てわかるように投手は候補が少なかった。大阪桐蔭から2人選んでいるが前評判の高さや以前に見た印象からすれば、今大会のピッチングは全然満足できない。野手は静岡の成瀬、村松の強打が最も印象深い。候補が複数いるポジションは最初に紹介した選手が私のイチ押し。左腕投手は該当者なしである。

 大学の部を見た印象は「いよいよ地方の時代が本格的に押し寄せてきたな」ということ。長く大学野球界を牽引してきた東京六大学リーグの覇者、慶応大が初戦、環太平洋大に15で完敗しているが、それが意外なことに感じられない。救いは投手陣に素質を秘めた12年生が多いこと。来年以降の全国の舞台で巻き返しを図ってもらいたい。

 ベストナインは地方リーグの勢いがそのまま反映された。野手で印象深かったのは星槎道都大、日本体育大、環太平洋大、九州共立大の選手たちで、内野手の候補にずらりと名前が並んでいる。岡田拓己、大保優真、高垣鋭次、平良竜哉に外野の沖繁優一、石黒凌はとくに印象が残った。

 投手は日本体育大の東妻勇輔、東洋大の飯田晴海がよかった。飯田は56イニングまでと決めて1回からエンジン全開で飛ばしたが、こういう余力を残さない飯田を見たのは初めて。飯田より長いイニング、打者を圧倒したのが東妻だ。変化球はキレまくり、ストレートは最速152キロの速さと打者近くでひと伸びするようなキレ味を誇り、まったく打たれる気がしなかった。チームメートの松本航も3年なので強さは持続していきそうだ。

 

[大学の部 ベストナイン]

(捕手)西川元気(東洋大4年)

(一塁)片山勢三(九州共立大4年)

(二塁)岡田拓己(環太平洋大3年)、大保優真(星槎道都大4年)

(三塁)高垣鋭次(日本体育大1年)、平良竜哉(九州共立大1年)、原澤健人(東洋大4年)

(遊撃)船山貴大(日本体育大3年)

(外野)沖繁優一(環太平洋大4年)

    石黒凌(星槎道都大4年)

    岩見雅紀(慶応大4年)

(左腕)福田俊(星槎道都大3年)

(右腕)東妻勇輔(日本体育大3年)、松本航(日本体育大3年)、飯田晴海(東洋大4年)、甲斐野央(東洋大3年)、島内颯太郎(九州共立大3年)、大原淳志(環太平洋大2年)、栗林良吏(名城大3年)、関根智輝(慶応大1年)

 


清宮幸太郎(早稲田実・3年)が史上最多、高校通算107号ホームラン

2017-07-30 11:24:05 | 2017年高校野球

728日(金)早稲田実41八王子

 

 清宮幸太郎(早実)が高校通算本塁打の最多記録、107本に残り1本に迫った試合、と言ったほうが通りはよさそうだ。八王子の存在は忘れられがちだが、昨年夏の西東京大会準々決勝では64で早実を破っている。このときは走者がいれば敬遠、走者がいないときは極端に外野陣を右側に寄せるシフトを取って清宮の強打を封じ、その後の準決勝、決勝を勝ち上がって甲子園に出場している。いわば〝同格″と言っていい八王子だが、試合前の評判は「早実有利」が圧倒的だった。

 昨年夏の甲子園でストレートが最速141キロを計測した八王子の先発、米原大地(3年)は1回表、3四球、1死球を出す乱調で1点を献上し、3回は清宮を四球で歩かせたあと、4番野村大樹(2年)に左中間を破る二塁打を打たれ、序盤で2失点を失った。それが4回以降はストレートが速くなり(最速142キロ)、スライダー、チェンジアップなどの変化球もキレを増し、攻略が難しくなった。3回裏には八王子が早実・雪山幹太投手(2年)の暴投で1点を返し、6回を終わって早実21八王子のスコア。この状況で飛び出したのが清宮の高校通算107号ホームランだった。

 昨年同様、八王子の外野陣は右側に極端に寄る〝清宮シフト″を敷き、米原は慎重に低めを突き、ホームランだけは打たれないような配球に徹する。清宮の頭の中を推理すればストライクゾーンを広くし、打てると判断した球はすべて振っていくということだろう。

 第1打席は初球を二塁ゴロ、第2打席はストレートの四球、第3打席は2ボールから1球ストライクを見逃し、4球目をキャッチャーフライ、そしてこの第4打席は2ボールからの3球目、外角低めのチェンジアップを左中間スタンドにソロホームランという流れだった。

 履正社の安田尚憲(3年)も1回戦の常翔啓光学園戦ではボール先行の配球をかいくぐって高校通算60号ホームランを打っているが、このときも6球目の低めチェンジアップを打って両翼97mの外野フェンスを超えている。強打者に共通する合言葉は「失投を見逃さない」だが、清宮、安田の1本は失投とは言えない、難しい球を捉えての節目の1本となった。

 この八王子戦を41で乗り越え、決勝の相手は準々決勝で優勝候補の日大三を05で下した東海大菅生。東海大菅生から見れば3年連続準優勝という悔しい思いがあり、15年は早実に68で敗れているのでこの決勝戦が2年越しの雪辱戦になる。早実有利の前評判だが、先は読めない。


第89回センバツ大会のベストナイン

2017-04-04 12:32:57 | 2017年高校野球

 先日幕を下ろした第89回センバツ大会のベストナインを次のように選出した。

 捕手は優勝校、大阪桐蔭の福井章吾が強肩でナンバーワンだった。毎試合、イニング間の二塁送球で1.81.9秒台を連発する迫力は他の追随を許さない。リード面では滋賀学園との延長15回引き分け(11)、翌々日の再試合(53)でエース三浦の内角攻めを引き出した古賀悠斗(福岡大大濠)が抜きん出る。延長15回の試合ではイニング間の二塁送球で最速1.90秒を計測しているように、強肩でも光る存在。総合力で古賀を選出した

 一塁手は2回戦で姿を消したが清宮幸太郎(早稲田実)がバッティングの迫力で文句なく選出。東海大福岡戦の第3打席で放った高い放物線を描いたフライは外野手の目測を誤らせ、三塁打にしてしまった。12回戦連続で満塁ホームランをかっ飛ばした山下航汰(健大高崎)はまだ2年なので来年以降の巻き返しを期待したい。

 二塁手は北川智也(福井工大福井)が1番打者らしくないフルスイングの迫力で大西翔(日大三)を上回った。1回戦の二塁打のときの二塁到達が8.08秒、2回戦再試合の三塁打のときの三塁到達が11.77秒という脚力も光った。

 三塁手は準優勝校・履正社の3番、安田尚憲を順当に選出。始動がメジャーリーガー級の遅さでもストレートに差し込まれないスイングスピードの速さは圧倒的。すべての球を自分のタイミングで打てる稀有な存在だ。

 好素材が集中した遊撃手では小園海斗(報徳学園)を文句なく選出。打撃がまだ安定しないが、走力と安定した守備力は全国トップクラスで、来年のドラフト上位候補と認定したい。半情冬馬(秀岳館)の走攻守も捨て難かった。

 外野手は左翼、中堅、右翼で分けて選出した。左翼は打撃の安定感で成瀬和人(静岡)が若林将平(履正社)を上回り、中堅は決勝戦で2本のホームランをかっ飛ばした藤原恭大(大阪桐蔭)がそれまでの不振を挽回し、右翼は西浦颯大(明徳義塾)を選出した。

 投手は、右腕は三浦銀二(福岡大大濠)と徳山壮磨(大阪桐蔭)の争いになったが、コントロールで上回る三浦を選出、左腕はスピード、変化球の精度をくらべても川端健斗(秀岳館)が他を圧倒した。

 

<第89回センバツ大会ベストナイン候補者>

(捕手)

◇古賀悠斗(福岡大大濠)、*福井章吾(大阪桐蔭)、篠原翔太(報徳学園)

(一塁手)

◇*清宮幸太郎(早稲田実)、*山下航汰(健大高崎)、木本凌雅(秀岳館)

(二塁手)

◇*北川智也(福井工大福井)、大西翔(日大三)

(三塁手)

◇*安田尚憲(履正社)、廣部就平(秀岳館)、野村大樹(早稲田実)、山田健太(大阪桐蔭)

(遊撃手)

◇*小園海斗(報徳学園)、安里樹羅(健大高崎)、*半情冬馬(秀岳館)

(左翼手)

◇成瀬和人(静岡)、若林将平(履正社)

(中堅手)

◇*藤原恭大(大阪桐蔭)、*鈴木萌斗(作新学院)

(右翼手)

◇*西浦颯大(明徳義塾)、山本ダンテ武蔵(大阪桐蔭)

(右投手)

◇三浦銀二(福岡大大濠)、徳山壮磨(大阪桐蔭)、金久保優斗(東海大市原望洋)

(左投手)

◇櫻井周斗(日大三)、丸山和郁(前橋育英)、川端健斗(秀岳館)