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小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

もっと走れ!高校球児

2013-08-25 12:35:52 | 2013年高校野球

 今年の甲子園大会(選手権)が面白かったのは、8強に進出したのが前橋育英、延岡学園、花巻東、日大山形、鳴門、富山第一という、強豪校とは言い難い顔ぶれだったからでしょう。ただ、打者走者の各塁到達タイムは相当物足りなかったです。
 私が設定する全力疾走の基準は「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」。このタイムを1試合4人以上クリアしたのは8月15日の2回戦で対戦した作新学院(4人5回)と熊本工(4人5回)の2校のみ。次に紹介する2012年とくらべるとその少なさは際立っています。

◇2012年のタイムクリア1試合4人以上
 8/9  常総学院5人7回、杵築4人5回
 8/10 天理4人5回
 8/11 高崎商4人6回
 8/12 旭川工5人5回 光星学院5人5回
 8/13 智弁和歌山4人4回、大阪桐蔭4人5回、新潟明訓6人8回
 8/15 仙台育英4人4回、
 8/16 桐光学園4人4回
 8/17 浦和学院4人6回
 8/18 神村学園4人5回
 8/19 浦和学院4人4回
 8/20 大阪桐蔭4人4回

 熱戦に水を差すようで言いづらかったのですが、脚力という部分で今年の参加校は前年にくらべレベルが低かったです。スポーツ誌紙やTVは美談や物語性ばかり追わず、こういうことをもっと大きな声で言うべきだと思います。

※ホームページ http://kosekijunjihomepage.com/ で選手権の各塁到達タイムを「ストップウォッチランキング」中に掲載しています。気軽にお寄りください。


選手権のベストナインを選出した

2013-08-24 01:02:10 | 2013年高校野球

 選手権は前橋育英が初出場初優勝を飾り、幕を下ろしました。例年にならって今年も私なりのベストナインを選定しました。

 捕手の候補は西川元気(浦和学院3年・右右・180/77)、小野航大(愛工大名電2年・右右・176/69)、森友哉(大阪桐蔭3年・右左・170/80)、日下大輝(鳴門3年・右右・173/75)の4人に、三塁手で出場することが多い内田靖人(常総学院3年・右右・185/88)を加えました。座ったまま二塁にけん制してそのタイムが1.96秒を計測した内田は魅力いっぱいですが、同様に二塁けん制タイムが1.86秒を計測した森が経験、安定感でも上と判断し、選出しました。

 一塁手は園部聡(聖光学院3年・右右・184/87)、木暮騎士(浦和学院3年・右右・175/80)、近田拓矢(大阪桐蔭3年・右右・180/88)の3人の争い。安定感で木暮、長打力で近田に魅力を感じますが、甲子園大会での実績やクセのないバッティングフォームを買って園部を選びました。

 二塁手は技巧に長けた小兵を置くというのが日本式。プロの二塁手を見るとそのほとんどが遊撃手や三塁手出身で、セカンドの“プロパー”というのはあまり聞いたことがありません。しかし、今大会は初戦の有田工戦で評判の本格派、古川侑利から右中間に本塁打を放った常葉菊川の2年・原樹(右左・182/73)が文句なし。目立ちませんが走守も高いレベルにあります。

 三塁手は高田涼太(浦和学院3年・右右・180/80)、滝野要(大垣日大2年・右左・183/70)マッチレースになります。本来なら選抜大会でホームランを量産した高田が順当ですが、有田工・古川から2安打して、一塁到達タイム4.3秒未満を2つ計測した滝野が今大会に関しては上と判断しました。

 遊撃手は大混戦です。そもそも候補者が多すぎます。その中から熊谷敬宥(仙台育英3年・右右・175/70)、奥村展征(日大山形3年・右左・177/72)、土谷恵介(前橋育英3年・右左・174/72)、高濱祐仁(横浜2年・右右・182/82)、水谷友生也(大阪桐蔭3年・右右・176/75)、今田典志(樟南3年・右左・177/68)の6人を候補に選びました。皆魅力がありますが、フットワークの軽快さで熊谷を選びました。奥村、土谷、今田も捨てがたいと最後まで悩みました。

 外野は左・中・右に関係なく選びました。候補は上林誠知(仙台育英3年・右左・184/77)、小林勇介(作新学院3年・右右・182/79)、山根佑太(浦和学院3年・右右・178/75)、浅間大基(横浜2年・右左・182/72)、幸山一大(富山第一2年・右右・191/88)、岩重章仁(延岡学園3年・右右・183/83)の6人。上林はヘッドが深く中に入る悪癖で苦しみましたが、これまでの実績を加味して選出。同様に山根も実績が普通でないので選出。残る1枠はプロの評価が高い岩重にしようか迷いましたが、打つ形のよさと打球の質の高さを買って小林にしました。

 投手は野手8人に対し1人だけでは不公平なので次の5人、飯田晴海(常総学院3年・右右・175/75)、高橋光成(前橋育英2年・右右・188/82)、山岡泰輔(瀬戸内3年・右左・172/70)、安楽智大(済美2年・右左・187/85)、古川侑利(有田工3年・右右・178/77)を選出しました。これらのメンバーで組んだ打順は次の通り。

[2]森 友哉(大阪桐蔭3年・右左)
[6]熊谷敬宥(仙台育英3年・右右)
[8]山根佑太(浦和学院3年・右右)
[3]園部 聡(聖光学院3年・右右)
[9]上林誠知(仙台育英3年・右左)
[7]小林勇介(作新学院3年・右右)
[4]原 樹(常葉菊川2年・右左)
[5]滝野 要(大垣日大2年・右左)
[1]高橋光成(前橋育英2年・右右)
   飯田晴海(常総学院3年・右右)
   山岡泰輔(瀬戸内3年・右左)
   安楽智大(済美2年・右左)
   古川侑利(有田工3年・右右)

 なかなかいいメンバーが組めたと自画自賛しています。


超高校級ショート、渡辺諒(東海大甲府)の凄さ

2013-07-08 21:57:48 | 2013年高校野球

◇7月7日(日曜日)練習試合
東海大甲府8-2狭山ヶ丘(狭山ヶ丘高校グラウンド)

 東海大甲府の超高校級スラッガー・渡辺諒(遊撃手・右投右打・178/80)が見たくて、友人が運転する車に乗って狭山ヶ丘高校グラウンド(近藤潮記念グラウンド)まで行った。ダブルヘッダーの第1試合、4番・遊撃手としてスタメン出場した渡辺は第1打席、一塁ファーストフライに倒れるが、それ以降、中越え二塁打、左中間本塁打、三塁安打と安打をつらねた(第5打席はセンターライナー)。
 驚いたのは第2打席である。外角ストレートを縦スイングで捉えた打球は逆スピンがかかり、120メートルあるセンター金網の下を直撃する二塁打になった。狭山ヶ丘は昨年の埼玉大会、敗れたが準々決勝で聖望学園に2対3まで迫っているように強豪校の1つに数えられている。そのチームの主力投手陣から三塁打が出ればサイクル安打達成という猛打ショーを演じたのである。
 第3打席のホームランはカメラを構えていたので球種はわからないが、強烈に押し込んで左中間の金網の向うに放り込んでいる。レンズ越しでは平凡なフライに見えたが、打球を見失った私を嘲笑うように渡辺は軽やかにダイヤモンドを1周した。
 私は打者を見るとき、どういうタイミングの取り方をしているかまず見る。普通の高校生は差し込まれたくないので早くも遅くもない始動、具体的には投手が足を下ろすタイミングで始動するが、渡辺はそれよりひと呼吸遅く始動する。ヘッドスピードに自信がないとこのタイミングで動くことはできない。
 第2試合も4番・遊撃手でスタメン出場し、結果は四球(二盗)→三塁ゴロ→遊撃ゴロ→二塁ゴロ→2点タイムリー→左直。凡退しても最後のライナーは超高校級の名に恥じないものだった。


関東大会で見た好選手

2013-05-20 07:39:18 | 2013年高校野球

 5月18、19の関東大会で素晴らしかった選手は次の通りだ。
◇投手
三輪昂平(日大三2年・右投右打・176/76)
大場遼太郎(日大三3年・右投右打・167/72)
松井裕樹(桐光学園3年・左投左打・174/75)

◇捕手
西川元気(浦和学院3年・右投右打・180/80)
若月健矢(花咲徳栄3年・右投右打・178/80)

◇内野手
並木亮輔(三塁手・佐野日大3年・右投左打・183/82)
楠本泰史(遊撃手・花咲徳栄3年・右投左打・177/70)

◇外野手
石田鴻太(日大三3年・右投左打・180/78)
重村健太(桐光学園2年・右投左打・172/72)

 5/20も見るつもりなので計3日間、9試合の観戦になる。見られないのは大田原、霞ヶ浦、鷲宮、帝京、常総学院、前橋育英の6校。そういう中での好選手の紹介であることを断わっておく。
 この中では唯一、三輪だけが見たことのない選手なので印象が強く残った。とくに最速148キロに達したストレートは素晴らしく、来年のドラフト上位候補と言って間違いない。詳しいことはホームページの観戦記に今日中にアップするので見ていただきたい。また松井裕樹の観戦記は、やはり今日中に高校野球ドットコムに掲載する予定である。

◇ホームページ http://kosekijunjihomepage.com/
◇高校野球ドットコム http://www.hb-nippon.com/

 


若月健矢(花咲徳栄)の一塁けん制は1.58秒

2013-05-01 16:26:30 | 2013年高校野球

◇4月30日(火曜日)春季埼玉大会・大宮公園球場
花咲徳栄6-4武南

 花咲徳栄の4番・若月健矢捕手(3年・右投右打・178/80)の肩が素晴らしかった。イニング間の二塁送球では初っ端から1.97秒の好タイムを記録し、5回表の2死一塁の場面では電光石火の一塁けん制で走者を殺している(写真は8回の二盗刺のシーン)。このときのタイムは1.58秒。二塁送球のときの強肩の目安は2秒未満だが、一塁(三塁)けん制のときは1.6秒未満が目安となる。4月30日現在、私が計測した中で一、三塁へのけん制球で1.6秒未満を計測したのは次の2人しかいない。

 4/2 (選抜大会)1.47秒 喜多亮太(敦賀気比)が浦和学院戦で計測
 3/27(選抜大会)1.57秒 若月健矢が県岐阜商戦で計測

 プロ野球の試合でも滅多に見られない喜多の1.47秒はさておいて、過去2カ月に2度の1.5秒台を計測した若月の肩は見事というほかない。
 バッティングもいい。第1打席、ノーステップかと思うような小さな動きで盤石のトップを形成し、1ボール2ストライクから投じられたストレートを無駄のないスイングで捉え、鋭いライナーで左前へ運んでいるのだ。
 捕手の当たり年で言われる今季、関東には内田靖人(常総学院)、石川亮(帝京)というプロ注目の好捕手がいるが、ディフェンスに関しては若月が頭1つ抜けていると言っていいと思う。

※浦和学院対狭山ヶ丘戦の観戦記はホームページに掲載しています。http://kosekijunjihomepage.com/