第83回都市対抗は、JX-ENEOSが通算10回目の優勝を飾り、閉幕した。決勝進出10回目にして負けなしの10連勝にはただただ恐れ入るばかり。伝統とか何とか目に見えないものに頼るのは好きではないが、こういう記録を目の前に突きつけられると信じないわけにはいかなくなる。
対戦相手・JR東日本の連覇を食い止める力になったのも伝統。1961、62年にJX-ENEOSの前身、日本石油が都市対抗2連覇を果たしているが、これは50~52年に全鐘紡が達成した3連覇に次ぐ、30~31年の東京倶楽部、38~39年の藤倉電線、46~47年の大日本土木に並ぶ2番目の記録。
試合後の優勝監督インタビューで大久保秀昭監督は、「JR東日本が優勝すれば2連覇は日本石油以来50年ぶりになるので、阻止したかった」と語っている。「伝統」は「執念」と言い換えてもいい実際的な力となり、チームを支えたのである。
さて、全日程を終え、私が東京ドームで見た18試合をもとに、個人的な今大会のベストナインを紹介させてもらう。大会で活躍した・しないは二の次にして、あくまでプロ向きか否かの一点を基準に据えて選んだ。投手は野手とのバランスを取り5人選んだが、1人だけ選べと言われたら吉田一将(JR東日本)を選ぶ。
ホームページhttp://kosekijunjihomepage.com/ の観戦記には「躍動感というと月並みである。投げるのが楽しくて楽しくて仕方がない、という風情である。来年のドラフト候補が1人誕生した」と書いた。正確には来年の「ドラフト上位候補」である。興味のある方は読んでいただきたい。
■私的都市対抗ベストナイン
(捕)小林 誠治(23歳・日本生命)
(一)石岡 諒太(20歳・JR東日本)
(二)宮崎 敏郎(24歳・セガサミー)
(三)瀧 諒太(27歳・東芝)※三菱重工横浜からの補強
(遊)渡邉貴美男(24歳・JX-ENEOS)
(外)井領 雅貴(23歳・JX-ENEOS)
田中宗一郎(25歳・パナソニック)
松島 圭祐(24歳・伯和ビクトリーズ)
(指)井上 晴哉(23歳・日本生命)
(投)三橋 尚文(33歳・JFE東日本)
吉田 一将(23歳・JR東日本)
東明 大貴(23歳・富士重工業)
北原 郷大(24歳・JX-ENEOS)
大城 基志(25歳・JX-ENEOS)