小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

MBSラジオで一塁側アルプススタンドからレポーター役を務めます

2012-04-03 09:58:01 | 2012年センバツ

 今日行われる予定のセンバツ大会決勝、大阪桐蔭対光星学院戦を中継するMBSラジオで、一塁側アルプススタンドからレポーター役を務めます。新人アナウンサーの仕事を奪うようで気恥ずかしいのですが、アルプススタンドからプレーを観る誘惑には勝てませんでした。関西の方は、聴いてみてください。

[註]4/2の大阪桐蔭対健大高崎戦の観戦記は<高校野球ドットコム> http://www.hb-nippon.com/report/788hb-nippon-game2012/8859-20120401001

光星学院対関東一戦の観戦記は<小関順二公式ホームページ> http://kosekijunjihomepage.com/

 


ストップウォッチで検証する各校の走塁

2012-04-01 07:58:45 | 2012年センバツ

 3/31までの26試合中、全力疾走(俊足)の基準タイム「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」を目安に、これから出場する選手がどんな走塁をしてきたのか紹介しよう。

 ■一塁到達タイム(バントのみ)~3.99秒

3/22 [5]3.72秒 竹内  司(健大高崎)

3/29 [1]3.81秒 松原 史弥(愛工大名電)

3/25 [3]3.88秒 中野 良紀(愛工大名電2年)

3/27 [2]3.90秒 岸  直哉(関東一)

3/29 [2]3.93秒 松原 史弥(愛工大名電)

3/25 [2]3.96秒 関口 隆祥(光星学院)

 ■一塁到達タイム(バント以外)~4.09秒

3/27 [1]3.82秒 岸  直哉(関東一)

3/27 [3]3.89秒 岸  直哉(関東一)

3/30 [1]4.01秒 安井 洸貴(大阪桐蔭)

3/29 [3]4.07秒 吉江 将一(関東一)

 ■二塁到達タイム

3/29 [3]7.96秒 中野 良紀(愛工大名電2年)

3/27 [2]8.19秒 大西 友也(大阪桐蔭)

3/30 [4]8.24秒 安井 洸貴(大阪桐蔭)

3/29 [2]8.26秒 木村斗史稀(愛工大名電)

 ■三塁到達タイム

3/30 [4]11.19秒 竹内  司(健大高崎)

3/30 [3]11.51秒 竹内  司(健大高崎)

3/22 [1]11.80秒 小林良太郎(健大高崎)

3/28 [5]11.91秒 大杉 諒暢(光星学院)

3/29 [2]12.17秒 鳥居 丈寛(愛工大名電)

  現在、残っている学校は大阪桐蔭、健大高崎、光星学院、愛工大名電、横浜、関東一の6校。この中で横浜を除く各校がよく走っていることがわかる。とくに目立つのが愛工大名電で、松原史弥、中野良紀、木村斗史稀、鳥居丈寛の4人がここに名をつらねている。

 1、2戦では前述の全力疾走のタイムクリアを宮崎西戦で5人(8回)、履正社戦で5人(7回)が達成し、これは6校中ナンバーワン。投手力、ディフェンス力のバランスもよく、優勝に一番近いところに位置していると言ってもいいだろう。

 個人では健大高崎の竹内司がナンバーワンの走りを見せている。三塁を放ったときの三塁到達11.19秒はこれまでの26試合中、断トツの速さ。1番打者としての出塁率も高く、準決勝で対戦する大阪桐蔭側から見れば、竹内を抑えるか否かで勝敗の行方は変わってくる。

  光星学院、愛工大名電、横浜、関東一の4校は今日から3連戦になって、投手をはじめ各選手の疲労が心配される。複数投手を擁している光星学院がそういう面から見れば有利と言えるが、今日の愛工大名電戦を勝たなければ、「連戦」も「有利」も関係ない。各校の実力は紙一重の差。どこが勝ち上がるか神のみぞ知るところである。

 [註]ここまで26試合のストップウォッチ・ランキングをホームページで紹介しています。

http://kosekijunjihomepage.com/


今大会注目した49人は誰だ

2012-03-31 10:49:01 | 2012年センバツ

 春・夏の甲子園大会1回戦が終わると、日刊スポーツ紙上で出場選手中のドラフト候補を文章と表で紹介している。いつから始めたのか覚えていないが、10年くらいになると思う。以前は関東版だけで、関西に滞在している私は読めなくて寂しかったが、数年前から関西でも掲載してくれるようになり、楽しめるようになった。今年は3/28付けの同紙に掲載された。表だけを紹介しよう。

 ◆小関順二が選ぶセンバツ注目選手◆

[投手]

 二階堂誠治 女満別   右投右打 176/73

 大谷 翔平 花巻東   右投左打 193/85

※大谷 樹弘 作新学院  右投左打 180/85

※佐藤 拓也 浦和学院  右投左打 171/72

 柳  裕也 横浜    右投右打 179/73

 中村 祐太 関東一   右投右打 181/75 2年

 濱田 達郎 愛工大名電 左投左打 183/88

 三浦浩太郎 三重    右投右打 172/80

 藤浪晋太郎 大阪桐蔭  右投右打 197/88

 山本 竜也 天理    右投右打 179/69

※青山 大紀 智弁学園  右投左打 183/73

 西坂  凌 鳥取城北  右投右打 185/82

 柿澤 貴裕 神村学園  右投左打 177/77

 

[捕手]

 田村 龍弘 光星学院  右投右打 173/78

 山下 勇斗 作新学院  右投右打 171/73 2年

 乾  駿斗 履正社   右投右打 180/81

 中村雄太朗 愛工大名電 右投両打 175/71

 森  友哉 大阪桐蔭  右投左打 169/80 2年

 

[内野手]

 佐藤 星七 北照    右投左打 175/69

 武田 聖貴 光星学院  右投左打 170/75

 北條 史也 光星学院  右投右打 178/73

 園部  聡 聖光学院  右投右打 182/83 2年

 高山 良介 作新学院  右投右打 180/85

 石井 一成 作新学院  右投左打 179/73

 山内 達也 横浜    左投左打 181/85

 中野 良紀 愛工大名電 右投左打 178/74 2年

 西川 龍馬 敦賀気比  右投左打 177/65

 藤原 隆蒔 近江    右投右打 177/61

 熊本  颯 履正社   右投右打 180/70

 田端 良基 大阪桐蔭  右投右打 175/85

 古田  塁 天理    右投右打 175/77 2年

 溝脇 隼人 九州学院  右投左打 178/63

 

[外野手]

 菅原 賢人 女満別   右投右打 172/83

 小林英太郎 北照    右投左打 180/84

 天久 翔斗 光星学院  右投左打 166/65

 竹内  司 健大高崎  右投左打 178/70

 石橋  司 浦和学院  左投左打 182/75

 田原 啓吾 横浜    左投左打 181/84

 沖田 勝俊 履正社   右投右打 176/85 2年

 小野 耀平 智弁学園  右投右打 178/75

 岡崎 賢也 高知    右投左打 171/67

 萩原 英之 九州学院  右投左打 177/80

[註]※印は野手として評価

  2回戦以降、彼ら以外でもいい選手がいたので追加紹介する。

  城間 竜兵 光星学院・内野手  右投右打 171/75

 長坂 拳弥 健大高崎・捕手   右投右打 175/72

 笹川 晃平 浦和学院・外野手  右投右打 182/75

 木村斗史稀 愛工大名電・内野手 右投左打 166/68

 長谷川成哉 履正社・外野手   右投右打 179/66 2年

 笠松 悠哉 大阪桐蔭・内野手  右投右打 179/74 2年

 河野 祐斗 鳴門・内野手    右投右打 170/68 2年

  スカウトにも十分すぎるくらい取材をしている記者の方々は、ほぼ毎年「今年はいい選手が少ないでしょう。(表で紹介する)40人集まりますか」と言うが、私は「いますよ。もっと紹介したいくらいです」と答えることが多い。

 ドラフト候補という括(くく)りから、好選手という括りで見るようになっている私自身の変化が、そういうことを言わせるのだと思う。1人でも多く紹介したいじゃないですか。なお、最近の観戦記は以下のところで掲載しているので、興味のある方は覗いてほしい。

大阪桐蔭対浦和学院の観戦記は<高校野球ドットコム>で掲載

http://www.hb-nippon.com/report/788-hb-nippon-game2012/8837-20120330001

健大高崎対鳴門の観戦記は<小関順二公式ホームページ>で掲載

http://kosekijunjihomepage.com/

 


中村祐太はピンチになったらストレート一本槍

2012-03-30 09:09:23 | 2012年センバツ

◇3月29日(木曜日)晴れ

センバツ大会/甲子園球場

関東一2-1智弁学園

  関東一の2年生右腕、中村祐太(右投右打・181/75)が1回戦に続いて快投した。変化球は105キロ程度のスローカーブ、117、8キロの縦割れスライダー、110キロ程度のチェンジアップを備え、いずれもいいキレ味を誇っているが、ピンチになるとストレート中心で押す。正確に言えば、ストレートしか投げない。以下、ピンチの場面でどんなピッチングをしたのか見ていこう([ ]内は球目)。

 ◇2回裏1死一、三塁、打者は7番上西良輝

[1]外角137キロ/ストレート(空振り)[2]外角低め135キロ/ストレート(ボール)[3]外角137キロ/ストレート(ボール)[4]外角低め135キロ/ストレート(バントファール)[5]外角138キロ/ストレート(ボール)[6]外角高め139キロ/ストレート⇒空振り三振

◇2回裏2死一、三塁、打者は8番山口悠希

[1]外角高め138キロ/ストレート(ボール)[2]外角高め138キロ/ストレート(ストライク)[3]外角高め138キロ/ストレート(ボール)[4]外角高め135キロ/ストレート(ファール)[5]外角高め138キロ/ストレート⇒空振り三振

◇5回裏1死一、二塁、打者は3番青山大紀

[1]外角高め134キロ/ストレート(ボール)[2]内角ストレート⇒左飛

◇9回裏2死二塁、打者は4番小野耀平

[1]真中高め134キロ/ストレート(ファール)[2]外角高め/ストレート(ファール)[3]外角高め136キロ/ストレート(ボール)[4]真中高め137キロ/ストレート(ボール)[5]内角高め137キロ/ストレート(ファール)[6]外角高め137キロ/ストレート(ファール)[7]外角高め133キロ/ストレート(ファール)[8]内角高め132キロ/ストレート(ファール)[9]外角高め136キロ/ストレート(ファール)[10]外角高め137キロ/ストレート(ボール)[11]外角高め136キロ/ストレート(ファール)[12]内角高め/ストレート⇒捕邪

  まだあるが、これくらいにしておく。とにかく、球種がありながら走者が出ればストレート一本槍、というのが中村の特徴なのである。例外はただ1球だけ。6回2死二、三塁、打者中道勝士の場面で、7球投げたうちの6球目が外角低めに外れる116キロのチェンジアップだった。無走者のときは腕が振れるいい球なのに、このときは腕が縮こまったようになり、低めに外れた。本当に異色・異能で、将来楽しみな惚れ惚れする右腕本格派である。

 

履正社対愛工大名電戦は<小関順二公式ホームページ>で掲載

http://kosekijunjihomepage.com/

 

横浜対聖光学院戦は<高校野球ドットコム>で掲載

http://www.hb-nippon.com/spring2012


対照的な光星学院の2人のドラフト候補

2012-03-26 07:09:15 | 2012年センバツ

◇3月25日(日曜日)晴れ・寒~い

センバツ大会/甲子園球場

光星学院3-0北照

  昨年秋の優勝校にして、今大会でも有力校の1つに数えられている光星学院が苦戦した。実績がそれほどない北海道勢が相手なので「油断した」「甘く見た」と言われることが多いと思うが、北照の左腕、大串和弥(2年・左投左打・173/69)が単純によかった。バックスイング途中の上体のねじれが気になるくらいで、フォームに悪いところがないのである。

 戦力が整わない学校の言い訳に「うちは私立と違うから」「うちは(私立でも)有力選手を授業料免除で呼ぶことができないから」があるが、大串は合理的なフォームを追求して完成すれば、変化球の精度が上がるし、全般的なコントロールも充実する、と教えているようだ。

 それは即ち、ドラフトで指名されるくらいの素質がなくても、やる気のある指導者との共同作業さえ実現できれば、到達できるピッチングの境地、と教えているようでもある。ちなみに、大串は中学時代、軟式野球の全国大会に出場しているので無名の中学生だったわけではない。緻密なコントロールを生みだす合理的なフォームは、140キロのストレートを投げるより、追求することが可能な世界、くらいの感覚でご理解いただきたい。

 大串とは正反対の選手が光星学院の4番北條史弥(遊撃手・右投右打・178/73)だ。プロから注目されていながら、合理的なバッティングフォームを追求せず、素質まかせのバッティングを繰り返している、という意味で書いている。昨年秋の明治神宮大会でもそう思ったが、ひと冬越えれば変わってくると思ったので、これまであまり指摘しなかった。しかし、さすがに書かないとまずいだろうと思わされた。

 強い反動をつけて一本足に移行する始動、さらに何かに追い立てられるように性急なステップ、これはストレート狙い以外の何ものでもない。たまたまこういう打ち方をしているわけではない。すべてのボールに対して性急な始動とステップを繰り返しているのだ。

 この日の結果は4打数1安打。1本は2打点つきの二塁打である。何だ、悪くないじゃないか、と言わないでほしい。

  [1]内角ストレート(ストライク)[2]真ん中高めストレート(ファール)[3]外角低めストレート(ボール)[4]内角108キロ縦割れカーブ(引っ張ってファール)[5]内角低めストレート(ボール)[6]内角低めストレート(引っ張ってファール)[7]カーブ⇒下からしゃくってレフト前へポトンと落とす二塁打。

  この打席の内容を見ると、ストレートでも内角球に苦労し、真ん中から外のボールは引っ張る気持ちが強すぎて捉えきれていない。さらに、変化球の対応にも苦労していることがわかる。マスコミは“坂本勇人(巨人)2世”と煽るが、坂本の高校時代はこれほど性急なタイミングの取り方をしていなかった。

 この北條にくらべると、もう1人のドラフト候補、田村龍弘(捕手・右投右打・173/78)は昨年秋よりよくなった。この日の第1打席、無死二、三塁の場面で犠牲フライを放っているが、確実に外野フライを打とうと捕手寄りでボールを捉え、強い押し込みでなるべく飛距離を出して三塁走者を迎え入れようとしているのである。

 相手投手のクイックモーションに対して、タイミングの取り方が早くなるのは直してほしいが、無走者のときはゆったりと始動してステップを出し、緩急に対応して、できるだけ捕手寄りでボールを捉えようとしている。

 守りに注目すると、ボールを捕ってから投げるまでの時間が秋より速くなった。イニング間の二塁送球タイムは1.86秒というのがあり、5回には二盗を企図する走者を落ち着いた送球で刺している。昨年秋には見られなかった田村のよさである。