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小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

今季期待するファームの若手野手

2014-01-21 15:13:13 | 雑感記

 京都純典氏の企画・監修による『プロ野球本当の実力がわかる本』(日刊スポーツ出版社)が出版されました。副題に「セイバーメトリクスで見るプロ野球」とあるように、打者の指標=OPS(出塁率+長打率)、BB/K(四球数÷三振数)、投手の指標=QS(クオリティスタート→先発投手が6回以上を自責点3に抑えた回数を%で表す)などで12球団の選手を紹介した本です。同書を参考に、二軍戦でセイバーメトリクスの数値が高い若手選手を調べてみました。

◇出塁率(100打数以上)
近藤健介(日本ハム200打数) .429→OPS.944
宮崎祐樹(オリックス105打数).407→OPS.864
伏見寅威(オリックス115打数).405→OPS.805
坂口真規(巨人322打数)   .403→OPS.829
◇長打率
近藤健介(日本ハム200打数)   .515→OPS.944
猪本健太郎(ソフトバンク204打数).515→OPS.831
會澤 翼(広島127打数)     .512→OPS.853
宮崎敏郎(DeNA236打数)    .492→OPS.889
森田一成(阪神308打数)     .484→OPS.862
中井大介(巨人139打数)     .482→OPS.861
中川大志(楽天380打数)     .479→OPS.836
大田泰示(巨人257打数)     .479→OPS.811
加藤翔平(ロッテ398打数)    .470→OPS.847
橋本 到(巨人303打数)     .465→OPS.855
石川慎吾(日本ハム425打数)   .464→OPS.804
李 杜軒(ソフトバンク108打数) .463→OPS.858

 これらの数値を見て私なりに期待するのは近藤健介(日本ハム)、坂口真規(巨人)、中川大志(楽天)、石川慎吾(日本ハム)あたりでしょうか。近藤は鶴岡慎也がソフトバンクへ移籍して第2捕手としての一軍ベンチ入りのみならず将来の正捕手の座が見えてきました。坂口はポスト村田修一、中川大志は長打不足のチーム事情が追い風になりそうだし、石川はポスト陽岱鋼に名乗りを挙げる勢いです。
 台湾では陽のメジャー挑戦が話題になっているらしいですが、日本ハムフロントもそのための準備は出来上がっているような気がします。


巨人のプロテクト28人は誰だ

2013-11-15 18:12:30 | 雑感記

 FA権を取得した大竹寛(投手・広島)、片岡治大(内野手・西武)の獲得をめざす巨人だが、大竹はチーム内の年俸がAランク、片岡はBランクなので、人的補償が発生する恐れがある。人的補償の対象にならないプロテクト枠28名は私の予想では次の選手たち。

■巨人プロテクト候補28人
久保裕也、澤村拓一、香月良太、杉内俊哉
菅野智之、内海哲也、高木京介、福田聡志
西村健太朗、宮國椋丞、山口鉄也、笠原将生
今村信貴、青木高広、阿部慎之助、寺内崇幸
藤村大介、脇谷亮太、坂本勇人、村田修一
中井大介、長野久義、亀井義行、鈴木尚広
松本哲也、橋本到、高橋由伸、矢野謙次

 彼ら以外で他チームが欲しがる選手は次のような顔ぶれ。

田原誠次、松本竜也、一岡竜司、小山雄輝
實松一成、石井義人、立岡宗一郎

 小山、實松、立岡などはいなくなると困りそうで、香月、脇谷あたりとのチェンジも考えられる。毎年この時期になると同じような予想をしているが、こういう予想は選手層が厚い巨人だから楽しめること。私が広島の関係者なら小山がほしい。


関東大会出場選手によるベストナイン

2012-05-24 20:52:23 | 雑感記

 第64回春季関東大会は健大高崎の優勝で幕を閉じた。今大会出場選手で、私好みのベストナインを作ってみたら次のようになった。なお、春日部東、専大松戸、山梨学院大付、東海大高輪台、横浜、水戸商、松戸国際の7校は見られなかったので、それ以外の出場選手によるベストナインであることを前もって断っておく。

(投)神戸文也(前橋育英3年・右投右打・181/74)
(捕)長坂拳弥(健大高崎3年・右投右打・173/72)
(一)高山良介(作新学院3年・右投右打・178/83)
(二)中山奎太(健大高崎3年・右投右打・170/64)
(三)新山直樹(下妻二3年・右投左打・173/72)
(遊)渡邉 諒(東海大甲府2年・右投右打・180/78)
(外)竹内 司(健大高崎3年・右投左打・175/70)
(外)吉田紘大(作新学院3年・右投左打・182/80)
(外)岸 直哉(関東一3年・右投左打・169/75)

 今大会は見ていないが、それまでに見たことがあるという好選手なら次の通り。
 栗原洸(専大松戸3年・外野手・右投右打・182/70)、神宮陸太朗(専大松戸3年・左左・172/78)、小林義弘(山梨学院大付3年・一塁手・右投左打・181/80)、柳裕也(横浜3年・投手・右投右打・179/73)、山内達也(横浜3年・一塁手・左投左打・181/85)。これらの選手を加えればベストナインの何人かは入れ替わると思うが、まったく変わらない可能性だってある。
 ふと気づけばベストナインの中に首都圏の選手は岸1人しかおらず、北関東勢が7人も占めていた。今年の高校野球界を象徴する人選だと、私は満足している。


今選抜大会で波乱を起こすのは横浜高校?

2012-02-04 01:39:17 | 雑感記

 昨年夏の甲子園大会2回戦、横浜対健大高崎戦は5回裏終了まで50とリードした横浜の楽勝ムード。ところが6回表、健大高崎が一挙5点を奪う猛攻で試合の行方はわからなくなった。8910回、得点圏に走者を進めた健大高崎が押す展開で試合は進んだが、10回裏に横浜が2死一、二塁から2番の高橋亮謙がレフト前にサヨナラ安打を放ち、2時間45分の熱戦に終止符を打った。

 

 3回戦の横浜対智弁学園も荒れた。試合は8回裏終了まで41でリードした横浜の楽勝ムード。しかし9回表、先頭打者に中前打を許したエース柳裕也を横浜ベンチが降板させた途端に智弁学園の打線が爆発。打者13人を送る波状攻撃で8点を奪取、94で逆転勝ちした。

 

 ハンカチフィーバーに沸いた06年夏、優勝候補の横浜と大阪桐蔭がいきなり1回戦で激突した試合も荒れた。横浜には捕手・福田永将(中日)、三塁手・高濱卓也(ロッテ)、右翼手・佐藤賢治(日本ハム)、西嶋一記(ドジャースファーム)などのちのプロが5人いて、大阪桐蔭には中田翔(日本ハム)が4番にデンと座っていた。

 試合は7回表が終了した時点で22の同点。まさに横綱同士が土俵中央でがっぷり四つに組んで一歩も引かないという展開。ところが7回裏、大阪桐蔭が長打を連ねて4点挙げると、8回にも中田の本塁打などで5点奪い、116で完勝した。

 

[註]大阪桐蔭が2回戦で対戦したのが、斎藤佑樹(日本ハム)がマウンドを守る早実。斎藤は渾身の投球で中田から3三振を奪う力投を見せ112で快勝。試合後、「横浜の仇が討てた」と古風なコメントを残した斎藤は、ここから一気にスター街道を昇り詰めていく。

 

 横浜と大阪桐蔭は08年夏の選手権準決勝でも戦っている。大阪桐蔭が浅村栄斗(西武)を軸にした強力打線で勝ち上がれば、横浜は2年前に粉砕された土屋健二(日本ハム)、松本幸一郎(立大)や2年生の筒香嘉智(横浜DeNA)など有力選手を前面に押し立て、対抗する。

 6回終了まで大阪桐蔭が53でリードする展開でゲームは終盤に突入。7回表、大阪桐蔭は浅村の二塁打を突破口にして1点追加、9回にも浅村の右前打をきっかけに2点を挙げ、終わってみれば94で再び大阪桐蔭に凱歌が上がっていた。

 

 過去6年間の甲子園大会の戦いぶりを振り返ると、横浜高校の試合が波乱含みなのがわかる。そして因縁を感じさせる健大高崎、智弁学園、大阪桐蔭が揃って今選抜大会に出場する。優勝争いとは別のサイドストーリーには違いないが、私の今選抜最大の楽しみは横浜の戦い方。首の皮1枚つながって選出された経緯にも運の強さのようなものを感じさせる。


私の野球殿堂入りは宇佐美徹也と横山正健

2012-01-14 16:30:42 | 雑感記

 2012年、北別府学、津田恒実(ともに広島投手)が野球殿堂入りした。広島がまだ強かった80年代、2人は次のような成績を残している。

 

<北別府学>

82年 20  8敗、防御率2.43

83年 1213敗、防御率3.96

84年 13  8敗、防御率3.31

85年 16  6敗、防御率3.57

86年 18  4敗、防御率2.43

87年 1014敗、防御率4.37

88年 1112敗、防御率3.13

89年   910敗、防御率5.48

 

<津田恒実>

82年 11 6敗、防御率3.88

83年   9 3敗、防御率3.07

84年   34  1セーブ、防御率4.64

85年   23  1セーブ、防御率6.64

86年  4622セーブ、防御率2.08

87年   3418セーブ、防御率1.64

88年   5920セーブ、防御率3.86

89年 12528セーブ、防御率1.63

 

 北別府は7681年まで62勝、9094年まで42勝、通算213141敗、防御率3.67、津田は90年以降の2年間で01敗しか挙げていないので、80年代に記録した494190セーブ、防御率3.31が生涯を通じた全成績である。

 

◇スポニチ⇒まさに記憶に残る投手だった。太く短い野球人生。

◇スポーツ報知⇒記憶に残るストッパーだった津田氏が、永遠に野球殿堂に名を刻むことになった。

◇日刊スポーツ⇒元気であれば、記憶だけではなく、記録にも残る名ストッパーとして語り継がれるはずだった。

 

 以上が津田に対する代表的なスポーツ紙の賛辞である。「記憶」という言葉を強調しているのは、平凡だった通算成績を見ればおわかりいただけると思う。記録より記憶に残る名投手。言い得て妙である。両投手、おめでとうございます。

 

 ここから先は非常に個人的な話である。北別府と津田の野球殿堂入りを見て、私にとっての野球殿堂入りは誰か考えて見た。

 

■宇佐美徹也……元報知新聞記録部長、日本野球機構コミッショナー事務局・BISデータ本部初代室長

■横山正健……編集プロダクション「デポルテ」社長。

 

 スポーツ報知のWebサイト「蛭間豊章記者のBaseball inside」を読んでいたら、今回、特別表彰候補者として“記録の神様”の異名を取る宇佐美徹也さんの名前が1票あったと書かれていた(http://weblog.hochi.co.jp/hiruma/2012/01/post-96a7.html)。とにかく野球が好きな人で、酒が飲めないのに夜遅くまで居酒屋に付き合い、野球の話をしてくれたことが強く印象に残っている。

21年すい星のように現れ、戦後プロ野球復興の原動力となる本塁打ブームを巻き起こした大下弘(セネタース)の20本塁打はリーグ総本数の9.5%に当る。その後、ラビットボールの使用で本数は増えたが、それは全体的な傾向で、24年藤村富美男(阪神)の46本は5.3%、25年小鶴誠(松竹)の51本は5.5%にしかならない。(中略)これらを総合してAクラスの評価ができる本塁打王を拾ってみると、前記21年の大下に28年の中西太(西鉄)、3738年の野村克也(南海)、3941454849年の王貞治(巨人)、6061年の落合博満(ロッテ)、バース(阪神)、平成1年のブライアント(近鉄)というところが挙げられる」

『プロ野球記録大鑑』(改訂版)の文庫版『プロ野球データブック』(講談社文庫)からの引用で、大好きな箇所だ。宇佐美さんの記録分析はこういう覚めた目線から得たものが多く、感情に走らない。それでいて稲尾和久の日本記録・78試合登板(1961年)を伊藤敦規(阪神)が破ろうとしたとき、野村克也監督に「ワンポイントで最多登板なんて、やめてくれないか」と直訴するなど、熱い心を持っていた(このエピソードも蛭間氏のブログから引用した)。2009517日没、享年76

 宇佐美さんの友人で、私が勤めていた編集プロダクション「デポルテ」の社長が横山さんだ。95年に声をかけていただいて社員になり、01年までの6年間、野球本や雑誌の編集でともに汗を流した。

 横山さんの特徴は「野球」と「仕事」の境がきわめて曖昧なところだった。好きな野球を見て、好きな野球人に話を聞いて(酒を飲んで)、それでお金になればいいじゃないか、という思想の持ち主で、お金を得るために野球の仕事を考えて、大した情熱もないのに野球の仕事をする、という人間とは対極にいた。多分、「お金を得るために野球の仕事を考える」という人間の存在を考えたことがなく、そういう人間がいれば「あの人は野球が好きだ」と信じてしまう危うさがあった。

 灰田勝彦の歌『野球小僧』が好きで、牛込柳町の酒場「安さん」で飲めば必ず歌っていた。苅田久徳、千葉茂、青田昇、川上哲治という往年の名選手に話を聞けたのは横山さんのおかげだし、今も続いている『スカウティングレポート』、雑誌『ホームラン』(廣済堂など)の仕事に携われるのも横山さんのおかげだ。あれほど子どもっぽい心で、純粋に野球を好きだった人は、私の知る限りでは横山さんしかいない。

 脳梗塞の発作を2度起こして言葉を失い、好きだった酒が飲めなくなり、横山さんは昨年1125日に永眠した。今となっては「ありがとうございます」という言葉しか出てこない。享年78歳。