小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

明治神宮大会・大学の部ベストナイン

2014-11-22 10:25:25 | 2014年大学野球

 

 先頃幕を閉じた明治神宮大会のベストナインを考えた。選考基準は「プロ好みがするかどうか」。今大会の特徴は好投手が多かったこと。ドラフトで指名されたのは山崎福也(明大)、風張蓮(東農大北海道オホーツク=以下、東農大オ)、浜田智博(九州産業大)の3人だけだが、来年以降の候補には、井口和朋(東農大オ3年)、多和田真三郎(富士大3年)、小野泰己(富士大2年)、今永昇太(駒大3年)、上原健太(明大3年)、柳裕也(明大2年)、小松貴志(創価大3年)、田中正義(創価大2年)、池田隆英(創価大2年)、山下仁(上武大2年)石田光宏(関大3年)が名をつらねる。これらの中から今大会での活躍度を優先してナンバーワンを選んだ。

 野手は一塁に候補が少なかったが、捕手、二塁、三塁、遊撃はこの大会まで注目していなかった中に好選手が揃っていた。とくに注目したのは池沢佑介(東農大オ)、諸永秀幸(東農大オ)、福原健太(東農大オ)、武田偲(中部学院大)の4人。池沢は強肩、諸永は好守、福原は強打と俊足、武田は好守と強打が目立った。対照的に外野手でよかったのは知名度の高かった野間、高山、江越の3人。野間は広島の1位、江越は阪神の3位指名である。

 これらの選手を「プロ好み」を基準にして比較し、次のようなベストナインを選出した。

 

[捕]池沢佑介(東農大オ)

[一]石井 元(明大)

[二]諸永秀幸(東農大オ)

[三]福原健太(東農大オ)

[遊]武田 偲(中部学院大)

[外]野間峻祥(中部学院大)

[外]高山 俊(明大)

[外]江越大賀(駒大)

[投]今永昇太(駒大)

 

 東農大オが3人、決勝に進出した駒大、明大からは各2人、中部学院大からも2人と偏りが出た。これら以外の学校では創価大に好選手が多くいた。たとえば投手の小松貴志、田中正義、池田隆英、捕手の寺嶋寛大である。初戦でコールド負けしたが富士大の多和田真三郎も来年のドラフト1位候補らしい力のあるストレートを投げ、目を引いた。


早大3選手による首位打者争いが激化している

2014-11-03 23:51:08 | 2014年大学野球

 11/3(月)の早慶2回戦は慶大が5対4で勝って早大の優勝を阻止、明大が37回目の優勝を飾った。早慶戦は下馬評が高くてもその通りにならないという好見本である。優勝争いは一件落着したが、首位打者争いはさらに激化している。重信慎之介と小野田俊介がともに43打数17安打、打率.395で1位に並び、規定打席に残り「1」と迫った茂木栄五郎が31打数14安打、打率.452で今まさに首位に飛び出そうとしている。

 もし第2回戦で早大が勝っていたら茂木はたった1打席の不足で規定打席に到達できることができなかった。本人にとっては優勝のほうが大事だったろうが、私のような個人技で見たがるファンにはわくわくする展開である(次の対照表は11/4の打撃予想と打率の推移)。

 

◇重信、小野田の場合  ◇茂木の場合

5打数5安打→.458

4打数4安打→.447   4打数2安打→.457

4打数3安打→.426   4打数1安打→.429

4打数2安打→.404   4打数0安打→.400

4打数1安打→.383

4打数0安打→.362

 

 茂木が(規定打席に到達して)4打数ノーヒットなら、重信、小野田が4打数2安打すれば茂木を上回る。茂木が4打数1安打なら重信、小野田が4打数3安打でも茂木を上回れず、茂木が4打数2安打すれば重信、小野田が首位打者になることはほぼ不可能と言っていい。

 小野田が惜しかったのは2回戦の第1打席、三遊間に放ったショートゴロ。塁審は「アウト」とジャッジしたが微妙なタイミングだった。対照的に茂木の第1打席は一塁内野安打になったがこれも微妙なタイミングだった。早大3選手による首位打者争いがどのような結末を迎えるのか、明日を楽しみにしよう。


東京六大学の優勝争いが最終局面へ

2014-11-03 07:45:06 | 2014年大学野球

 昨日(11/2)早慶戦1回戦が行われ、早大が4対3で接戦を凌いだ。今日、早大が勝てば44回目の優勝(法大と並んで最多)、慶大が勝てば明大の36回目の優勝が決まる。優勝がなくなったことで目標を失った慶大より早大のほうが有利になったと見る向きもありそうだが、早慶戦はそういうのがあまり関係ない。近年では、12年春が8勝1敗で優勝を決めている早大に対し4勝4敗(1分)で4位の慶大が2勝1敗で勝ち越し(慶大は3位に浮上)、01年秋が8勝0敗で優勝を決めている慶大に対し5勝5敗(1分)で4位の早大が2勝1敗で勝ち越している(早大は3位に浮上)。

 昨日も4対2でリードし、マウンドにエース有原航平が7回から上がっている展開を見れば早大の楽勝ムードになりそうだが、慶大は9回に先頭打者の斎藤大輝がソロホームランを放ち1点差、さらに2つの四球を出して無死一、二塁のチャンスを迎える展開。1死後、最終打者が併殺に打ち取られ惜敗したが、今日もしぶとそうだ。

 有原はよくなかった。腕が振れないのは故障上がりで仕方ないが、外角が多すぎる。9回裏、無死一塁で迎えた9番北村祐樹に対して9球すべてが外角球(四球)。この弱気を封じ込まないとプロでも苦労するだろう。優勝争いとは別に、早大勢による首位打者争いも激化している(以下の打撃成績は11/2現在)。

 1位小野田俊介 .415(41打数17安打)

 2位重信慎之介 .390(41打数16安打)

※  茂木栄五郎 .444(27打数12安打)29打席

 今日の試合で早大は11試合目になるので、早大の選手に必要な規定打席は34(試合数×3.1)。茂木が打撃成績に顔を出すには今日の試合で5打席必要ということになる。昨日が6番を打ち4打席だったので微妙なところだ。優勝が懸った一戦で、なおかつライバル全員が早大の選手なので、茂木に首位打者を取らせるために1番に置くわけにもいかない。慶大が勝って第3戦までもつれるしか茂木の首位打者はなさそうだ。そうなると明大の優勝が決まるわけだが。


大谷・藤浪世代の剛腕、中塚駿太(白鴎大)の迫力

2014-10-30 10:48:06 | 2014年大学野球

 サブタイトルが「明治神宮野球大会出場決定戦」の横浜市長杯争奪を10/28、29の両日観戦した。28日が白鴎大対東海大、東京情報大対上武大、29日が城西国際大対創価大、白鴎大対上武大というカード。この中で目が釘付けになったのが29日の第2試合に登板した白鴎大の中塚駿太(つくば秀英卒2年・右右・188/85)。これは本当に凄かった。
 スカウトが全員帰った7回1死走者なしの場面からマウンドに上がり、最初の回は3人の打者に150キロ台を連発(最速153キロ)。146キロが1球あっただけで、それ以外のストレートはすべて150キロ以上という迫力。投げ方も非の打ちどころがなく、大谷翔平(日本ハム)によく似ている。

 内側から絞り上げるようにヒジを上げるバックスイングで、腕は背中のほうに入らず、左肩の早い開きもないのでボールの出どころが打者から見えづらい。さらに、ステップに十分の広さがあり、下半身がグーッと伸びて少し遅れて上半身がついていくというのも理想的。

 これほど非の打ちどころがないのに、8回に入ると19球中、150キロ台は1球あったきりで140キロ台前半ばかり。スタミナ不足、変化球の精度不足、走者が出たときのセットポジションの不慣れが今後の克服課題であることは明らか。と言っても、順調に成長すれば2年後のドラフト1位指名は間違いない。
 中塚以外でも強豪・東海大を8回3分の1投げて5安打、1失点に抑えてチームに勝利をもたらした大出翔一(舘林卒・白鴎大2年・右右・175/74)、この白鴎大を準決勝で2失点に抑えて完投勝ちした山下仁(須磨翔風卒2年・右右・178/72)など、関甲新大学リーグには2年の大器が揃っている。大学2年生とは言ってみれば“大谷・藤浪世代”である。

 ここまで名前を挙げた以外でも、田中正義(創価大・右右・186/89)、柳裕也(明治大・右右・180/80)、澤田圭佑(立教大・右左・178/90)、加藤拓也(慶応大・右右・175/85)、濱口遥大(神奈川大・左左・173/73)と大谷・藤浪世代は花盛り。先行する大谷と藤浪の勢いに引っ張られていることは疑いようがない。2年後のドラフトのことを考えると今から胸がわくわくする。


中野ジャスティン(関東学院大)は復活できるか

2014-10-13 18:12:59 | 2014年大学野球

 10月11日(土)、神奈川大学リーグが行われる横浜スタジアムへ出かけた。球場内にスカウトの姿が見えないことで、彼らの興味ある選手がいないことがわかった。

 第1試合の桐蔭横浜大対神奈川大では今春、夢中になった左腕・濱口遥大(2年)が登板しなかった。秋の不調は濱口だけに限らない。7月にアメリカで行われた日米大学代表親善試合、オランダで行われたハーレム・ベースボールウィークに出場した投手が軒並み、秋季リーグで調子を落としているのだ。山崎福也(明大4年)、田中大輝(国学院大4年)、田中正義(創価大2年)、そして濱口という面々。

 アメリカ遠征は7/6~8、オランダ遠征は7/11~20とかなりの強行軍。この15日間に行われた試合は11試合で、アメリカ遠征は1勝3敗、ハーレム・ベースボールウィークは準優勝と成果は上々だが、その後不調になった投手が多すぎる。

 2012年秋、台湾で行われた18U(18歳以下)ワールドカップに出場した安楽智大(済美)と高橋光成(前橋育英)も帰国後調子を落とし、安楽は現在まで調子が上がっていない。好投手が多く、1人に頼らなくてすむ代表チームだからこそイニング制限、球数制限を設けてほしいと、野戦病院のような現状を見ると思わずにいられない。

 第2試合の神奈川工大対関東学院大も私のように個人技で野球を見る人間には面白くなかった。ところが帰り仕度を始めた9回裏が始まる前、マウンドに上がった関東学院大の4番手が投球練習でいい球を投げているのに気づいた。スコアボードには「中野」と書かれているが誰のことだかわからない。そして一瞬後、「ああ、中野ジャスティンのことか」と気づいた。

 右ヒジの故障で大学3年時を棒に振り、4年春はわずか3試合の登板で、秋もこの試合が2試合目の登板だ。腕の振りが体から離れているので手投げの印象が消えない。しかし、多投するストレートのキレがこの日登板した誰よりもいい。球速は140~143キロが多く、3人目の打者を空振りの三振に取った球は148キロ。思わず声が出るようないい球だった。

 向上高から大学2年まではスカウトが一挙手一投足に目を凝らすドラフト候補だった。現在、プロ志望届は提出していない。進路は不明だが、2年後くらいのプロ入りをめざして野球は続けてもらいたいと思った。