明治神宮大会出場校決定戦と言ってもいい横浜市長杯争奪(第12回関東地区大学野球選手権)初日(10/31)は生涯忘れられない日になった。第1試合が白鴎大対横浜商科大、第2試合が国際武道大対東海大、第3試合が桜美林大対創価大という豪華カードの連続。個人名で紹介すると、大山悠輔(白鷗大→阪神1位・三塁手)、中塚駿太(白鴎大→西武2位・投手)、丸山泰資(東海大→中日6位・投手)、田中正義(創価大→ソフトバンク1位・投手)、池田隆英(創価大→楽天2位・投手)、佐々木千隼(桜美林大→ロッテ1位・投手)となる。しかし、この日最も目立ったのは以上のドラフト6人組ではなく東海大の2年生右腕、青島凌也(右投右打・178㎝/78㎏)だった。
ストレートはこの日の最速が146キロだから“そこそこ”の速さである。変化球はカーブ、スライダー、フォークボールがあり、目をみはったのがカーブとスライダーのキレ。スライダーは打者近くで鋭く横にスライドし、カーブは打者近くで急激にブレーキがかかり、打者の打とうとする腰を砕く。こういうボールを見せられたあとのストレートは単なる「最速146キロ」ではない。この日の青島の投球内容は次の通りだ。
<被安打0、与四死球0、奪三振18>
三振の内訳で興味深いのはストレートの見逃しで18個中7個もあった。広いステップがもたらした球持ちのよさの副産物と言っていいが、変化球を交えた緩急のほうが強烈で、3割打者を5人並べた国際武道大打線はついに最後まで1人も走者を出せなかった。つまりパーフェクトゲーム(完全試合)。球審のストライクゾーンが広かったことは事実だが、それを早い段階で見極めて、際どいアウトローにボールを集中させる頭脳とコントロールこそ称賛されるべきである。
国際武道大は4年前の明治神宮大会、多和田真三郎(富士大→西武)にもノーヒットノーランを喫しているが、多和田のストレートは青島と同じ146キロが最速だった。ステップの広さやスライダーのキレのよさにも共通点があり、国際武道大は今後このタイプの克服が全国区になる最重要課題になりそうだ。ちなみに、私が球場でパーフェクトゲーム、ノーヒットノーランを見たのはこれで9試合目(☆印はパーフェクトゲーム)。
鬼頭洋(大洋)、松井光介(横浜高)、☆一場靖弘(明治大)、ダルビッシュ有(東北高)、浅尾拓也(日本福祉大)、竹内大助(慶大)、多和田真三郎(富士大)、加嶋宏毅(慶大)、☆青島凌也(東海大)
弱かった東大相手に記録した竹内、加嶋以外はプロへ進み活躍しているので、青島にとっては心強いデータになると思う。もちろん2年後のドラフト1位候補である。