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『瞳の奥の秘密』 目は口ほどに物を言い

2010年09月10日 | じ~んときた映画

原題:EL SECRETO DE SUS OJOS    PG-12
2009年・スペイン=アルゼンチン・ロングライド (129分)
               
制作総指揮:ヘラルド・エレーロ、バネッサ・ラゴーネ
製作・監督・脚本:ファン・ホセ・カンパネラ
原作・脚本:エドゥアルド・サチェリ
音楽:フェデリコ・フシド
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビリャミル、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴディノほか


鑑賞日:2010年9月8日(新宿)
鑑賞前の期待度:★★★☆


ブログを書いているせいか、
「今年は、これまでにないくらいアカデミー賞作品を観に行ってるなぁ・・・。」
と思いつつ、最優秀外国語映画賞を受賞した本作を観に行くことに。
(言うまでもなく、前年の受賞作は『おくりびと』。)

台風の影響でドシャ降りの雨の中、
劇場に着く頃には、ズボンの膝から下は、ぐっしょり。
靴の中も、グズグズ。
上着だって裾はビショ濡れ。
傘は、ほとんど役に立ちませんでした。

「この状態で、冷房の効いた映画館にいたら、風邪を引くなぁ。」
という懸念はあるものの、
「でも、この天気なら客席は空いていて、良い席に座れるだろう。」
と高を括っていたら、なんと9割方の客席が埋まっていました。
「甘かった~

できれば、真ん中の席で観たいと思っていたのですが、
結局、座ることができたのは端の席。
「こうなったら、せめて期待以上の作品でありますように!」
と願いながらの鑑賞となりました。

果たして・・・・・・・。


*以下は、ネタバレではありませんが、ネタバレを掠めるような感想です。


いい!
じつに映画らしい映画作品であり、
アカデミー賞受賞も納得!!
とても良い大人の作品でした!!!

まず、物語として、うまい!
25年の月日をかけたラブロマンスであり、
25年前の事件で残された謎を解くミステリーでもあり、
サスペンスでもあるけれど、
話が進むに連れ、
どこに向かうのか、どう決着をつけるつもりなのか?
まったく先が読めないまま、
いろんな意味でハラハラ、ドキドキしながら、最後の最後まで観続けました。

鑑賞理由のひとつに、
TVシリーズ“Low&Order”のエピソードも手がけた監督の作品ということもあったのですが、
さすが!その手腕に脱帽です。

主人公ベンハミンが、新妻殺人事件の真犯人を確信した本当の理由が、
上司イレーネの婚約記念写真に写っていたり、

わざわざ遥か上空からサッカー・スタジアムの客席まで降りてきて、
犯人を追い続けたカメラワークに、ある視線の意味が込められていたり、

古いタイプライターを、
『Aの文字だけが打てない』と設定した意図が分かった瞬間など、
心の中で拍手を送りました。

また、衝撃的な事実もさることながら、
終幕間際のイレーネのセリフとともに、
その後に待っているであろう物語を観客に委ねて、扉が閉じられる余韻。

観終わって、あれこれと思い返さずにはいられませんでした。

 

そして、出演者全員の演技の素晴らしさ。
25年の歳月をしっかりと演じ分けるそれぞれの技量。
実力と経験に裏打ちされたその演技力に感動です。
特に、タイトルがそうである以上、出演者各人に要求されるのは的確な瞳の芝居。
もし、瞳の奥に何も読み取れなければ、たちまち観客は白けてしまうはず。
それが、最後まで納得して観られたということは・・・。

『目は口ほどに物を言う』ではないけれど、
セリフではなく瞳で語られるシーンこそが、この映画のエッセンスだと感じられました。


ストーリーに納得度:★★★★★★★★★★★★
出演者に納得度:★★★★★★★★★★★★
最優秀外国語映画賞受賞に納得度:★★★★★★★★
年下で上司の女性へは、おいそれと「愛してる」なんて言えない度:★★★★★★★★★★★★

鑑賞後の総合評価:★★★★☆(ほぼ満点!)

もう一度、観たいと思いました。



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