どこかのスポーツ番組でメジャーリーグマリナーズ、WBC日本代表でもあったイチローさんのインタビューをやっていました。WBCのイチローといえば、オリックスやメジャーでは「クール」が売りだったはずなのに、やたらWBCを熱く語り、プレーも熱かったというイメージが残りました。インタビュアーが「いったいどこが変わったのですか?」とたずねたところ、イチローは変わったというよりも、もともと内に秘めたものが出てきただけで変わることよりも変わらないことのほうが難しい、と言うようなコメントを返していました。昔イチローの宣伝で「変わらなきゃ」というキャッチフレーズのテレビCMが流れていましたが、まったく逆のことを言っているなぁと感じたわけです。
 平家物語の「祇園精舎の金の音諸行無常の響きあり」とはよく言ったもので、人間常に変わっています。科学的にいうと人間は常に代謝しており、細胞分裂を繰り返し、古くなった細胞は死んで老廃物となって出てゆき食物を食べてまたその栄養がすべての細胞に行き渡ることを繰り返し、数ヶ月たつうちにすべての細胞が入れ替わっているそうです。つまり、数ヵ月後の自分を構成する分子は、まったく別の分子になるということです。
 「変わらないことのほうが難しい」イチローが放ったこの言葉にどれだけ深い意味がこめられているのかわかりませんが、あの、世界のイチローの言葉だけになぜか哲学性や神秘性が伝わってくるようでなりません。

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