本日午前10時からテレビやラジオの放送で緊急地震速報が開始されました。各メディアもこぞって取り上げている、この緊急地震速報ですが、その仕組みは、地中を伝わってくるP波とS波の振動の伝わる速さの違いから初期微動と主要動に移るまでの時間差を利用して、身を守る行動をとろう!というものです。地震を予知することは事実上無理なのでこういった取り組みは、大災害予防の大きな鍵を握るものだと思います。
 しかし、ここで問題が出てきます。地上波デジタル放送です。地デジをご覧になっている皆さんはもうお気づきかもしれませんが、地デジ放送が始まってからNHKのアナログ時計の時報がなくなりました。なぜかというと地デジでは正確な時間を刻めなくなったからです。アナログ放送とデジタル放送を並べて見比べてみると4秒ほどデジタル放送の方が遅れて音声と画像が放送されています。これはデジタル放送では放送局が行うエンコード(符号化)と地デジチューナーが行うデコード(復号)という作業があり、そのおかげで高画質高音質な放送を楽しめるわけですが、その副産物としてエンコードとデコードを行う処理時間がおよそ4秒の遅延になるわけです。そして、西暦2011年には、地上波テレビ放送はすべてデジタル化されることが決まっています。
 もうみなさんお気づきだと思いますが、この4秒の遅延が緊急地震速報の運命の分かれ道になると思うのです。地震の初期微動から主要動の時間差は様々です。直下型の地震で震源の深さが浅い場合は1秒もないときもあります。そんなときは主要動がおきてから数秒して、地デジで緊急地震速報を見るという「お間抜け」な事態になるわけです。
 現在何でもデジタル化すれば幸せになれるという風潮が有るように思います。レコードがCDになりipodになり、ビデオテープがDVDになりブルーレイになり、地デジもまた然りです。しかしよく考えてみると、デジタル化され、便利なことも有りますが、その裏で不便になったり犠牲になったりするものもたくさん有るんだと感じる今日この頃なのでした。

 

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