●お子さま方を相手にマジックショーを演じる場合は特別に「キッズショー」と呼ばれる。
そうお子さまは特別なのだ。普通のマジックショーは大人前提でできているのである。
マジックを趣味とする友人も子どもだけは見せるの怖いなあと言っていた。
●正直、子どもが苦手である。いや、好きなんだが、マジックの相手としては苦手である。
なにせ予想外のことをするのだ。
●私の経験から一例をあげると、マジック道具を入れた半透明の収納ボックスをマジックを演じる場から少し離れたところに置いておく。
少し多めに道具を持って行ったのは会場の様子がわからなかったため。場所は思ったよりも小さい公民館だった。
マジックを演じる道具を机の上に載せ、マジックを始めようとすると…。
突進だよ。俺にならともかく収納ボックスに突進だ。
収納ケースから今日、使用しないマジック道具があったわけだが、それを荒そうとする子どもたちをとめると、今度は机の上に載せたマジック道具を襲撃する。
机の上を注意するとケースの方へ敵軍は行く。まさに常山の蛇勢である。
それまでキッズショーで失敗が少なかった(成功も少なかったが)私は大失敗をしたのである。
●幼稚園での失敗は少なかったような記憶がある。
おそらく主な理由は以下の三つかと。
①大人が味方である。先の公民館では大人は自分たちで後ろに集まって話をしていたが(すごい人になると子どもと一緒に箱の中を見ていた)、幼稚園ではさすがにそれはない。さらにマジックを見るときの注意を子どもたちにしてくださることも多い。注意が多いと会場の雰囲気が重くなってしまうが、多くは支援になる。さりげなく包囲陣を形成してくれるのもありがたい。また、やんちゃな子どもをそっとたしなめてくれる。さえちゃんさんのように幼稚園の方が演奏してくれることもある。一人でマジックのボランティアをやるときはまともなBGMは期待できないものなあ。
②準備できるスペースがある。幼稚園では舞台が多くの場合あるので、幕がしまっている間はかなり自由に準備が得られる。幕が開いていても舞台袖がある。準備できるスペースというのはかなり重要で、ちょっとしたプロダクションマジック(シルクのハンカチやウサギのぬいぐるみ、缶コーラ、くす玉などが箱から出現するマジック)の仕込みができる。大人たちからも準備が見えないところも大きい。大人に準備を見られると子どもと違う視点で(タネがわかってしまっている)見られてしまい、会場の雰囲気がよろしくない。どうせマジックを演じるなら大人の方にも不思議を味わっていただきたいよね。
③幼稚園側が打ち合わせに熱心である(ことが多い)。時間の進行の打ち合わせができることで、一時間やってくれとかいう無茶ぶりは、まあ、ない。すくなくとも修正がきく。プロならともかく、ボランティアマジシャンの多くは小一時間も持たないだろう。私の場合、20~30分を目安にしてもらっている。短くて良いなら10分な。本当は10分が限界な。
●そろそろ実演の話(そっちの方が一般の方は好きでしょ)に移りたいが、先の会場の雰囲気が重かった話を少し。
「今日、これから手品を見せてくださる方は学校の先生です。絶対に恥ずかしくないように姿勢を正して見るように」などという注意を子どもたちは受けていた。幕の内側で「学校の先生と言わないでくれえ、キッズショー向きのキャラクターが出せねえ」と思ったものである。幕が開いたら全員体育座りをしていて、表情も硬かった。
そんな中でキッズショー向けのあいさつ「くまモンとポケモンの間の××モンでえす。よろしくね」と言うのに勇気が必要だった。いつもと違って会場の反応ないし。
ちなみにその後のマジックショーは無事に終わった(大成功!)のだが、病気のときに困ったことがある。息も絶え絶えにバス停に立って(座り込んで)いたときに、そのマジックショーを見た子たちが反対側のバスに乗って目の前を通っていったのである。「あ。××モンだあ!」と声をかけてくれるが挨拶をろくに返せなかった。心残りの一つである。
●今回の記事は私がキッズショーなどで演じているカタログ的な文章であるので、動画やリンク先を見ていただければ幸いである。
●で、だ。
●オープニングのマッジクは幼稚園の場合、プーさんの不思議なパペットである。
なにせかわいい。欠点は他のマジックをするときに置いてこないといけないことが多いくらいか。「プーさん、つかれちゃったから、またねえ」とあいさつをしてから、次のマジックをする。
●次に演じるマジックはリンキングリング。プーさんを演じないときはこれがオープニングになる。
チャイナリング(演技・解説DVD付)
私が使っている道具は上↑の動画よりサイズが一回り大きいものである。できるだけお子さまに近い距離(舞台から降りたりして)で演じる。
「あ。それ知っている」などと叫ぶ子どもがいるが、そういう子を少数派にするような演技をする。例えば、子どもを参加させたり、周囲の大人に手伝っていただいたりして不思議さを増していくのである。みんなが不思議に思うマジックをすれば「知っている」は少数派になるのである。そして「知っている」派も実は詳しくは知らないのである。
これを事実上のオープニングにするわけは、私が自信を持ってできる、数少ないマジックの一つだからである。これで自分に今日は大丈夫と言い聞かせてマジックをしていくわけだ。
本当はエンディングにしても良いのだが、こればかりは私のクセである。なお、文章の最後に「リンキングリングと現在の私」について触れておく。
●次はディズニーランドで購入したマジックブック。主にプーさんのを使用している。
プーさんが好きなんだね。私が。
ちなみに、こういうマジック(カラーリング・ブック)を演じるときに劇的にウケるようにしてくれたのが、『シリアスリー・シリー ライブ』のDVDである。この『シリアスリー・シリー ライブ』はキッズショーをやる人は必見。ここまでのレベルではできなくても(例えば私の衣装は背広だ、キッズショー向きではない)、必ず活かせることがある。キッズショーの基本を教えてくれるDVDなのである。本当は書籍版も読みたいものだ。先ほど書いた重苦しい雰囲気の会場を大成功に導いてくれたのも、このDVDのおかげである。このDVDを見てから最初のキッズショーだったのだ。強いてここで影響を受けたことを書くと「共有」である。あることを「共有」したら雰囲気が良くなり、大成功になったのである。
SERIOUSLY SILLY LIVE DVD
●サッカートリック(失敗したように見せて実は成功するマジック)は一つだけ演じている。
例えば、下↓のヒッピーポップラビット。私の持っているやつは高級品(50%オフで10年以上前に買った。たしか限定品)で下の動画のヒッピーポップラビットよりオチが一つ多い。下の動画を見ておいらが買ったのは高級品だったんだとしみじみ思う。
【マジック・手品】W6131 ヒッピーホップラビット
キッズショーでサッカートリックを演じるのはあまりよろしくない。なにせタネがわかったと見るや子どもは絶叫するからだ。しかも、口から泡を飛ばして。
なので、空の箱から飴玉を大量に出現させて、一人一人になめてもらっている間に見せている。口にものが入っていると絶叫が減るというN氏のアドバイスに基づく行為。まあ、それでも立ち上がって絶叫する子どもはいるんだけど。泡を飛ばして。
だから、サッカートリックは一つだけにしているのである。
●エンディングはきれいなマジックで終わりにすることが多い。たとえば、下↓の動画などは女の児童から「きれい」といわれたことがあり、個人的にうれしかった。
「レインボー20世紀シルク+ファウンテンレインボー」特別手順
●途中、時間があったら、ないし、余ったら、ロープマジックを一つ。バラバラの長さの三本のロープがそれぞれ同じ長さのロープになってしまうというマジックを行うことが多いかな。小さすぎる子どもにはわかりにくい現象やもしれないが、ポケットにロープを入れておけばいつでもできるので便利なのである。それと幼稚園の先生のような大人が不思議がると子どもも不思議なものだと解釈してくれるので、大人に不思議なマジックを子どもに少々、難しくても演じても良いと思う。むろん、わかりやすいセリフを話すなど、配慮をした上でのことだが。
3本ロープルーティーン byゆうきとも
●あと、わりと演じているのが下↓の動画に出てくるTRIXの『 Newレコードマジック大賞 』である。
Newレコードマジック大賞 by TRIX / セオマジック
青いレコードが徐々に染まっていくところなど、どよめきが起こったこともある。
●動画とリンクしまくった記事だが、暇つぶしに見られると一般の方は面白いのではないかと思う。感想をいただけるとありがたい。
マジシャンの方はこれを演じるようにした方が良いよというアドバイスがあったら、ぜひ欲しい。まあ、キッズショーをしばらくやる元気はないのだけれど。
※最近のリンキングリングと私
ずっとリンキングリングはプロフェッショナルマジック輪具(トリックス)(大きさはリンク先参照)を使ってきた(ケースはリンク先のを使っていない)のだが、最近になってポケットリング(テンヨーの「チャイナリング」など)に関心を持ちだした。いつものように外堀から埋める作戦。まずは情報を集め、使えるところだけ使っていくつもり。100の情報があったら7~10は使えれば良いという考え。7~10あれば以前より演技が変わるはずだよね、きっと、たぶん。避けていたオークションを一時的に復帰し、さらにマジケも利用して色々と収集した。「した」。もうしない。これ以上、集めすぎると100を眺めるだけで苦労するからだ。
いつもリアクションありがとうございます♫
いつもお心にかけていただきとても嬉しく思っています。
手品は見る方しかないので、手品をなされる方の気持ちがよく分かりました。
そして、やはり自分のやりやすい順番⁉︎というのもあるんですね。
私が幼稚園での謝恩会の手品のバックで演奏をした時の手品師の方は、いつもは持ち歩けるポータブルプレイヤー⁉︎みたいなので音楽をかけてやってると言っていました。
音楽によって、この音楽には、この手品ってあるのでしょうか?🕊
この音楽にはこの手品というのは、たぶん、決まっていないと思いますが、「オリーブの首飾り」だったらゆったりとしたテンポで進めるマジックになるでしょうし、ロック系なら激しい感じの演技になると思います。自分の演じたいイメージがあって手順を作り、それに合う手品を選んでいく場合と、逆に気に入った曲があってそれに合う手品を選んでいく場合がありますね。
あと、編集して自分が演技しやすい音楽を作っていく人、最近、多いらしいです。
私の気に入っているリンキングリングの演技では、打楽器の音に合わせてリングの音を立てる人がいて、格好良い演技でした。私には不可能でしょうけど。
あ、そうそう、すごい人になると自分の演技に合う曲を作ってもらう人もいるそうで。
ホテルで演じる場合などは著作権が大変ですからねえ。
そういえば当ブログの4月13日の記事に「マジック用の音楽について」という拙文がありますので、そちらも読んでくださると私が喜びます。
今日は(も)コンパクトに文章をまとめることができなくて、ごめんなさい。
m(_ _)m