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ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

初冬の午後

2017-12-01 03:05:35 | 絵画


チャールズ・ハロルド・デイヴィス(1856-1933)、アメリカ。


冬の荒野に、一筋の細い道が伸びている。

行く手の空に、鳥の群れが立つ。

渡をしてゆくものか、それともきたものか。どちらにしろ冬に備えているのだ。

自分も何かをしなければならない。そのためにどこかに行かねばならない。

冬は厳しいなどというものではないからだ。


初雁の鳴き渡る空たそかれてあしたの風の冷たさを知る    揺之




コメント (4)
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ジャンヌ・ダルク

2017-11-12 03:06:36 | 絵画


アルバート・ピンカム・ライダー(1847-1917 )、アメリカ。


風景以外のテーマをよく描く、トーナリズムには珍しい画家である。

光の少ない世界に聖女が生きている。

少女の身でありながら国を救おうとして走りだした。

神の声を信じて生き抜いた。

その少女に平凡な田舎の女の風貌を与えている。

侮蔑なのか、それとも恐れなのか。


暗き世に滴る月の明りをも虚仮といひてはすくひも失せむ    揺之






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緑と金

2017-11-06 03:06:27 | 絵画


トーマス・ウィルマー・デューイング(1851-1938)、アメリカ。


単調な背景の中に、女が流れるような肢体を見せている。

足元にある壺は秘密の象徴だ。

絹と陶器の相克は、性愛をにおわせる。

静寂の中に、かすかに背徳の気配がする。


かなしみにぬるるころもを打ち捨てて夢にながるる川音こそきけ    揺之






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午後の光

2017-10-23 03:06:24 | 絵画


ジョン・フランシス・マーフィー(1853-1921)、アメリカ。


金色の風景だ。秋だろう。

午後の光は人を安らぎに誘う。

一日の悲しみを知り、それでもやれる自分を見つける時、苦しいが、何かがあると思う。

どうにもならない馬鹿な現実も、泳いでいける自分とは何なのだろう。

涙がにじむ時もあるのは、おそらくそれが幸せだからだ。


秋の野のいてふ黄金に光り散りけふのうれひも失する昼かな    揺之






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五月の夜明け

2017-10-21 03:05:53 | 絵画


ドワイト・ウィリアム・トライオン(1849-1925)、アメリカ。


どんな夜にも必ず夜明けが来る。

何も解決していなくとも、夜明けを見るたびに何かが始まる気がする。

きっと今日も昨日と同じ努力をするんだろう。

砂を積むように無駄だと見えることを。

それでもやらずばしょうがないことを。


あかつきの光に濡るる目を伏せてきのふの夢を消さむとぞする    揺之







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冬の聖堂の門

2017-10-17 03:03:36 | 絵画


ローウェル・バージ・ハリソン(1854-1929)、アメリカ。


生きる苦しみから解放される門があるとすれば、それはどういうものだろう。

キリスト教の国では日曜ごとにミサに行くそうだが、苦悶の晴れた人間の顔を見ることは少ない。

雪に覆われた冬の聖堂の門は、ここにきてもなにもありはしないと、言っているような気がする。



降る雪のゆきてかへらぬ日のありて悔いて切なき聖堂の門    揺之






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夕焼け

2017-10-10 03:07:03 | 絵画


ジョン・J・エネキング(1841-1916)、アメリカ。


夕焼けは安らぎの色だ。

見ているだけで、暖かいものに包まれていくような気がする。

つらいこともあるが、終わりはくるのだと、誰かが教えてくれている気がする。


ゆふさりて後にしづまる夏空のかどにかたぶくななつぼしかな    揺之





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風景

2017-10-04 03:22:25 | 絵画


マリア・アベケット(1840-1904)、アメリカ。


女流だ。

若干つたなく見えるのは、男でないと見えないものが、見えないからだ。

男が見ると、風景はもっときつく、寒く見える。のどかなのは女性だからだ。

女性の甘さだとも言えるが、それがよさなのだと言える。



青木立降り来る光清ければ小鳥のごとくうたふわれなり    揺之






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本を読む少女

2017-10-03 03:08:23 | 絵画


ウィリアム・モリス・ハント(1824–1879)、アメリカ。


女性が本を読む姿はよく絵に描かれている。

昔から、女性は勉強をすることを阻まれてきたからだろう。

男は女が自分よりかしこくなるのを嫌がるのだ。

こういうテーマが描かれるのは、そういう男の贖罪意識だろうか。


世をためて君の嘘音をかたれどもげに王国の民はゆるさじ    揺之






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夕日のコテージ

2017-09-26 03:15:20 | 絵画


ブルース・クレイン(1857-1937 )、アメリカ。


誰が住んでいるのだろう。人の気配がしない。

夕映えの小屋は、拒絶の壁の中に何かを隠している。

表向きは平凡な幸せがあるように見せながら、重い何かがある。

隠したい嘘を隠すために、人間は絶妙な平凡を作るのだ。


ゆふばえのしじまにぬるるかたいほの軒をとひにし鳥は何知る    揺之






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