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ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

北西の風

2017-09-25 03:04:38 | 絵画


チャールズ・ハロルド・デーヴィス(1856-1933)、アメリカ。


風に乗って何かがやってくる。

あれはただの水蒸気の塊だと、先生には習った。

だがそうとは思えない、何かがいる。



かなたより見知らぬものの声を聞き空をあふぎて白雲を見る    揺之






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初冬

2017-09-23 03:13:37 | 絵画


レナード・オクトマン(1854-1934)、オランダ、アメリカ。


あけぼのの空だろう。

冷たい冬の空気に日が差してくる時、人は柔らかい希望を感じる。

厳しい冬も和らぐことがある。

たとえ絶望的な世界が続いても、はてしない未来に、約束がある気がしてくる。



冬空のかなたに見えぬ鳥は飛び知らぬ神代のちぎりやあらむ    揺之






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影の顔

2017-09-21 03:12:13 | 絵画


ジュリアン・オールデン・ウィアー(1852-1919)、アメリカ。

女の顔に影がかぶさっている。

見てはならないからだ。

月の裏側のように、人間には決して見てはならないものがある。

それを知ってはすべてが終わるという真実があるのだ。



久方の雲にまぎれて去る月のゆくへをとふな祭が終はる    揺之






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ミッドサマー・ナイト

2017-09-16 03:12:53 | 絵画


レオン・ダボ(1865-1960 )、フランス、アメリカ。


青い風景だ。
実際は、いかに夏でもこんな風には見えない。

月の明るい夜でも夜は暗い。

だが人間の感性にはこんなふうに見えるのだ。

暗闇だからこそ感じる光があるのだ。



夏草の深き闇夜にほたるすみ星のまよひのはてかともみる   揺之






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小さな丸い鏡

2017-09-13 03:15:54 | 絵画


エドワード・スタイケン(1879-1973)、ルクセンブルク、アメリカ。


こちらに背を向けて鏡を見ている女は、裸だが、完全に拒否している。

見ることも触れることもできそうなところにいながら、見るものを永遠に拒絶するのだ。

灰色の闇にまぎれて、何かが逃げようとしている。



真澄鏡きよきおもひをとほつ海かすかに光る水に逃さむ   揺之






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黒い漆のテーブルの上の古い中国の花瓶に差した椿

2017-09-09 03:23:02 | 絵画



ジョン・ラ・ファージ(1835-1910)、アメリカ。


黒い背景の中に椿はよく似合う。

紅をまといながら、彼女は拒絶しているのだ。

何かを。


ぬばたまの闇にもとけぬくれなゐの声をこそ聴け深更の月   揺之






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孤独

2017-09-05 03:21:44 | 絵画


トーマス・アレクサンダー・ハリソン(1853-1930)、アメリカ。


暗い水の上に一艘の小舟が浮かんでいる。

それにひとりの裸の少年が乗っている。

だれの心だろう。さまよっているのだろうか。

それとも、行かなければならないところが、苦しいのだろうか。



青春の真木戸のまへにたたずみてわづかにも触る孤独の祈り    揺之






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アルク=ラ=バタイユ

2017-09-03 03:13:35 | 絵画


ジョン・ヘンリー・トヮクトマン(1853-1902)、アメリカ。


何げない風景だ。

土手の向こうから雲がしみだしてきている。

何かが向こうからやってくる。

心配はないと、自分に言えない何かが、自分の中を漂う。



あすかがはかはべの土手をそぞろゆき夏の雲見るわらはべの空   揺之





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引き潮の舟

2017-09-01 03:39:45 | 絵画


チャールズ・メルヴィル・デューイ(1849-1937)、アメリカ。


潮が引き、陸に半身を乗り上げたような舟。

なんでこんなものに引かれるのだろう。

世界に流れている何かに、ついていけない自分を感じているのか。



虚ろなる心を割りてその片身をみづにおとせばやるせなき船   揺之






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ブラッドベリーの水車用貯水池

2017-08-29 03:26:50 | 絵画


ヘンリー・ウォード・レンジャー(1858-1916)、アメリカ。


人の町を少し離れれば、静かな世界がある。

人間はいつしか、そんなところばかりを求めるようになった。

人間以外の声を、聞きたくなってきたのだろうか。



風は吹きもみぢをゆするその声にうれひを聞くや秋のおほぞら   揺之






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