やま建築研究所

私が感じたこと、気になった建築などを書き留めたノートです。

遅まきながら11月より新入社員!やま建フランスリポートは最終日です

2007年10月31日 00時49分38秒 | フランスリポート

ついにやってきました。
前回、就職の内定が決まった発表をしました。
入社日は11月1日です。
今まで務めていた勤め先もいよいよ明日で退職です。

思い起こせば5年前。建築の道に進もうと決心して専門学校に入学、生活のため勉強のためにどこか建築に関わった仕事がないものかと探していました。

夜は学校なので残業不可。テスト前、課題提出前は休みたーい
オレ流で勉強したCADを使った仕事がいいー
ちょっとは建築にかじった仕事をしておきたーい
夏涼しく冬暖かい室内で仕事したーい
就職決まればすぐ辞めまーす

なんてわがままな奴なんだ、と怒られそうですがこんなわがままを受け入れてくれたのが今の会社でした。

ところが働くうちに仕事のおもしろさ、まわりの人々の個性的な温かさ気さくさにどっぷり浸かってしまい、いつの間にやら仕事が中心になってしまいました。
笑いあり、怒りあり、涙ありの人間関係も魅力的でした。

また学校の卒業、4個の資格取得、4回の海外遠征と私生活でもそれなりに充実していました。

あれよあれよと時が過ぎ、出会いや別れもいくばくか・・・。

ついに私もお別れです。

それぞれ進む道は違いますが、一つ屋根の下、同じ釜の飯を食った仲間達ことは忘れません。


やま建、フランスリポート8日目です。(2007年7月10日)

ついに帰国です。
フランス滞在はわずか8日間ですが、ヴェルサイユ、マルセイユに行ったのは遥か昔の出来事のようです。

今日の帰る日ぐらいはゆっくりしようと思っていたのですが・・・
なんとコルビュジエ作品の中でも最も有名な建築、「サヴォア邸」に行っていないことに気づきました。
パリ近郊にあるのでいつでも行けるという油断で、ずっと後回しになっていました。
さてどうする?

諦めるか強行か。

こんなちょい二択が私にはよくあります。
サヴォア邸はパリ中心から1時間、開館は10時。フライトは14時発。
でもチェックインは2時間前。12時には空港に着かなければなりません。

見学時間を1時間と決めて移動をスムーズにこなせればいける!!

さっそく向かいました。

電車を乗り継ぎ、小雨のなか少しばかり迷いながらも10時過ぎには到着。


      ゲートを抜けると森が茂る

敷地内の森を抜けるとありました サヴォア邸


          サヴォア邸正面

芝生と森の緑のなか、白さがひときわ目立ちます。
細い柱で支えられた2階は、1階外壁が緑ということもあり周囲の植物の色と同化して浮いてるようにも見えます。


         正面斜め前から
          (入口は後側)
  
入口から入った正面には2階へと続くスロープがあります。正面に据えているのは斜面を登る「間」を楽しんで欲しいというコルビジュエのメッセージのような気がします。


        玄関正面にあるスロープ

でも歩く距離が長くなる分、生活にゆとりや余裕があってのものだと思いますね。
隣に回り階段を設置したのは、忙しいときなどイライラを感じさせないよう移動できる実用的な面を考慮したせいかもしれません。


左がスロープ、右が回り階段


スロープを上りきると広くて明るいリビングです。見た目そのまんまですが開放感抜群です。


          2階 リビング

ベランダ側は一面のガラス。空の動き、家族の動きが一目瞭然。
あったか~い家庭が築けそうです。


        リビングからの眺め

ベランダからはさらに上へとスロープが続いています。


        屋上へ続くスロープ



          屋上へと向かう

上りきった正面には風景画が!、いや四角い枠に切り取られた風景が壁に掛かっているようです。


          風景を切り取る枠

この時は木が茂って見通しがききませんが、落葉するとセーヌ川が見渡せるそうです。

室内は大部分が白。部屋によっては壁が青や桃色に塗装されています。


             2階子供用寝室



         2階夫婦用寝室


サヴォア邸はコルビジュエが唱えた近代建築5原則を最も純粋に現した建物といわれています。

その五原則とは?
私なりの解釈を入れた説明ですが・・・

その一
 ピロティ

例えると高床式。柱で居室部分を持ち上げることで空いた部分を駐車場や物置にも利用できる。


         玄関前のピロティー


その二 屋上庭園
     
そのまんま。屋根の上のちょっとした草木も生えた庭。屋上緑化の先駆け。


            屋上庭園

その三
 自由な平面    

自由な間取りが可能。
間取りの自由度が高い木造在来工法になじみの深い日本人からするとそんなに斬新なことでもないが、石積み工法のヨーロッパでは壁の配置に制限が多かった。
鉄筋コンクリートはそんなしばりを取り払ってしまった。 


            自由な平面


その四
 横長の窓
壁の端から端まで窓。これも石積みの建物では不可能だったが、鉄筋コンクリートが可能にした。


          横長の窓(室内) 

夏には縁側の引き戸を全開にして通風をとる日本家屋からするとめずらしくもなんともないことですけどね。


       ジャパニーズ横長の窓

その五 自由な立面
柱で支え、壁で仕切る。
構造的に柱と壁は別物となったので壁の配置、デザインの自由度が高くなった。
縁側あり、土間あり、仕切りを外せば大広間。そんなプランが一般的な日本民家は「自由な立面」の先駆けでは


          自由な立面

こうしてみると近代建築五原則は建物が石造であった西洋での話しであって、木造文化の日本には一部あてはまらない、というか当たり前のことのような気がしますね。

でもの室内の明るさにかけてはサヴォア邸は別格です。
外に接する壁全ての面に横長の窓が配置されているため、居室だけでなくキッチンも明るい日差に満たされます。


             キッチン

そんな感じで見ていると1時間はあっという間。すでに11時を過ぎています。
もの思いにふけっている場合ではない


     ゲート横にあるちびサヴォア

重い荷物を背負いながら駅までダッシュ。なんとか11時半の電車に乗れました。
空港に到着したのは13時過ぎ。すでに搭乗手続きがはじまっています。
私の着いた10分後には締め切られていました。
まさにギリギリセーフ。一本電車が遅れていたら飛行機に搭乗できなかったかもしれません。
機内で座席に着いてやれやれ。
日本に戻れる安心感とフランスを去る寂しさが交錯する複雑な気持ちでした。






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