今日の夜、3日間の視察日程を終え、無事に帰宅いたしました。順次、ご報告してまいりたいと思います。
その前に、関係ありませんが、視察先の松山市に到着するやいなや、私の靴が両足とも靴底からはがれだしてしまいました。靴底のゴムが劣化していたのでしょう。歩くたびに、まるでチャップリンの喜劇のように、両方の靴底がぺったんこ、ぺったんこ。急きょ、コンビニでビニールテープを購入し、靴を補修しました。この靴を履いて一人で旅をしろ、と言われれば、かなり恥ずかしいのですが、私のほかに13人の同行者がいる視察でしたので、皆さんに恥を共有してもらい、この靴で3日間辛抱し、江戸川区まで帰ってきました(笑)。
さて、昨晩、二つ目の視察項目の報告をしようと思ったら、夜からGooブログのサーバが翌朝までメンテナンスになってしまい、新規投稿も閲覧もできない状態になってしまいました。迅速にご報告できず、すいませんでした。
では、愛媛県が進めるがん対策推進条例の視察についてご報告いたします。
愛媛県庁および愛媛県議会は松山市の中心部にあります。
愛媛県がん対策推進条例の特徴の第一は、知事提案による条例ではなく、議会提案による条例だという点にあります。それゆえ、私たちが視察に行った際に、この条例について最初に説明をしてくれたのは、県の担当部局の職員ではなく、県議会議員の方でした。
通常は担当部局の職員の方から事業説明を受けることが多い中、議員が説明をするというのは議員提案条例に基づいて実施されている事業ならでは、であり、まれなケースであると言えます。
愛媛県において亡くなられる方の四分の一以上ががんによって死亡しているという状況や、20パーセントに満たないがん検診受診率などの改善を進めるため、3年ほど前に議員の間でがん対策の話が持ち上がり、議員連盟を作ることになったそうです。
そして、1年から数カ月ほど前に超党派のプロジェクトチームを立ち上げ、政策立案を得手とする議員を中心に、具体的な条例づくりを進めていったといいます。そして、最終的には県議会において全会一致で条例案が可決され、成立しました。
その条例案づくりから可決・成立に至るまでには、いくつかのステップがありました。
最初に、がん患者やその家族の思いを共有するため、多くの方の考えや意見を、がん対策推進議員連盟の議員を中心に聞き取りに行ったといいます。そうした幾多の取材を経、県(県議会)として、がん対策の先進県になるべく決意を固めたそうです。これが3年ほど前のことでしょうか。
そして、予防・罹患(りかん)・治療・再発防止などを柱とした条例のコンセプトを整えました。それから、コンセプトについて、幅広く県民にヒアリングを重ねました。このヒアリング作業は事実上、パブリックコメント募集に相当する作業であり、条文を議会内で練り上げてしまう前に、県民の声を条例案に反映させようという試みでした。(実際、それゆえパブリックコメントは実施されていません。)
がん患者の家族の方が議会で参考人として発言する場面もあったといいます。パブコメとしてではなく、事前のヒアリング作業として住民の声を吸い上げるというのは、一考に値する作業手順です。
さらに、作業は続き、がん議連の議員を中心に、全国のがん対策先進自治体の事例を視察しに行きました。そして、それらを参考に最終的な条例案を作成し、議会に発議案を提出。全会一致で可決され、愛媛県がん対策推進条例が成立しました。
普段は県内マスコミから批判的にしか報じられることのない県議会の動きが、この時ばかりは、県内全メディアからたたえられたそうです。
同条例の内容的な特徴は3つあります。第一に、がん対策に向けて患者、家族、医療機関、行政、議会、経済界、メディアなどが協力するという「県民総ぐるみ」のコンセプトです。
第二に、他県にみられる同趣旨の条例とは異なり、県民の要望に基づいて取り入れた愛媛県ならではの独自の条文が9つもあるということです。
第三に、条例の運用のために、今後も継続的に条例の検証と改善を行っていくための委員会を設置し、PDCAサイクルを確保しているという点です。
がん対策の推進に向けた具体的事業としては、例えば、がん診療拠点病院への補助金支給、緩和ケア普及、相談・在宅緩和支援、がん対策普及啓発、地域連携強化などがあります。
愛媛県においてもがん検診の受診率は決して高くはなく、また県内の地域によっては対応医療機関の所在地にバラつきがあるという課題を抱えているようです。また、条例の内容においては、例えば、予後、つまり病後の見通しという視点が欠けていたかもしれないという指摘もあるようです。
江戸川区においては、ちょうど明日、9月1日からがん予防推進月間が始まります。区で亡くなる方の33パーセントが、がんが原因で死亡しています。それにもかかわらず、がん検診の受診率は10パーセントほどと低い状況です。がん対策の推進が必要であるという状況は江戸川区でも愛媛県同様、いえ、愛媛県以上かもしれません。
都道府県という広域自治体の役割と区市町村という基礎的自治体との役割とはもちろん異なってまいります。しかし、愛媛県の推進するがん対策の事例は私たち区議会にとっても、その議会提案型、県民からのヒアリング作業といった立法手続きの特徴という点一つをとっても、大変有意な事例であると思いました。
※掲載している画像の中には、議会事務局より了解を得、お借りしているものがあります。
江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura
その前に、関係ありませんが、視察先の松山市に到着するやいなや、私の靴が両足とも靴底からはがれだしてしまいました。靴底のゴムが劣化していたのでしょう。歩くたびに、まるでチャップリンの喜劇のように、両方の靴底がぺったんこ、ぺったんこ。急きょ、コンビニでビニールテープを購入し、靴を補修しました。この靴を履いて一人で旅をしろ、と言われれば、かなり恥ずかしいのですが、私のほかに13人の同行者がいる視察でしたので、皆さんに恥を共有してもらい、この靴で3日間辛抱し、江戸川区まで帰ってきました(笑)。
さて、昨晩、二つ目の視察項目の報告をしようと思ったら、夜からGooブログのサーバが翌朝までメンテナンスになってしまい、新規投稿も閲覧もできない状態になってしまいました。迅速にご報告できず、すいませんでした。
では、愛媛県が進めるがん対策推進条例の視察についてご報告いたします。
愛媛県庁および愛媛県議会は松山市の中心部にあります。
愛媛県がん対策推進条例の特徴の第一は、知事提案による条例ではなく、議会提案による条例だという点にあります。それゆえ、私たちが視察に行った際に、この条例について最初に説明をしてくれたのは、県の担当部局の職員ではなく、県議会議員の方でした。
通常は担当部局の職員の方から事業説明を受けることが多い中、議員が説明をするというのは議員提案条例に基づいて実施されている事業ならでは、であり、まれなケースであると言えます。
愛媛県において亡くなられる方の四分の一以上ががんによって死亡しているという状況や、20パーセントに満たないがん検診受診率などの改善を進めるため、3年ほど前に議員の間でがん対策の話が持ち上がり、議員連盟を作ることになったそうです。
そして、1年から数カ月ほど前に超党派のプロジェクトチームを立ち上げ、政策立案を得手とする議員を中心に、具体的な条例づくりを進めていったといいます。そして、最終的には県議会において全会一致で条例案が可決され、成立しました。
その条例案づくりから可決・成立に至るまでには、いくつかのステップがありました。
最初に、がん患者やその家族の思いを共有するため、多くの方の考えや意見を、がん対策推進議員連盟の議員を中心に聞き取りに行ったといいます。そうした幾多の取材を経、県(県議会)として、がん対策の先進県になるべく決意を固めたそうです。これが3年ほど前のことでしょうか。
そして、予防・罹患(りかん)・治療・再発防止などを柱とした条例のコンセプトを整えました。それから、コンセプトについて、幅広く県民にヒアリングを重ねました。このヒアリング作業は事実上、パブリックコメント募集に相当する作業であり、条文を議会内で練り上げてしまう前に、県民の声を条例案に反映させようという試みでした。(実際、それゆえパブリックコメントは実施されていません。)
がん患者の家族の方が議会で参考人として発言する場面もあったといいます。パブコメとしてではなく、事前のヒアリング作業として住民の声を吸い上げるというのは、一考に値する作業手順です。
さらに、作業は続き、がん議連の議員を中心に、全国のがん対策先進自治体の事例を視察しに行きました。そして、それらを参考に最終的な条例案を作成し、議会に発議案を提出。全会一致で可決され、愛媛県がん対策推進条例が成立しました。
普段は県内マスコミから批判的にしか報じられることのない県議会の動きが、この時ばかりは、県内全メディアからたたえられたそうです。
同条例の内容的な特徴は3つあります。第一に、がん対策に向けて患者、家族、医療機関、行政、議会、経済界、メディアなどが協力するという「県民総ぐるみ」のコンセプトです。
第二に、他県にみられる同趣旨の条例とは異なり、県民の要望に基づいて取り入れた愛媛県ならではの独自の条文が9つもあるということです。
第三に、条例の運用のために、今後も継続的に条例の検証と改善を行っていくための委員会を設置し、PDCAサイクルを確保しているという点です。
がん対策の推進に向けた具体的事業としては、例えば、がん診療拠点病院への補助金支給、緩和ケア普及、相談・在宅緩和支援、がん対策普及啓発、地域連携強化などがあります。
愛媛県においてもがん検診の受診率は決して高くはなく、また県内の地域によっては対応医療機関の所在地にバラつきがあるという課題を抱えているようです。また、条例の内容においては、例えば、予後、つまり病後の見通しという視点が欠けていたかもしれないという指摘もあるようです。
江戸川区においては、ちょうど明日、9月1日からがん予防推進月間が始まります。区で亡くなる方の33パーセントが、がんが原因で死亡しています。それにもかかわらず、がん検診の受診率は10パーセントほどと低い状況です。がん対策の推進が必要であるという状況は江戸川区でも愛媛県同様、いえ、愛媛県以上かもしれません。
都道府県という広域自治体の役割と区市町村という基礎的自治体との役割とはもちろん異なってまいります。しかし、愛媛県の推進するがん対策の事例は私たち区議会にとっても、その議会提案型、県民からのヒアリング作業といった立法手続きの特徴という点一つをとっても、大変有意な事例であると思いました。
※掲載している画像の中には、議会事務局より了解を得、お借りしているものがあります。
江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura