木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

第1回「地方自治勉強会」のご案内

2011-07-29 18:28:39 | 地方自治
 今日は簡単なお知らせをさせていただきたいと思います。

 初めての試みなのですが、「地方自治勉強会」というものを企画しました。親睦を目的とした集会とは一線を画した、大学のゼミのような純粋な勉強会です。会費もなければ、飲食の準備もありません。ただし、逆に、ゼミ形式の意見交換やディスカッションができるよう、人数は先着の20人までに制限させていただきます。

 議論がごちゃごちゃにならぬよう、毎回、特定のテーマを設定してまいります。初回のテーマ「地方自治と二元代表制を考える」です。

 ふるってご参加ください!

 以下、ホームページのイベント欄の記事を貼り付けておきます。


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2011年9月4日(日)13:30~15:00
 
地方自治勉強会 テーマ「地方自治と二元代表制を考える」

【参加費】 なし

【申込み】 先着20名様まで。必ずホームページにありますお問い合わせフォームよりお申込み下さい。お名前とご住所は正しくご記入下さい。勉強会の会場(区内)はお申込みをいただいたあと、おハガキにてお知らせいたします。正しい名前と住所をお知らせいただかないと、お知らせハガキが届きませんので、ご注意下さい。

【備 考】 ちょうど大学のゼミのように、テーマに沿った発表とディスカッションを中心に90分、皆さんと地方自治について考えていきたいと思います。純粋な勉強会ですので、食事、飲み物などの準備はありません。先着20名様になり次第、参加受付を締め切ります。




江戸川区議会議員 木村ながと
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ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

「安全宣言」と「危険宣言」はともに慎むべき

2011-07-28 03:15:24 | 地方自治
 7月8日の話題になります。実は私は直接参加できなかったので、詳しい情報を入手したのはつい最近です。あらためて入手した記事(注1)を読み、興味深い議論だと思いましたので、自身のブログ記事として取り上げることにしました。放射線をめぐる話題です。

 先月(6月)だったと思いますが、千葉県柏市など各地で相対的に高い線量値が測定され、放射線プルームの現象によるホットスポットの問題が指摘されました。柏市には、新領域科学を研究する東大柏キャンパスがあります。そして、ここでも0.25~0.35マイクロシーベルトという相対的に高めの線量が観測されました。

 ところで、東大はこの放射能情報に関してホームページ(東京大学環境放射線情報)にて次のように記述していました。「少々高めの線量率であることは事実ですが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はないと考えています。」と。

 実はこの記述は6月14日までの記述で、今はこの表現は確認できません。新聞でも目にした方がいらっしゃると思いますが、大学のこの記述をめぐり、教員内から批判があがったのです。物理研究所の押川正毅教授ら45人の教員グループが、①「健康になんら問題はない」という断定的記述の回避、②柏キャンパスと高い放射線量の因果関係が原発事故にあることの明記、③線量測定の再開、などを盛り込んだ改善要求の文書を、6月13日、総長に提出しました。特に問題視されたのは①の「健康にはなんら問題はない」という記述です。

 結局、翌14日に東大は記述を次のように改めました。「従来の疫学的研究では、100ミリシーベルト(1回または年あたり)以下の被ばく線量の場合、がん等の人体への確率的影響のリスクは明確ではありません。(以下、省略)」

 その後、ホームページの記述を批判した教員グループへの賛同者は73人(注2)に増えたということです。記述変更に対する説明も不十分だとして、まだ問題がくすぶっているようです。

 一連のホームページ問題がことの伏線になっていたのかもしれません。実は、7月8日に東大(本郷キャンパス)にて、放射線リスクの伝え方や対策をテーマとした、東大の教員同士による討論会が開催されました。登壇したのは5人の教員で、当日は名指しの批判も交わされ、予定調和を配した白熱した4時間半におよぶ議論だったようです。

 5人の教員とは、中川恵一教授(放射線医療)、島薗進教授(宗教学)、一ノ瀬正樹教授(哲学)、伊東乾准教授(情報学、作曲家)、影浦峡教授(言語学、メディア論)です。ここで私が惹かれた議論は、<中川氏>vs<島薗氏+影浦氏>という構図の、忌憚のないやりとりです。『東京大学新聞』の記事を参考に、この部分に焦点を当てて、簡単にご紹介したいと思います。

 議論を通して最も話題となったのは、専門家が一定の放射線量をもってして「大丈夫だ」と評価することの社会への影響という点だったようです。それゆえでしょう、当日の質疑の多くは放射線医療専門の中川氏に向けられたそうです。そしてまた、島薗氏と影浦氏による批判もまた中川氏にダイレクトに向けられたものでした。

 中川氏は、そもそも医者としての立脚点から、ある信念を持っているということを述べています。それは、医者は患者を安心させることが必要であり、「大丈夫と言わなければいい医者ではない」というものです。これが同氏の医者としての、また専門家としての信念なのだとすると、なるほど、2011年7月1日付の「広報えどがわ」1面にて、現状の区内放射線量をして「安心して生活できるレベルです」と明言していることも理解できます(「理解できます」とは「納得している」とか「納得していない」という評価は抜きにした、論理性に対する理解という意味においてです)。

 ところで、中川氏の立場を、先入観を持って最初から悪者のように評価するのではなく、みなさんが客観評価できるよう次の点も付言しておきます。同氏は「原発はやはり漸進的に置き換える必要はあるように思う」「政府・電力会社からは一銭ももらっていない」ということも、提題の中で明言しておりました。また、先の東大ホームページのくだんの記述には中川氏はいっさい関与していないということが議論の中で明らかにされました。

 さて、こうした中川氏の見解に対し、島薗氏と影浦氏から鋭い批判が向けられました。

 島薗氏はこう述べています。中川氏や山下俊一長崎大学教授らは「100ミリシーベルト以下は安全であるかのような言い方をしている」と。この発言の大前提として、島薗氏が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の「閾値(しきいち)なし直線仮説」(注3)を意識しているのは間違いないでしょう。と言うのも、島薗氏は宗教学の専門家ではありますが、実は医者の家系に生まれ、自身も東大の理IIIに進学し、後に文転したという経歴の持ち主です。精神科医であった父親は米軍の命令を受け、原爆後の広島で脳を拾い集めさせられたそうです。

 島薗氏の批判は中川氏を通り越し、さらに現代の医学にまで発展しています。「調査自体は必要だが、みんなが苦しんでいるときに、なんら患者のためにならないことをするのは、医学なのか」「東大などの医学者の態度には、患者の治療には見向きをせずに調査票だけで分析しようという姿勢があった」(注1に同じ)と。なるほど、深く考えさせられる発言です。

 影浦氏は、中川氏の「大丈夫」発言をとらえ、次のように批判します。「中川准教授の意図は問題ではない」(注1に同じ)、そうではなく、その発言による社会への影響が問題なのだ、と。

 先の島薗氏も同趣旨の観点から、東大ホームページの「健康に影響はない」記述が、筆者の意図とは無関係に利用されてしまうことを指摘しました。この記述が周辺自治体のホームページに引用され、また除染が不要であるといったことにまで利用されたというのです。

 以上が、放射線リスクをテーマとした東大教員同士による討論会の、特に<中川氏>vs<島薗氏+影浦氏>の議論の要諦です。

 最後に、私自身の意見です。私は、ICRPの「閾値(しきいち)なし直線仮説」が科学的にも、論理的にも、きわめてまっとうな考えであると思います。100ミリシーベルト以下の低線量が現代の科学では評価のしようがないというのですから、その状況下でのガンの発生リスクは線量に応じて直線的に増減すると推定するのが自然であることは、誰の目にも明らかです。まず、これが大前提です。

 そうすると、低線量の被ばく状況にあるとき、もはや「安全である」とか「安全でない」という評価をすること自体が、そもそも間違っているということにならないでしょうか。科学的に評価できないことを踏み込んで評価するというのは、ある種のパターナリズム(注4)だと思います。(くしくも、中川氏もパターナリズムであることを認識しての対応だと述べていました。)

 行政や経営の執行者側が、関係者一般を安心させたいという気持ちに駆られる心理は分からないではありません。しかし、「仮説」の世界にパターナリズムによる評価を下すということは、その非科学的な評価と記述に一人歩きを許す余地があるということだと言えます。

 困難な課題ではありますが、「安全宣言」も「危険宣言」もともにすべきではなく、ICRP勧告の「閾値(しきいち)なし直線仮説」を平易な言葉で繰り返し説明するということ、さらに不安に駆られる人が一定程度いる以上、観測データの収集とその迅速な公開、さらに除染方法など対策の情報提供を行うことなどが、執行者側としてできるぎりぎりの対応であると思われます。



(注1)『東京大学新聞』2011年7月19日、1面、3面

(注2)『東京大学新聞』2011年7月26日、2面

(注3)低線量リスクの不確かさを前提にした立場。低線量(<100ミリシーベルト/年>以下)の被ばくでもガンになるリスクの増加はゼロとは言えず、リスクは被ばく線量に応じて直線的に増減するとみなす、という仮説。

(注4)強者(父)が弱者(子)の権利を守るためとして、弱者の意思決定や権利に干渉すること。国家が個人の意思に干渉したり、医者が患者の意思に干渉するなどの類型がある。



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ツイッター(Twitter)を利用しています!

2011-07-27 05:07:50 | 地方自治
 みなさん、ツイッター(Twitter)をご利用でしょうか? 利用している方も多いと思いますが、その反面、まだ利用していない、あるいはまだ「なにそれ?」とおっしゃる方もいらっしゃるだろうと思います。

 今さらながらの説明になりますが、ツイッターとは米国発の簡易投稿サイトで、140字以内という短い文字情報を、登録し合っている(フォローしている)仲間同士の間でやりとりできるツールです。イメージとしては、電子メール、ブログ、SNS(facebookやmixiなどのソーシャル・ネットワーク・サービス)、チャットなどを簡易に、かつ単純化したような感じでしょうか。ちょっと説明が難しく、うまく例えられませんが・・・。

 ツイッターの最大の特長は、①情報発信のリアルタイム性が非常に高いということと、②情報発信や受信がとても簡単だというという二つの点でしょうか。

 第一のリアルタイム性が高いということは、インターネットへの接続環境さえあれば、パソコンの前にいなくても携帯電話ででも、いつでもどこからでも自分の情報を発信できるということです。ツイッターが緊急性に強いツールと言われる理由はここにあります。3月の東日本大震災をめぐる避難時に使われたり、帰宅困難者の情報交換に利用されたというのは、みなさんもよくご存じのとおりです。

 また、第二の点については、ツイッターには発信可能なテキスト情報が140字以内という制限があるのですが、これは短所というよりも、むしろツイッターを利用しやすくしている長所ではないかと、私は考えています。140字であれば、文章構成をあれこれ考えたり、推敲する必要もありません。その場で思いついたことを簡単につぶやくだけです。ブログとはその点が大きく異なります(簡単な内容のブログしか書かなければ、それはツイッターとあまり変わりないかもしれませんが・・・。)

 いずれにしても、ツイッターに自分のアカウントを設定してしまえば、利用方法も単純で、きわめて敷居の低いツールと言えます。今は日本語にも対応していますので、アカウントの設定にも所要時間は5~10分といったところでしょうか。

 私がアカウント設定したのは2009年9月で、イランで民主化を求めるデモ行進がさかんに行われ、反体制派の連絡ツールとして国際ニュースなどでツイッターの利活用が報道されていた時でした。その時すでに日本語にも対応ずみでしたが、国内ではまだツイッターについては一般的に「なにそれ?」と言われることが多かったような気がします。

 しかし、アカウントを設定し利用を開始した当時、私は他人のつぶやき(ツイート)を受けるばかりで、あまり有効な利活用をせず、そのまま2年ほど寝かせておりました。

 今般、あらためてアカウント情報を更新し、政治の活動報告(プラス、どうでもよい私的なつぶやき時々あります)などを発信すべく、積極的な利用を開始しました。

 積極活用をし始めてから、今さらながらにそのリアルタイム性を実感しています。出先の現場で何かを知りたい時につぶやくと、誰かが適切な情報を教えてくれたりします。はたまた、現場で事故に遭遇したとき、目撃したとき、その情報をすぐに発信することができます。これはかなり便利です! 携帯電話網がパンクしても、インターネットはたいてい大丈夫です。家族間の緊急連絡用ツールにも使えますね。

 『都政新報』の記事によれば(注1)、東京23区で行政としてツイッターをすでに導入している区は港、新宿、文京、目黒、世田谷、杉並、荒川、練馬、葛飾の9区ということです。一方、千代田、台東、江東、大田、中野、豊島、北、板橋、江戸川の9区では現在、導入を検討している状況にあるようです。我が江戸川区では災害対策課が広報課などと導入に向けた検討を進めています。先日、災害対策課の課長にあらためて早期の導入に向けはたらきかけをしたところです。

 今私がフォローしているアカウントの一つに警視庁のものがあります。警視庁が都内で発生した犯罪をひとつひとつツイッターで発してくれるので、ほぼリアルタイムで江戸川区で発生した犯罪を把握することができます。私はその警視庁の情報をリツイート(再度拡散発信すること)して、犯罪情報をさらに広く知らせています。

 ツイッターの特徴をいろいろ書いてみましたが、なんといってもご自身で利用してみるのが一番です。繰り返しになりますが、ツイッターは敷居の低い情報ツールです。気楽な気分でみなさんもツイッターを始めてみてはいかがでしょうか。

●お役立ちサイト
ツイッターの使い方「ツイナビ」


(注1)『都政新報』2011年7月15日2面




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空間放射線量や給食食材の放射能汚染の調査を要望する陳情に対する私の意見

2011-07-22 22:52:47 | 地方自治
 今日、福祉健康委員会がありました。朝10時から始まり、午後1時25分までの約3時間30分の長めの委員会となりました。

 議論の多くが陳情審査に割かれたのですが、中でも、子どもたちへの放射能の影響を不安視し、空間線量や給食食材汚染の調査を要望する陳情8本をめぐる議論に多くの時間が費やされました。

 私が今日の委員会で発言した内容を箇条書きで簡潔に記しておきます。

●教育委員会から提出された資料要求に対する回答資料について。「江戸川区は実施しておりません。23区に関する資料はございません」などという木で鼻をくくったような回答が多い。「23区に関する資料はございません」とは「調べていません」「調べません」と同じ。もっと誠意ある回答を出すべき。

 ということで、私の要求した資料に対する回答部分ではなかったのですが、あまりにひどい回答だったので、まず、委員長に教育委員会への誠意ある回答資料を要求しました。この点は他委員も異口同音に述べていた点です。

 次に、「食材は生産自治体で食品衛生法に基づいて検査され、汚染されたものは取り除かれ、市場に出回っていないと考えている」という健康部長の発言があったことを受けてのものです。

●先月までなら、その理屈は成立したかもしれない。ところが、その検査体制はこの1週間で破綻したと言える。セシウム汚染牛の問題だ。食品衛生法に基づく検査が実施され、「安全」とされる食材が出荷されていた。国際放射線防護委員会(ICRP)専門委員の甲斐倫明教授も「食品監視の失敗。健康不安だけでなく、裏切られたという不信感が広まっている。国は検査計画を立て直す必要がある」(注1)とはっきり指摘している。根本的には国の責任だが、いま現行の検査体制の欠陥が明らかとなり、消費者が不安と不信を抱く状況になったなかで、なお国の検査体制を信じるというのは、自治体サイドとしては無神経。むしろ、身近な区民が不安を持っている状況を理解するなら、われわれ自治体から国に食品検査の見直しを要望すべきだ。

●食材の検査をするのは野菜でも肉でも生産する都道府県。しかし、食肉は家畜を解体しないと汚染されているか否かわからない。同時に、処理能力の問題もあり、福島県の牛が福島で解体されるのは1割程度。残りは出荷先の都県で解体される。国が全頭検査を要請しているが、都は全部こなせないということらしい(都の対応については衛生課長の答弁を受けたもの)。今、区の学校給食では特に牛肉の産地別対応措置は取っていないようだ。今日までのところ、学校で消費した牛肉の中にセシウム汚染牛として発表された個体識別番号に合致する牛から取られたものは、幸い、ないようだ。しかし、今後、汚染牛の問題がさらに広がりを見せれば、後の祭りということもありうる。

●国の検査体制は欠陥があった。都は全頭検査を実施できない。そうであれば、やむを得ぬ措置として、区で対応を考えるべき。具体的には、厚生労働省がモニタリング検査を要請した福島や宮城など7県の牛肉を、当面、給食の食材として利用するのを控えるべきだ。横浜市はいち早く産地別の対応をとった。

 この他にも、認証保育所入所者への保育料補助の陳情や保育園民営化に関する陳情なども議論が交わされ、私ももちろんそれぞれで発言しましたが、それらについてはまた別の記事として今後、考えを発信してまいりたいと思います。

 とりいそぎ、今日の委員会での放射能関連陳情をめぐる発言抄録でした。


(注1)『朝日新聞』2011年7月20日38面




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被災地の動物を支援するAll For One Animal

2011-07-17 01:02:50 | 地方自治
 昨日から震災ボランティアの話題が続きますが、今日は私の知り合いの西葛西の熱帯魚屋さんをリーダーに、取り組みの始まった、震災ボランティアの活動をご紹介したいと思います。

 会の名前は「All For One Animal」です。立派なホームページとブログがあり、設立の経緯や活動報告がそちらに詳しく綴られています。

 詳細はどうか公式サイトをご覧いただきたいのですが、All For One Animalのスタートは、被災地での支援がどうしても二の次になってしまっているペットなどの動物たちを救い、その飼い主を支援することはできないか、という問題意識にあったようです。そして、そうした動物の支援に腰を上げたのが、各地のペットショップ等でプロとして活躍していた動物専門学校の卒業生たちだったというわけです。

 リーダーは西葛西駅近くに店を構える熱帯魚専門の「アクアショップ Dino ディノ」(東京都江戸川区西葛西3-14-3)の日野義久さんです。私もこちらで水槽のエビくんたちを購入したりと、もともとご縁のある知人です。

 もっとも震災後に日野さんが店をそっちのけでこうした取り組みを積極的に進めているとは知りませんでした。6月になって、日野さんから災害派遣等従事車両証明書の件で問い合わせがあり、初めて知ったという次第です。

 震災後、すでに数回、交通費も自腹で被災地へ赴き、ペットフードの配布やトリミング、シャンプーなどをしてきているといいます。こうした震災の際、人の支援が優先されるのは仕方ないとしても、助かったペットを抱える被災者にしてみれば、そのペットたちも実は家族同然です。周囲から白い目で見られながらも、ひっそりと目立たぬようにペットに餌をやり、愛でる光景は容易に想像できます。

 不足しているペットの餌を供給したり、汚れた体を洗ってやるばかりではないようです。

 震災によって被災地の動物たちもかなり精神不安定になったようで、各地でペットが落ち着かなくなったという話を聞きます。そうした際に、動物の専門家がいれば、やたら吠えたり鳴いたりして仕方ない犬を鳴かなくさせたりすることができるようです。こうしたボランティアの存在は、被災動物という光の当たらなかった部分に手を差し伸べる、頼もしいものであると思います。被災地で必要とされていることは間違いないでしょう。

 日野さんの話を聞いて、すっかり感心してしまいました。All For One Animalのみなさんの活動には、今後も声援を送りたいと思います。




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被災地ボランティアの減少

2011-07-16 23:01:15 | 地方自治
 被災地ボランティアの減少が深刻なようです。

 ゴールデンウィーク後のボランティアの減少と人手不足が指摘されていましたが、7月2日の朝日新聞(夕刊)の記事によりますと、その人手不足が裏付けられたかたちです。

 同記事のリードには「東日本大震災から3カ月半の間に、岩手、宮城、福島3県の市町村の災害ボランティアセンターを通じて活動したボランティアは延べ約48万3千人で、阪神大震災の約4割にとどまっていることが、全国社会福祉協議会のまとめでわかった。阪神では、同時期に約117万人が活動していた。」とあります。

 なぜなのかは、私にもよく分かりません。しかし、指摘されているような、人々の「無関心」のせい、とばかりにも単純には言えないのではないかと思います。私なりの感じている人手不足減少の理由は次のようなものです。

 一つには、長引く不況の中ですでに人々が生活に余裕がない経済状況下にあったという点です。この点は、阪神淡路大震災時と比べると大きな違いだと思います。例えば、阪神大震災と今次の震災との日経平均の株価だけを比べてみても、国の経済力の差は一目瞭然です。午前5時に発生した阪神淡路大震災のあった当日の日経平均の始値はなんと1万9322.46円もあったのです。およそ今の倍近い株価です。今は9000円台後半で、円高も手伝い、景気は長期のヘロヘロ状態です。被災者の方々が直面されている惨状を前にこうした表現をするのはためらいもありますが、そもそも震災前から国民全体が慢性的な生活に余裕のない状況下にありました。阪神淡路大震災の発生によって約半年間、株価は下落していきましたが、それでも底をついた95年8月の日経平均は1万4000円台でした。

 もう一つには、大変皮肉なことだと思うのですが、阪神淡路大震災時のボランティア活動とその課題に対する記憶と経験値があるだけに、たくさんのボランティア活動をめぐる規範や能書き(「能書き」と書くと悪いことのように聞こえてしまいますが)が周知されてしまったということでしょうか。例えば、「ボランティアに行くなら、自己完結型で装備していくこと」「思いつきの単身ボランティアではなく、なるべくグループでいくこと」といったボランティア活動のお作法が周知されたことで、二の足を踏んでしまっている人がいるのではないかと思われる、ということです。阪神の経験でボランティア活動の課題が明らかとなり、よりよいあり方が広く理解されるようになったという点では確かに進歩なのです。よいことなのです。しかし、そのことがボランティア活動参加のブレーキとなっているとしたら、どのように評価したらよいのでしょうか。戸惑ってしまいます。私の思い過ごしかもしれませんが。

 さらにもう一つは、明らかに福島第一原発事故による放射能漏れの影響です。放射能に対する心配がボランティアに参加しない人を作り出してしまっていることは、間違いありません。私が先月ボランティアに行く時に、友人から冗談ながらも「戻ってこなくていいよ、汚染されてるだろうから」と言われたことがありました。よく考えれば、笑えない冗談です。

 大勢の市民の力で成り立つボランティア活動は、一人の先導や努力でどうなるものでもありません。お互いに善意を広め、積み上げていくしかないのだと思います。

 私の所属している習志野レスキュー・サポート・バイクも、今月は会員の都合がつかず、被災地へのがれき撤去派遣の日程が組めなかったので、偉そうなことはひとつも言えません。

 それでも、来月以降も、また現地へ赴きボランティア活動に参加していきたいと思います。

 私自身の取り組んでいる「車を被災地へ寄付する活動」も引き続きよろしくお願いいたします。車の買い替えなどで、まだ乗れる、でも廃車してしまうという車がお手元にある皆さんは一言お声掛けいただければ、現地の被災者の方々に車を寄付できるよう手配をしたいと思います。どうぞ遠慮なく、ご連絡ください。




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九電「やらせメール」問題と電力の自由化

2011-07-09 01:38:50 | 地方自治
 7月6日に発覚した、九州電力の玄海原子力発電所をめぐる「やらせメール」問題は国内で揺れる原発問題をさらに複雑なものにしたように思われます。ストレステストの導入で原発再開の時期を二転三転させ定まらない政府の対応とあわせ、原発政策、電力政策はどこに向かっていくのかまだ見極めきれません。電力株もさらに急落したようです。まさにあらゆる点で原発問題は混迷を極めていると言えます。

 今回の九電「やらせメール」事件は内部告発によって明らかになったそうです。「九電やらせメール:番組前に関連会社社員から内部告発

 内部告発をした、勇気ある当該社員には、大きな拍手を送りたいと思います。公益通報者保護法という法律が2006年から施行されていますが、それでも現実には、内部告発をすることで通報者はいじめや左遷など大きなリスクを背負う可能性があります。「いじめや左遷ではない」と雇用主が主張すれば、見解の相違をめぐって、司法で争わねばなりません。元の仕事環境に戻れるかどうかわからないリスクを考えれば、今回の通報も本当に立派な決断です。

 さて、やらせメール問題はさっそく九電社長の去就にも影響してきています。当然でしょう。今のところ、辞任か否かはよくわからないようですが、個人的には、問題の経過を内部調査し、国に報告を終えたところで経営責任者は即辞任すべきと考えます(今日、明日に即辞任でもよいかもしれません。調査は次の社長が取り組むという方法もあります)。

 そうでなければ、不祥事を起こした組織として対外的な信頼回復は望めないでしょう。社長個人が関与しようがしまいが、関係ありません。組織の倫理のあり方として決すべきことです。もっとも私は株主ではありませんので、あとは企業関係者の皆さんで決めていただくことです。

 さて、何がそもそも問題だったのでしょうか。「そんなのあたり前」と言われてしまいそうですが、「では、なぜあたり前なの」と言われると、案外、説明するのに考えてしまうものです。

 別に難しいことではありませんが、あらためて文字にしてみたいと思います。

 やらせメールが寄せられた番組は、経済産業省が玄海原発の安全性を県民向けに説明する地元ケーブルテレビの番組(6月26日放映)だったそうです。そもそも、原発政策を推進する立場の経済産業省が主催する番組というところに意図的なるものを感じざるを得ませんが、この「そもそも論」はとりあえず横に置いておきます。

 そして、この番組に参加できる人数には限りがあったため、玄海原発を再開させたい九電は、やらせメールのさくら投書で「原発再開を望む一般人がこんなにたくさんいるだよ」観を演出することを思いついたようです。

 本来、こうした一般からの声を募る投書やアンケート調査などでは、できるだけ、偏った母集団からの意見の集中がないことが期待されています。実施者が基本的に答えの回収作業にも関与するアンケート調査では、アンケートの調査対象を選ぶところで偏りがないよう注意を払います。アンケート調査の公平度において信頼性を保つためです。

 しかし、一般からの声を募る投書の場合は、実施者が対象を抽出することができません。今回のケースで言えば、テレビ局はどんな人が投書したり、メールを送ってくるのかまでは分かりませんし、送られてくるメールの受信を選ぶこともできません。九電がしたように「疑われないよう、自宅から送信するように」などといった小細工までされてしまえば、なおさら防御のしようがありません。世論の声を無作為に伝えたはずの番組の信頼感は大きく損なわれました。経産省も顔に泥を塗られてしまいました。

 九電がしたことは、つまり、作為的な情報操作、世論操作という倫理違反です。

 では、なぜ九電は世論操作をしたのでしょうか。いえ、もう少し普遍的に、世論操作をするということはどのような状況なのか、について考えてみたいと思います。

 私は、世論操作をしたがる組織の置かれている状況にはある一つの共通点が存在すると考えています。それは、世論操作の実施者は、政治においても経済においても、常に社会主義的な(つまり、自由主義的競争原理の機能しない)状況下における支配者の地位にあり、なおかつその支配者的地位にあることやその運営方法が批判されている場面にある、ということです。

 具体的に見てみましょう。日本の電力会社は地域ごとに分かれていますが、各地域においては発電でも送電でも独占企業という状況にあります。日本の電力業界というフィールドだけを観察すると、そこは社会主義経済で支配されており、自由競争は許されていません。(インフラ整備の整っていない発展途上にある国家であるならともかく、今の日本で競争原理の働かない電力業界が本当にこのままでいいのでしょうか。)

 きっかけは福島原発事故でしたが、原発のあり方から電力の自由化の問題まで、電力業界をめぐる多くの問題が議論されるようになりました。安寧としていられた独占企業(九電)が、突如、その支配的地位に危機感を感じ始めました。倫理を忘れ、情報操作に走るという愚を犯してしまいました。

 政治の例はどうでしょう。例を挙げるまでもないかもしれません。社会主義国などの全体主義体制や軍部や一族あるいは宗教者による独裁国家においては、平時、その支配的地位はおそらく絶対的なものとして「安定」しているのかもしれません。しかし、社会や民衆の不満が鬱積してくれば、やはりやらせやさくらで世論を操作しようとします。「民衆よ、私を信任する声がほとんどだよ」と。

 基本的に、社会主義国や独裁国家においてはメディアも官製ですし、えてしてそうした国家では内務省や警察による取り締まりが厳しいため、やらせやさくらを批判する前に、あきらめのムードが通常は支配的なのかもしれません。今年、チュニジアに始まった中東の一連の民主化ドミノはそうした民衆の批判が爆発したものなのでしょう。

 いずれにしても、情報操作をしたがる者はそのフィールドで独占的にふるまうことが約束された独裁者たちばかりです。自由競争が保障されていなかったばかりに(注1)、愚かな電力会社が情報操作という倫理違反を犯してしまいました。情けないことです。

 私は、今回の「やらせメール」問題と、情報操作、世論操作に走った九電の失態を見、単なるトップの辞任問題だけでは終わらない、インフラ整備の整った現代日本においてはたして各電力会社の独占経営が許されていてよいのか、競争原理の働かない業界は不健全ではないのか、という問題をあらためて考えました。

 脱原発を支持するとかしないといった問題ではなく(私は脱原発論者ですが)、まず、業界における健全な競争原理がはたらくように、電力業界の自由化も同時に進めるべき課題と声高に申し上げたいですね。

(注1)競争原理がはたらくようにすれば、やらせが完全になくなるとは申しません。なくらないないでしょう。ただ、競争原理が機能する装置にしておけば、やらせという倫理違反を犯すことが競争相手との勝負で不利に働くという危機感を持たせる可能性はあります。やらせなどの小細工に走る前に、市場での競争に勝つことに力を注がざるを得ないでしょう。やらせに走る愚は多少は減るものと理解しています。




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不採択意見書

2011-07-05 17:12:16 | 地方自治
 今日、午前中の常任委員会が終了した後、午後一番で議会運営委員会理事会が開かれました。今日の議題の第一は各会派から提案されていた、国などに要望というかたちで訴えかける意見書案の協議でした。

 とは言っても、私は議会運営員会の委員でもなければ、理事でもないので、直接出席していたわけではありません。

 しかし、今回、原案としてそのたたき台を私が執筆していた意見書案がありましたので(「民主・ネット・えどがわ」「みんなの党」にも推敲してもらい、「無所属クラブ」を加えた共同提案というかたちで提出)、私としては今日の協議の結果が気になっておりました。

 意見書案の内容は、放射線量調査の実施を国に求めるというものです。

 ですが、残念ながら、結果は没。「民主・ネット・えどがわ」「みんなの党」「日本共産党」からは賛意が示されたようですが、「自由民主党」「公明党」からは理解を得ることはできなかったようです。

 苦労して仕上げた意見書だったので、トホホ…です。まぁ、これでめげてる場合でもありませんが。

 せっかくですので、日の目を見ることのなかった不採択意見書ですが、ここに掲載させていただきます。


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国に環境放射線量調査の実施を求める意見書(案)

 3月の福島第一原発における事故以来、東日本を中心とする全国各地で放射能汚染をめぐる深刻な懸念の声が出続けており、最近では放射性プルームの現象による「ホットスポット」の話題がその懸念に拍車をかけています。

 この間、空間線量検査に積極的に取り組む自治体がある一方で、検査の実施に消極的な自治体もあり、その対応は自治体ごとにバラバラに分かれています。同一の広域災害をめぐる、こうした自治体間の不統一な対応が、住民の不安を増幅してきた点は否めません。

 福島原発の事故は国難に値する広域的かつ長期的災害です。政府として、放射能をめぐるさまざまな課題について、国民を守るための統一した具体的策を法的に実施する必要があります。一般公衆が直面している放射能汚染の課題の中には未対応の部分も多く残されており、以下の具体策を強く求めるものです。

① 全国の指定地方自治体に対し、環境放射線量調査を定期的かつ継続的に実施するよう義務付けること。その際、検出された測定値の外部攪乱要素を最小限に留めるため、自治体職員でも分かりやすい測定実施マニュアルを作成、配布すること。

② 線量調査実施に要する経費については国が全額負担すること。また、独自の判断で調査を先行実施してきた自治体が負担してきた経費についても国が全額補てんすること。

③ 線量調査の実施により、年間推定被ばく線量が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に規定されている限度値1ミリシーベルト以上と予測された場所については、さらに詳細な調査を実施する措置を義務付けること。

④ 線量調査の実施とあわせて、国民の不安に対する具体的解消策の一つとして、国が一般にも分かりやすい、放射性物質のスクリーニング(汚染検査)および除染についてのマニュアルを作成、配布し、ホームページなどで広く国民に広報すること。

 江戸川区議会は、国に、環境放射線量調査の実施を自治体に義務付ける措置を講ずるよう強く求めるものです。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出いたします。

平成23年7月  日
江戸川区議会議長


内閣総理大臣
厚生労働大臣
文部科学大臣
農林水産大臣
経済産業大臣 宛て

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江戸川区議会議員 木村ながと
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これって広義の「天下り」では?

2011-07-01 08:38:01 | 地方自治
 2~3日前のことになりますが、環境促進事業団(江戸川区の公園管理を担っている組織)の担当職員から、民法改正に伴う同事業団の公益財団法人化に際しての人事案件について説明がありました。

 公益法人化そのものは、2006年に始まる公益法人制度改革に則り、手続きが進められているものです。

 今回の移行措置の中で、人事をめぐり、いわゆる「天下り」と判断されても仕方のない事例がありました。江戸川区ではこれまで、皆無だったとは申しませんが、天下りの事例は国や都のそれに比べると、はるかに少なく、議員としてもこの点を誇らしく思ってきたところです。しかし、今回の人事案件は、それだけに、「なぜ?」という残念な思いです。

 平成11年に現在の区長が就任して以来、時代のニーズを終えた土地開発公社、区民施設公社といった外郭団体は順次廃止されてきました。これらの外郭団体は決して天下りの受け皿組織となっていたわけではありませんが、それぞれの廃止は的確な判断であったと賛同してきたところです。そして、今回、公益法人制度改革により区最後の外郭団体である環境促進事業団も解散に向けた移行措置に入っているわけです。

 しかし、そんな中にあって、今回の公益財団法人移行後の役員の案は残念なものでした。

 問題の部分は、4名の理事の選任です。4名の中の一人は外部の人、一人は現役の職員で、これはよいと思います。しかし、残りの二名のうち、一人は部長級で退職した元行政職員であり、もう一人は10期務めた元ベテラン区議会議員となっています。

 議員が半行政的な職に登用されるのを厳密な意味で「天下り」というのかどうかわかりません。外郭団体ではない、公益法人の職に就くことも「天下り」と呼ぶのかどうかわかりません。しかし、細かな定義は横に置いておくとして、これって、ほとんど「天下り」臭くないでしょうか? 少なくとも広義の「天下り」とは呼べるでしょう。

 この4人の理事を選任したのは環境促進事業団の理事会です。理事会のメンバー構成は、区長、副区長、各部長ら12人の行政関係者です。説明を受けた際、「なぜ元土木部長なの?」という質問をしたのですが、その時の答えは「余人をもって代えがたい」という趣旨のものでした。

「???」

 この説明で世間の理解を得ることができるでしょうか。

 確かに、公園行政には造園などとともに、土木、建設、街づくりなどの専門知識は有用かもしれません。この点をまったく理解しない、というわけではありません。しかし、この就職難の時代、そうした専門技能を持った人材をあえて外に求める努力をしてもよかったのではないでしょうか。

 元土木部長には何の恨みもありません。行政判断では対立する事項もありましたが、人柄はよいと思います。しかし、人柄と公益財団の人事とは別問題です。区民や社会の理解を得られるか、という視点が大切です。

 かの元土木部長は理事長職の候補ということで、月額報酬はなんと68万円!だといいます。現職議員よりも高い報酬です。

 しかし、私にはもう一人の、元区議の話のほうが同じ議会人としては残念でした。といいますのも、元同僚(というより、先輩ですが)議員がこうした役職を受けたという点です。

 行政の天下りを批判すべき立場にあったであろう人が、立場が変われば、こうも簡単に行政の有償ポストを受け入れてしまうのでしょうか。個人的にもお世話になった先輩議員で、とても言いにくいのですが、はっきり言えば、失望しました。

 元区議は専務理事の候補ということですが、常勤ではないので、月額報酬は35万円だそうです。常勤でないにもかかわらず、35万円です。この報酬だって世間のサラリーマン給与の平均以上です。

 こんなことでは、時代の趨勢とは逆向きです。今回の理事会の人事案はまことに残念です。

 公益法人移行措置の承認は内閣府または都道府県です。残念ながら、区議会の議案にはなりませんので、議会での賛否はいっさい問われません。(議案としてあがってくれば、迷わず反対。)東京都が8月に承認するかどうかの決定をするということです。

 4月末の選挙で大量得票をした区長ですが、こういう行政運営をしていると、区民の信頼は見えないところで少しずつ失われていくと思います。議員を除けば、表立って指摘する人は確かに少ないでしょう。しかし、逆に言えば、理事に就任予定のご当人たちは除いて、いったい何人の人がこの人事案を心底「素晴らしい」と歓迎しているでしょうか…?




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