木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

行政委員の報酬を考え直す

2012-02-29 23:41:18 | 地方自治
 こんばんは、木村ながとです。

 2月28日の総務費の審議に際し、選挙管理委員会費のところで、私は行政委員の報酬をめぐる問題について取り上げました。以下、その部分のやりとりの抄録です。(記憶をたどっていますので、議事録とは多少の言葉の齟齬があるかもしれません。)

木村
 昨年末、滋賀の選挙管理委員の月額報酬の適否をめぐる裁判に関する最終審の判決が出されました。一審、二審では高額な月額報酬の支払いが違法とされました。しかし、最高裁における最終審では「業務の性質に応じて判断し、自治体の裁量に委ねられる」(朝日新聞)とされました。

 原告敗訴で終結した裁判ですが、重要であったと思われるのは、行政委員とその報酬という全国の自治体が抱える重要課題について、あらためて議論される機会が提供されたということです。この間の国民的議論がさまざまな影響を与え、各地の自治体で行政委員の報酬制度のあり方について考えるきっかけが提供されたと考えています。

 まず、この判決の事例を受け、江戸川区の選挙管理委員会としてどのように考え、あるいは議論されたのか、伺いたいと思います。

選管事務局長
 「月額報酬が違法とは言えない」とした最終審の判断のポイントは3つあったと思う。

 第一に、月額報酬にするか日額報酬にするかは自治体(または議会)の裁量に委ねられているということ。

 第二に、行政委員会は首長とは別に独立した執行権を持つという立場であり、専門知識が必要とされ、さらに訴訟を起こされた場合には首長に代わって訴訟を受ける立場にあるなど重責を担っており、こうした人材の質の確保には相応の報酬が必要とされるということ。

 第三に、実際の登庁日以外にも関係団体の総会への出席や選挙時の緊急事態への対応や不定期な選挙への対応も求められるなど、数字以外の労務も背負っていること。

 選挙管理委員会では、この裁判の報告を行い、内容を吟味の上、区選挙管理委員会での報酬についての見直しは必要ないと判断したところである。

木村
 最高裁の判断については、その「主文」に続く「理由」を精読すると、感情論とは別の冷静な議論が組み立てられていると思われ、賛同するところです。私は極端に低額の報酬や日当制にせよという議論に組みするつもりはありません。

 極端に低い報酬の導入は、平日日中に行われ、また訴訟追行の責任(選管の委員長などが開票結果をめぐって訴えられ裁判を背負う事例など)を背負う業務、しかも専門的知見を持つ有能な人材確保が望まれる業務において、かえって人材の質の低下という別の課題を生むため、賛同できません。行政委員会が、不労所得のある資産家や、引退後のお金と時間に余裕のある人ばかりの集合体になっては困ります。

 私は、若くて、かつ有能な専門的知見を持った多様な方々に集まってほしいと考えています。低額報酬は多少の節税効果や公務員・政治家憎しの感情は満足させることはできても、人材確保での問題を新たに生みます。

 しかし、こう述べたからと言って、それは現行の区の行政委員の報酬水準が適切だということも全く意味はしません。私は、現在の区の行政委員の報酬水準は有権者の目から見れば、まだ高いのではないかと考えます。特別職という身分にある自分たちのことを棚に上げて議論するのは憚られますから、そんなつもりで申し上げるのではありません。

 私が申し上げたいのは、時代は変わりつつあり、有権者の目も変わりつつあるということです。今の区の行政委員の月の報酬額(給与)は額面で次のようになります。

 教育委員長31万円、教育委員25万円、選管委員長28万円、選管委員22万円、常勤監査委員63万円、非常勤代表監査委員34万円。

 これがはたして適切なのでしょうか。十分議論の余地があると思いますが、いかがでしょうか。

選管事務局長
 現在のところ、区の選挙管理委員の報酬水準は適切なものと考えている。しかし、議論は続けていく。

木村
 ぜひ議論を続け、目に見える形で改善していただきたいと思います。

 われわれ議員や区長などの特別職の報酬(給与)の話を最後にします。特別職の報酬(給与)は特別職報酬等審議会(以下、報酬審議会)で議論されて決まっていきます。手続き上はそういう仕組みです。しかし、報酬審議会の存在をもってして「報酬審議会が決めることですから」と、治外法権のように語るとしたら、少し卑怯な気がします。本気になってこちらから提案すれば、変わるでしょうし、また実際、われわれ特別職の給与も大いに議論される余地はあると思います。

 私だって、自分の報酬は高いほうが嬉しいです。でも、われわれ自身も考えていかなければならない時代になったのだと思います。変えようとしないから、日当制といった極端な、普通の人なら生活も成り立たないような極端な主張が世間で出てきてしまうのです。

 時間もありませんし、行政委員の費目から外れるので、議論はこの程度に留めます。




江戸川区議会議員 木村ながと
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