木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

「武田邦彦氏の論点」 武田邦彦氏の講演抄録 その1

2011-09-11 23:44:09 | 地方自治
 こんばんは、木村ながとです。

 9月11日、資源材料工学を専門とする中部大学の武田邦彦氏の講演を聞いてまいりました。独特の陽気なご性格と大胆な仮説と結論で知られる武田先生。この日も武田節は健在でした(笑)。

 とはいえ、昨日のテーマは<子どもたちをいかに被ばくから守るか>といういたって真剣なもの。題して「こどもたちのみらいのために」でした。長い議論になりますので、2日に分けて掲載してまいりたいと思います。

 さて、講演会主催の事務局ではUstreamも準備されていたようで、一言一句正確な講演録はそちらにおまかせいたします。

 私は講演を聞きながらのメモ書き、自分の記憶の中のメモ書を頼りに、武田氏の講演のポイントをお伝えしたいと思います。文言の不正確さをともなう抄録となりますので、その点はご理解ください。とはいえ、武田氏の発言趣旨と大きくずれるようなことはないかと思います。

 講演では話がいろいろ飛び出しましたので、話された順に時系列的に、箇条書きにて列挙いたします。

●日本の原子力発電所は震度6で壊れてしまう。原発は、日本に建設すべきものではない。

●青酸カリと言えば、みな取り除くことに懸命になる。青酸カリの毒性は想像しやすい。しかし、それ以上に危険なセシウム137と言っても、みなあまりピンとこない。セシウム137は毒物ではないが、致死量という観点で見た場合、その危険度は青酸カリの2000倍である。いかに危険なものか理解すべき。

●3月の福島第一原発での水素爆発により、スリーマイル島事故時の30万倍の放射性物質が放出されたと考えられる。

●子どもの中でも、0.5歳(6カ月)から7歳までの子どもたちが最も被ばくリスクを受けやすい。この0.5歳から7歳までの子どもたちが最も危険にさらされていると言える。逆に、この子どもたちを守ることができれば、国民全体も守ることができる、ということになる。

●低線量下の被ばく状況にある現在は、科学的な判断はつきにくい。科学で結論の出せない間は、予防原則を適用する期間である。つまり、危険なのか安全なのか判断がつかない状況にある間は、とりあえず予防に専念することが大切である。危険か安全かと議論している場面ではない。

●下水や焼却灰から放射性物質の汚染が確認されたということは、一面ではよい兆候と言える。なぜなら、あちこちの地表や樹木の葉に放射性物質が野放図に降りかかっている状況よりも、人の管理が可能となる場所に汚染物質が集約され始めたということを意味しているのだから。

●現在(9月)はもう空気中の放射性物質は少なくなっていると考えるべき。放射性物質は、今はほとんど砂場、道路、土など地表に溜まっているものと、樹木の葉についているものとがほとんど。風が吹けば、それらは舞い上がるので、その意味で空気中にないとは言いきれない。

●3月~4月は地表に近い葉物の野菜の汚染が心配された。5月~6月には地表にある葉や麦わらを食む牛の汚染が心配された。今後にかけては、魚への汚染が心配になってくる。魚でも、切り身などの部分は大丈夫だが、骨を一緒に食べるような小魚を食すことは危険。

●あまり積極的な報道はされていないが、日本は原発がなくても、電力供給における心配はない。なぜなら、火力発電所の7割が稼働しおらず、それらを稼働させることで、原子力発電に依存している部分の電力をカバーできるからである。また、石油や石炭といった化石燃料の枯渇を心配する向きもあるが、実際には、枯渇には程遠いくらいの埋蔵量がある。

●江戸川区の場合、現在の空間線量から予想される外部被ばくを年間2ミリシーベルトと推定できる。給食をはじめとした食品からの内部被ばくは年間5ミリシーベルトくらい。あわせて、年間7ミリシーベルトとなる。これはレントゲン間接撮影の回数にして140回の被ばく量に相当する。子どもの体にいいわけがない。学校関係者はこの非常事態を考慮し、柔軟に対応すべきである。

●福島からのストロンチウムおよびプルトニウムの拡散はあまり起きてはいないと考えられる。チェルノブイリで問題となったストロンチウムであるが、福島の場合には、陸地にはあまり降らず、海側に流れたのではないかと考えられる。プルトニウムは質量が重く、せいぜい福島第一原発から10キロメートル圏内に降ったかどうかという程度だろう。ほとんどないと思う。

●野菜や牛肉のトレーサビリティに比べ、牛乳の業界対応は産地表示も含め、後ろ向き。ベクレル表示しないということは、牛乳は怪しいと考えた方がよい。情報開示がなっていない。