木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

総合周産期母子医療センター(愛媛県立中央病院) その1

2011-09-01 23:48:57 | 地方自治
 こんばんは。木村ながとです。

 視察二日目の二番目の視察項目「周産期母子医療センター」についてご報告をしたいと思います。

 私たちが訪問したのは松山市内にあります愛媛県立中央病院の中に設置された総合周産期母子医療センターです。当日は忙しいスケジュールにもかかわらず、県立中央病院のトップである梶原眞人院長がみずから私たち一行に施策の説明をして下さいました。


 最初に、周産期の定義について整理しておきたいと思います。女性をはじめ、ご存じの方は「何を今さら」ということになりましょうが、案外、正確な定義を説明できる人は少ないと思われます。

 調べてみたところ「周産期」というのは翻訳用語のように推測されます。どうも、WHO(世界保健機関または世界保健機構)による疾病や死亡に関する統計(疾病及び関連保健問題の国際統計分類またはICD)によって分けられた分類に周産期というのがあるようです。もともとは統計上の用語だそうです。

 周産期は英語で「perinatal period」といいます。「period」は「期間」という意味ですから、「perinatal」が「周産の」的な意味になるのでしょう。ここからは推測ですが、「perinatal」という語は周辺という意味を持つ英単語「periphery」をすぐに想起させますから、おそらく「peri」という部位に周辺という意味が含まれているのでしょう。

 以上の理屈から、出生を中心にして時間軸の周辺という意味から「周産期」という言葉が翻訳語としてできたのではないでしょうか。

 周産期の具体的な定義は、妊娠22週から出生後4週まで、だそうです。ただし、多少、これには異説もあるようでして、ウィキペディアには「妊娠22週から出生後7日未満」とあり、kotobankには「妊娠28週から出産後7日まで」とあります。私は院長から頂いた説明を採用し、記載しました。ただ、妊娠22週か28週かについては、梶原氏は「かつては28週だったが、今は22週からとされている」という旨の説明をされていました。

 期間をめぐる多少の差異はとりあえず横に置くとしても、ここで大切なのは周産期が赤ちゃんのみならず母親をも含む定義であるということです。周産期は母子ともに内包する言葉なのです。このことは梶原氏も述べておられました。それにもかかわらず、同医療センターや全国の他の医療センターが「周産期」だけではなく、あえて「周産期母子」と用語の重複を図っていることが少なくないのは、意識的なことと思われます。

 それから、ついでですが、出生後一年を乳児期といいます。


 さて、周産期医療が今ほど注目されるようになったことはないのではないでしょうか。その理由は日本社会が抱える少子化の問題にほかなりません。

 少子化の原因には、共働き世帯の増加、それに対する子育て環境の整備の遅れ、晩婚化、男女の価値観の変化などさまざまな課題が指摘されています。そんな中で、赤ちゃんとして生まれるという、時系列的にみて人生の出発点を医療の側面から支えるのが周産期医療であると考えるならば、少子化社会においては、周産期医療がこれまで以上に整備されていることが期待される分野であるということになります。

 そうであれば、今、周産期医療が注目されているのも当然のことと言えます。

 もう一つ、医療の現場からのデータが示す、周産期医療が必要とされる事情もあるようです。それは、2500g以下で生まれる赤ちゃんが年々増えているということです。国際的にも共通した傾向があるのかどうかは分かりませんが、日本では明確に観察される傾向のようです。産婦人科の分野からの指摘では、高齢出産の増加や食生活習慣の西洋化によって子宮の保持力が弱くなっているのではないか、ということだそうです。ただこうした原因に関しては、まだ十分な検証結果は得られていないそうです。


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