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金沢ミステリ倶楽部

金沢ミステリ倶楽部の公式ブログ。

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『金沢にて』

2015年11月11日 00時16分00秒 | ミステリin金沢
金沢をあつかったミステリのアンソロジーが今年6月に発行されました。
『金沢にて』双葉文庫 2015.6 双葉社
日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(1)で次の6編が収録されています。

鳥瞰図 阿刀田高
晴のち雨天 鮎川哲也
等々力座殺人事件 戸板康二
春怨 皆川博子
友禅とピエロ 辻真先
スーパー特急「かがやき」の殺意 西村京太郎



金沢をあつかったミステリのアンソロジーは以前にも編まれています。

『金沢ミステリー傑作選』河出文庫 1987.9 河出書房新社
これは絶版ですが、以下の6編が収録されています。

聖者が街へやってきた 五木寛之
簞笥 半村良
紙の鳥は青ざめて 連城三紀彦
豪雪と一癖斎 杉森久英
消えたり百万石 南条範夫
押絵と旅する男 江戸川乱歩
うつぼの筐舟 水上勉



いずれも読んでいないので、読まれた方の感想をお待ちしています。


『スウェーデン館の謎』

2015年11月10日 00時23分00秒 | おすすめミステリ
『スウェーデン館の謎』有栖川有栖(講談社文庫)

2016新春より始まるドラマ「臨床犯罪学者 火村英生の推理(仮)」の原作は有栖川有栖さんの書かれたシリーズ中「作家アリスシリーズ」と呼ばれるものです。
その中のさらに「国名シリーズ」は短編が多いのですが、私のおすすめ作品『スウェーデン館の謎』は長編で読み応えがあり、雪密室あり、感情の揺さぶられるところあり。シリーズのどれを読んでなくても大丈夫です。

推薦者 カワグチ



『九つの答』

2015年11月09日 00時27分00秒 | おすすめミステリ
『九つの答』:J・ディクスン・カー 青木雄造訳 早川ポケットミステリ394 早川書房

カーが読者に挑戦状を突きつけた一冊でもあり、こういう作家の公然と表明した「長編」は、これが唯一でしょう。
内容もたっぷりの謎で、ストーリーテラー・カーの面目躍如の構成。つぎつぎと読者の思惑をあえて否定していった最後に
どんでんがえしが待っている。カー曰く、どうしてには全く興味がない。誰が、どうやって、こその追求に妙味があるのだ。

推薦:よしぽん



『ヴィーナスの心臓』

2015年11月08日 00時20分00秒 | おすすめミステリ
KMCおすすめ本
『ヴィーナスの心臓』(鮎川哲也/集英社文庫)

「達也が嗤う」「ヴィーナスの心臓」「実験室の悲劇」「薔薇荘殺人事件」「山荘の死」「悪魔はここに」以上六編が入っています。
この本の特色は、上記六つの作品を問題編と解決編に分けて収録しているところです。
きっとこの本を読めば、問題編を読んで、うーん、とうなって考えて、解答編のページをめくって、
「うわっ、やられたっ」と叫ぶことが六回続くでしょう(笑)
ちなみにKMCの例会では、「達也が嗤う」と「薔薇荘殺人事件」をとりあげて、読んできて感想を言い合いました。
みなさん騙されてくれていて、感想をお聞きするのが、すごく楽しかったです。
まだ読んだことが無いという方、もし古本屋で『ヴィーナスの心臓』を見つけたら、絶対買いですよ~。あなたはきっと作者の術中にはまるはず。

もしこの本を読んでみて、もっと詳しい解説があるものが読みたいという方は、
『鮎川哲也【短篇傑作選】Ⅰ 五つの時計』(創元推理文庫)
『鮎川哲也【短篇傑作選】Ⅱ 下り〝はつかり〟』(創元推理文庫)
『鮎川哲也挑戦コレクション挑戦編Ⅰ 山荘の死』(出版芸術社)
『名探偵・星影龍三全集 青い密室』(出版芸術社)
『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(3)』(講談社、
『贈る物語 Mystery 九つの謎宮』(綾辻行人・編)(光文社文庫)
などをお読みになってみられるといいかもしれません。

以上、KMCの謎子のおすすめ本でした。 謎子

追伸 「謎子」は、謎屋さんとはまったく関係の無いペーンネームです。




『ユージニア』

2015年11月07日 09時09分00秒 | ミステリin金沢
『ユージニア』 恩田陸 角川書店 2005
Kという街で起こった大量毒殺事件。
数十年を経て、様々な証言によって解き明かされていく遺された者たちの思い。
果たして真実を話しているのは誰なのか。 


彼女の足は、知らず知らずのうちに、市の中心部にある日本庭園に向かっている。観光客の団体が吸い込まれていくのを横目に、一人ぶらぶらと入ってゆき、順路(じゅんろ)を外れてその建物に向かう。
 塀に囲まれた、ひっそりとした空間。
 大きな木造建築(もくぞうけんちく)の中に入ると急に温度が下がり、かび臭(くさ)い匂いが鼻を突く。
 暗い日本(にほん)家屋(かおく)。開いた縁側(えんがわ)が切り取った風景に視線を集める。
 この静謐(せいひつ)さと潔(いさぎよ)い空間に、彼女はいつもかすかな恐怖を感じる。(p383)



 暗い廊下を歩き、二階へ上がっていく。階段が鳴る音が、低く後ろからついてくる。(p384)
 小さな部屋が見えてくる。 暗い青色の部屋。冷たく冴(さ)えざえとした、音のない部屋。
とても貴重な青の顔料(がんりょう)を壁に塗った、精密(せいみつ)な細工のような部屋だ。見てい
るだけで肌がひんやりしてくる。(p385)



「ユージニアノート」 (『ユージニア』恩田陸 2008 角川文庫 角川書店)
 (略) 
舞台となった金沢には入れあげて、何度も行きました。(中略)  

金沢を訪れるたびに寄ったのは、兼六園と成巽閣(せいそんかく)です。成巽閣は、部屋も色も何もかもが奇矯(ききょう)で、気持ちが悪い。「群青(ぐんじょう)の部屋」は、ここで生まれました。(略)   (p415)


群青は当時貴重な色だったようです。
群青の間を見るとハッとします。
忍者寺にも群青を使った部屋がありました。

http://www.seisonkaku.com/midokoro/shokennoma.html