goo blog サービス終了のお知らせ 

金沢ミステリ倶楽部

金沢ミステリ倶楽部の公式ブログ。

参加・見学してみたい方はメッセージを送ってね。

『加賀金沢殺人事件』

2015年11月12日 00時39分00秒 | ミステリin金沢
『加賀金沢殺人事件』 木谷恭介 双葉社 1989

雪の金沢・兼六園で、黒百合をくわえた女性の刺殺死体が発見された。続いて殺害された住職の口にも黒百合が。2人は共に美術品の紛失騒ぎに関係していた。

 霞(かすみ)が池の岸辺(きしべ)に立っている徽軫燈籠(ことじどうろう)の手前の雪が、こんもりと盛り上がっていた。
 徽(き)も軫(しん)も琴柱(ことじ)のことで、形が似ているところからことじ燈(とう)籠(ろう)と呼ばれている。兼六園の象徴のような燈籠であった。(p7)

 鬱金色(うつこんじき)の地に障壁画(しょうへきが)のような柄ゆきの鮮(あざ)やかな和服を着た三十前後の女が仰向きに倒れていた。
 その帯の下あたりが真っ赤に染まり、雪を赤くにじませている。
 だが、それよりも異常だったのは、仰向けに倒れた女性が口に紫色の花をくわえていたことである。
 紫というよりは黒にちかい。
 桔梗ににた花であった。だが、葉は百合のように見えた。(p8)


金沢の象徴といえる兼六園で死体が発見されるのはインパクト大ですねー。




『金沢にて』

2015年11月11日 00時16分00秒 | ミステリin金沢
金沢をあつかったミステリのアンソロジーが今年6月に発行されました。
『金沢にて』双葉文庫 2015.6 双葉社
日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(1)で次の6編が収録されています。

鳥瞰図 阿刀田高
晴のち雨天 鮎川哲也
等々力座殺人事件 戸板康二
春怨 皆川博子
友禅とピエロ 辻真先
スーパー特急「かがやき」の殺意 西村京太郎



金沢をあつかったミステリのアンソロジーは以前にも編まれています。

『金沢ミステリー傑作選』河出文庫 1987.9 河出書房新社
これは絶版ですが、以下の6編が収録されています。

聖者が街へやってきた 五木寛之
簞笥 半村良
紙の鳥は青ざめて 連城三紀彦
豪雪と一癖斎 杉森久英
消えたり百万石 南条範夫
押絵と旅する男 江戸川乱歩
うつぼの筐舟 水上勉



いずれも読んでいないので、読まれた方の感想をお待ちしています。


『ユージニア』

2015年11月07日 09時09分00秒 | ミステリin金沢
『ユージニア』 恩田陸 角川書店 2005
Kという街で起こった大量毒殺事件。
数十年を経て、様々な証言によって解き明かされていく遺された者たちの思い。
果たして真実を話しているのは誰なのか。 


彼女の足は、知らず知らずのうちに、市の中心部にある日本庭園に向かっている。観光客の団体が吸い込まれていくのを横目に、一人ぶらぶらと入ってゆき、順路(じゅんろ)を外れてその建物に向かう。
 塀に囲まれた、ひっそりとした空間。
 大きな木造建築(もくぞうけんちく)の中に入ると急に温度が下がり、かび臭(くさ)い匂いが鼻を突く。
 暗い日本(にほん)家屋(かおく)。開いた縁側(えんがわ)が切り取った風景に視線を集める。
 この静謐(せいひつ)さと潔(いさぎよ)い空間に、彼女はいつもかすかな恐怖を感じる。(p383)



 暗い廊下を歩き、二階へ上がっていく。階段が鳴る音が、低く後ろからついてくる。(p384)
 小さな部屋が見えてくる。 暗い青色の部屋。冷たく冴(さ)えざえとした、音のない部屋。
とても貴重な青の顔料(がんりょう)を壁に塗った、精密(せいみつ)な細工のような部屋だ。見てい
るだけで肌がひんやりしてくる。(p385)



「ユージニアノート」 (『ユージニア』恩田陸 2008 角川文庫 角川書店)
 (略) 
舞台となった金沢には入れあげて、何度も行きました。(中略)  

金沢を訪れるたびに寄ったのは、兼六園と成巽閣(せいそんかく)です。成巽閣は、部屋も色も何もかもが奇矯(ききょう)で、気持ちが悪い。「群青(ぐんじょう)の部屋」は、ここで生まれました。(略)   (p415)


群青は当時貴重な色だったようです。
群青の間を見るとハッとします。
忍者寺にも群青を使った部屋がありました。

http://www.seisonkaku.com/midokoro/shokennoma.html




『金沢殺人事件』

2015年11月05日 23時05分00秒 | ミステリin金沢
『金沢殺人事件』 内田康夫 光文社 1989
東京の神社で商社員が「オンナ二…ウ・シ・ク」という謎の言葉を遺して殺された。第一発見者の女子大生も金沢の「美術の小径」で突き落とされ殺されてしまう。 


県立美術館から本多公園の一角にある中村美術館に通じる坂道を「美術の小径(こみち)」といい、春から秋にかけては格好のデートコースである。
 美術の小径は、美術館から公園に向けて下る、長く急な坂道が名物のひとつだ。
(略)目撃者の話によると、朋子(ともこ)さんは「美術の小径」の急な石段の上から突き落とされたものと見られ、ただちに救急車で病院に運ばれたが、三十分後に全身(ぜんしん)打撲(だぼく)で死亡した。(p52)




美術の小径はとても急な階段で確かに落とされたら死にそうです。でも金沢の街中で滝が流れ、木々や草の緑に囲まれ、素敵な場所です。
本多町から美術館や兼六園に行くのに近道となっています。




『失踪症候群』

2015年11月03日 06時30分00秒 | ミステリin金沢
『失踪症候群』貫井徳郎 光文社 1995

先日石川県立図書館で講演をされた貫井徳郎さんの『失踪症候群』に金沢が出て来ます。

「そういうこと。だからおれは、明日は広沢良美の本籍地である金沢に飛びます。出張費は認めてくださいね」(p97)

失踪者を求めて金沢へ行くというセリフですが、それだけで
実際に金沢へ行ったシーンは出て来ません。
でも貫井さんが金沢と書いたことがうれしいですね。