先日紹介した『銀杏坂』http://red.ap.teacup.com/lovelib/35.htmlには
「明治のころ、この像のまわりで日本の戦勝(せんしょう)を祝う祭りが行われ…」
という箇所がありますが、それは泉鏡花の「凱旋祭」に書かれています。
紀元千八百九十五年―月―日の凱旋祭は、小生が覚えたる観世物の中に最も偉なるものに候ひき。先づ巽公園内にござ候記念碑の銅像を以て祭の中心といたし、ここを式場にあて候。
この銅像は丈一丈六尺と申すことにて、台石は二間に余り候はむ、兀如として喬木の梢に立ちをり候。右手に提げたる百錬鉄の剣は霜を浴び、月に映じて、年紀古れども錆色見えず、仰ぐに日の光も寒く輝き候。
銅像の頭より八方に綱を曳きて、数千の鬼灯提灯を繋ぎ懸け候が、これをこそ趣向と申せ。一ツ一ツ皆真蒼に彩り候。提灯の表には、眉を描き、鼻を描き、眼を描き、口を描きて、人の顔になぞらへ候。
ここで書かれているのは兼六園の大和武尊の銅像ですが、鳥がよりつかないということで、イグ・ノーベル賞を受賞しています。
「明治のころ、この像のまわりで日本の戦勝(せんしょう)を祝う祭りが行われ…」
という箇所がありますが、それは泉鏡花の「凱旋祭」に書かれています。
紀元千八百九十五年―月―日の凱旋祭は、小生が覚えたる観世物の中に最も偉なるものに候ひき。先づ巽公園内にござ候記念碑の銅像を以て祭の中心といたし、ここを式場にあて候。
この銅像は丈一丈六尺と申すことにて、台石は二間に余り候はむ、兀如として喬木の梢に立ちをり候。右手に提げたる百錬鉄の剣は霜を浴び、月に映じて、年紀古れども錆色見えず、仰ぐに日の光も寒く輝き候。
銅像の頭より八方に綱を曳きて、数千の鬼灯提灯を繋ぎ懸け候が、これをこそ趣向と申せ。一ツ一ツ皆真蒼に彩り候。提灯の表には、眉を描き、鼻を描き、眼を描き、口を描きて、人の顔になぞらへ候。
ここで書かれているのは兼六園の大和武尊の銅像ですが、鳥がよりつかないということで、イグ・ノーベル賞を受賞しています。