ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

事実は小説よりも奇?ーカルロス・ゴーンの逃亡劇ー

2020年01月01日 10時03分25秒 | なぜ?どうして?

令和元年の大晦日に、とんでもないニュースが飛び込んできた。カルロス・ゴーンが日本を出国してレバノンに入国したのである。寝耳に水とはこのことだろう。不思議な出来事である。ゴーンが今はレバノンにいることは事実なので、それが実現できた経緯に興味をひかれる。

さて、このたびのゴーンの逃亡劇は周到に計画されていたことがわかる。彼の出国の経緯は今のところはその詳細は分かってはいない。一方、レバノンへの入国はフランスが発行したパスポートを使用して、「正規になされた」とレバノン当局は発表している。これが事実なら、不思議の一つはここにある。ゴーンの弁護団の言によれば、彼のパスポートは弁護団に預けられ、ゴーンはそれを使う事はできない。

レバノンへはトルコから空路でプライベート・ジェットで入国したとされているので、秘密裏に運用されている特殊任務の軍用機ならいざ知らず、正規の民間機なら必ず当局に飛行計画書をあらかじめ提出されていなければ出発地の空港を飛び立つことも他国の空港に着陸することもできない。この点においてはそれらは適宜になされていた、と考えられる。

一部の報道によればゴーンは楽器の入れ物に隠れて日本の地方空港から飛び立った、とされている。これを基に推理してみよう。日本を飛ぶ立つときには航空機の乗員以外の乗客はいないものと仮定しよう。その航空機は楽器という「荷物」を運ぶためにどこかの空港まで飛ぶという飛行計画があった。レバノン当局によればプライベート・ジェットはトルコからレバノンに入国したとされている。その飛行機がトルコ領内の飛行場に到着した時、ゴーンはまだ「荷物」であったかもしれない。ゴーンはいつの時点かに「荷物」から「人間」になってしまっている。それがいつなのかがこの事件のいきさつを解くカギになる。
レバノンの空港に到着する前に「荷物」がゴーンという「人間」になったとすれば、ゴーンという人物が乘った飛行機がレバノンの空港に到着することは空港の入国審査などの当局にはあらかじめ知らされていなければならない。運ばれてきた荷物の箱を検査したらその中にゴーンなる人物が潜んでいた、となるとそれは「箱の中に人間が潜んでいた」事件になってしまう。
これも一部の報道なのだが、ゴーンはレバノンに到着後にレバノン大統領と会談したとされている。このことは何を意味しているのだろう。日本の法律に抵触する仕方でレバノンに到着した動機とそのいきさつは会談の中で当然、大統領には知らされる必要はあるだろう。非合法なやり方でレバノン観光を楽しむためにこの地に来たなどは決してあり得ないので、ゴーンは自分にとっての合理的な言い訳を発言するであろう。だが不思議なのはレバノンの対応である。日本の国法に抵触したとされる人物が、非合法な仕方で国内に入国したことは、レバノンと日本との間での外交問題に発展するであろうことは素人が考えてもわかりそうなものだ。レバノンはそれにも関わらずゴーンを厚遇しているように見える。ゴーンの自国への入国は適正なものであったとレバノン当局は発表していると思えるのだ。
もともと、ゴーンは幼少時にはレバノンで暮らしたことがあり現在では、ベイルートには彼の邸宅もあるという事だ。
ゴーンは今年の春先には始まるとされる裁判を予想して、それに嫌気がさして、故郷のレバノンにただ帰りたかったのだとすれば、あまりにも自己勝手な子供じみた今回の行動だったとしか思えない。この度の彼の行動にレバノン政府やその関係者が直接的であれ、間接的であれ手を貸していたとすれば、レバノン政府には国としての資質と権威が問われることになるだろう。

わたくしはこの「ゴーンの逃亡」のニュースを知り、映画「ジャッカルの日」を思い浮かべた。あの映画ではジャッカルと呼ばれた暗殺者は様々な手を使い、フランスへの入国を企てフランス大統領を暗殺するミッションを実行してゆく。偽造パスポートの入手や移動途中での車の確保、銃器の入手と運搬方法などがとても詳しくスリリングに描かれていた。

あれは映画の中での出来事なのだが、今回のゴーンの逃亡劇を知り、「事実は小説よりも奇」と思った次第である。

この度の「逃亡劇」で思ったのだが、ゴーンは自分を何にしたかったのか?
映画「ジャッカルの日」のようなスリリングな行動をしたかったのか、あるいは迫害を受けてる難民に自分をなぞらえたかったのか、それとも夢の途中で挫折した「故郷への帰還者」になりたかったのか。

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