ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

新型コロナウイルスの伝搬力を『利己的な遺伝子』の観点から見る。

2020年01月29日 22時59分21秒 | コロナ
新型コロナウイルスが世界中の人々に脅威を与えようとしている。この新型コロナウイルスの伝搬を見て気が付いたことがある。
世界史の教科書によれば、これまで人類は様々な病原菌により攻撃されている。
ペスト、チフス、コレラ、スペイン風邪などである。これらの病原菌はそれに対する抗体を持たない人々には絶望的と言ってよい脅威となる。
インカ帝国は、スペイン人に征服され滅んだとされているが、それはスペイン人が先住民のインカの人々を暴力的に攻撃したばかりではなく、ヨーロッパから持ち込まれた病原菌にも原因があるとする学説がある。抗体を持つヨーロッパ人にとってはさほどの脅威にならなくても、抗体という鎧をもたないインカ人にとっては未知の病原体は致命的であったのです。
さて、この度の新型コロナウイルスの致死率をこれまで知られている他の病原菌と比べてみよう。現在のところ、致死率は約3%。ちなみにSARSの致死率は9.4%、MERSは約34%である。これまでの報道によれば致死率は3%程度と他の感染症のサーズやマーズと比べると高くはない水準である。

さて、全ての生物はかれの遺伝子にとっては単なる乗り物に過ぎないとする考え方があります。リチャード・ドーキンスが著書「利己的な遺伝子」で唱えた説です。これによれば、生物のすべては遺伝子が自己複製をするための乗り物に過ぎないとされます。ヒトや動物は遺伝子に奉仕する下僕であり、生命の真の主人公は遺伝子なのです。その様な遺伝子にとって住みやすい乗り物(宿主)の条件は何でしょうか。
この度のコロナウイルスは何かの野生動物が元々の宿主でした。遺伝子はかれの兄弟が広く世界に行き渡ることを希望するとしたら、どんな行動をとるでしょうか。
いま仮にわたくしがウイルスの遺伝子だとすれば、どのような行動をしたいと望むでしょうか。行動範囲の限られる野生動物を宿主とするよりはどこへでも移動可能なヒトを宿主に選ぶことは、自明です。
ここでウイルスが取る拡散戦略を考えてみましょう。ウイルスは「健康な宿主」にとりつきたいと望むはずです。なぜなら、彼が取り付いた宿主が不健康ですぐに死んでしまっては、遺伝子は自己複製を十分に行えないからです。また、自己複製に必要な時間を考えると、自分が取り付いたことを宿主にすぐに知られてしまう事も避けなければなりません。一人前の遺伝子になるまでの時間が病原菌にとっては、兄弟を増やす(病気が広がる)為には必要な条件だからです。ヒトを含む動物は生殖により自分の種を増やしますが、遺伝子は生殖をおこないません。増やすのは、自己の複製で行います。

 野生動物が持っていたコロナウイルスがヒトに感染するためには、何らかの条件があったのでしょうから、そのウイルスの生存環境がかれにとって劣悪になるまで、この病原体は活動を続けてゆきます。ウイルスは何かに寄生しなければ生きている事が出来ない存在です。新型コロナウイルスに有効なワクチンは、まだありません。ですから、ヒトが宿主にならない事が今のコロナウイルスの活動を押さえるただ一つの方法なのです。新型コロナウイルスは自分で動ける方法は持っていないのです。ヒトの活動がウイルスを助けていると考えれば、グローバルな時代がこの病気の発生の根源と考える事が出来ます。グローバル化はヒトの生活にとって「両刃の剣」なのかもしれません。

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