たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★みずからの土地で、よそさまの菩提をさけぶ。

2011年07月14日 | おはなし
「新しく土地を買ったので、祈ってもらえますか?」
あるお檀家さんからそんな依頼が来ました。

詳しくお話しを聞いたところ、
これまで土地建物を所有していた方のお身内が
およそ2年ほど前にその家で自死されており
縁があって、自分が購入することになったとのことでした。

そのお檀家さんは自死ということが気になり、
なにかできる事はないかと、相談を寄せて下さったのです。





その場所は、お寺から車で数時間の関東地方のある町。
現地の電気ガス水道などのライフラインは全て閉鎖されていることを考慮し、

三尊仏掛け軸・掛け軸スタンド・三界萬霊等お位牌・洒水器・ガラスコップ・線香立て・線香・燭台・蝋燭・花立て・角香炉・香炉炭・真幡・白米(現地コンビニでおにぎりを購入)・洒水枝・供物皿・洗米・胡瓜・包丁・ペットボトルの水2本・大ケイス(鐘)・小ケイス(小鐘)・木魚・前机(二月堂)・法衣一式・雑巾

など、自動車に法要道具等一式を詰め込んで、出掛けてきました。





当日、現地に到着すると相談を寄せて下さったお檀家さんの他に、
仲介した不動産の方、設計施工の方も待っていてくれました。

早速2階建て6LDKの家屋の内外を見てまわり、
1階和室の掃き掃除と拭き掃除をして、仏具等を配置しました。

法要としては、ご本尊さま・有縁無縁三界萬霊等供養(施食)・
ここで亡くなられた方に対する法要を執り行いました。

この法要は、俗に言う「縁起の悪い土地を浄める」という考えではありません。
むしろ、命を落とすほどの苦悩の中で活きておられたことに対して
慈愛の気持ちをもって法要を営みましょう、と、陳べた上でのお勤めとなりました。





「今までに、その場所で亡くなった人が、一人もいない土地」

改めて考えてみれば、そんな場所がこの日本にあるのでしょうか。
これまで具体的な戦争被害・自然災害の歴史を経た土地であれば、
どこもかしこも、人が亡くなったことのある土地ばかりです。

そのような主旨に基づいて言えることは、
俗に言う「縁起の悪い土地」なんて何処にもありません。





今回、新たに土地を買い求めた土地において法要を行ったのは
前所有者の方の経緯が直接の要因となっています。
けれども、この世の中の全ての土地・建設の取引において、
何らかの形で見ず知らずの亡き人との関わりがあって当然です。

お金を出せば買える、買った後は我が物という気持ちを離れ、
感謝といたわりの気持ちを抱きつつ、土地の縁を深められればと思います。
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