たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★きっと背中から見守ってくれている。

2024年07月24日 | まなび
当山の毎年5月の山門大施食会では、
いつもかならずO老師にご法話をしていただいていました。
O老師は、拙寺以外でも多方面でお話をされており、
仏教用語ではない日常の言葉によってわかりやすく生き方を説き、
そしてその場で聞く人たちを生き生きとさせていました。


幼いころから他のお寺さんにもお邪魔することがあった私は、
老師のお話を毎年、年に何度も聞いていました。
ご法話中に会場内を歩き回ったり、檀信徒に問いかけたりしながら、
ただ、お話の内容はどこに行っても大きくは変わりません。
自作の歌が始まるとそろそろお話が終わります。


そんな老師にお話のコツをお伺いする機会がありました。
さまざまな思いをもってお話をさせていることを知り、
 「年配の人には大きな声でハッキリとね、
  話の内容は言いたいことを汲んでくれるから大丈夫。
  むしろ若い人、会場で一番若い人が分かるようにと心がけよう」
などと教わりました。





そのO老師が先日遷化され、多くの檀信徒、
ご法話のご縁があった方々と共にご葬儀が営まれました。
自分自身、老師からの教えが達成できたとは言いきれず
いただいたものはすべて遺誡となってしまいましたが。


いま、お話をさせていただく機会を頂戴するようにもなりましたが、
きっとこれからも背中から見守ってくださっていると思って、
O老師の遺誡を胸に、お勤めをさせていただければと思っています。


(ご本葬前日の準備中)
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★福井と中野で首座法戦式

2023年11月25日 | まなび
先輩住職の結制修行、次世代僧侶の立身出世、更に若いお小僧さんのデビュー。
そんな多世代の奮闘を見守る老僧。儀式に加担するご縁のある僧侶もたくさん!
様々な年代の僧侶が集まり、2日間に渡る法要儀式が近所のお寺さんで修行されました。



このような盛儀は本山などの道場では年に2回行われていますが、
多くの一般寺院ではひとりの住職が生涯に1回(つまり数十年に1回くらい)計画され修行をしています。
ご縁のある住職さんのお手伝いをするため、荷担するようお声がけいただくことも度々あります。



今回、法要の進行を司る役をいただいてみたら、一緒に裏方をしてくれる方がみんな年下でした。
多世代での行持だということが、これまでにないほど骨身にしみて感じられ、
一役を任されてお勤めをさせていただけたことが何より嬉しく感じました。






そして同様の首座法戦式が行われる永平寺にも、
ご縁をいただいたお寺のお檀家さんたちとの参拝旅行にと一緒に行ってきました。
令和6年3月16日に北陸新幹線が敦賀まで伸延されるのが待ち望まれますが
いまは鉄道の場合、東海道新幹線で米原駅経由か、北陸新幹線の終点金沢駅経由です。





永平寺を拝登して、一泊二日のプチ修行。
その間には、檀信徒の方たちのため、永平寺の雲水さんによる諸堂拝観をいただきました。






首座法戦式のために行きましたが、肝心のその時の写真がありません。
パチパチと撮影するよりも、生のママで見ていたい、見まもりたいのです。
我に返って、お祝いのお膳のみ撮りました。




本山に入ってしまえば、あちらの雲水さんの指示に従うことになりますので、
1日目の福井から永平寺までの30分と、帰路となる翌日の30分をいただいて、
同行僧侶4人による法話の時間とさせていただきました。
本来、話をするべき住職さんから半座をいただくという習慣は、
修行道場だけではないということに気付かされました。
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誰もがみな…

2023年08月31日 | まなび
新宿こども食堂さんの活動報告会が当山にて行われました。

はじめは、区の施設で食事を作り、皆で一緒に食事をするという活動に、
地域の大人(おじさん)として関わらせてもらっていました。

5年間の地道な活動を続けてきましたが、
感染症の流行により区の施設が使えなくなってしまいました。
従来のように大勢が集まった調理・会食ができず、
お弁当や食材の配布という活動を模索したことから、
拙寺を会場として使っていただくことになりました。

この市民活動は大龍寺の宗教事業とは異なりますが、
様々な苦しみの中にある人たちの手助け、公益に資するものとして、
拙寺でも、できるかぎり協力をさせていただいています。
当山檀信徒や、普段からご縁のあるご寺院さまはじめ、
さまざまな方からもご協力・ご寄付などをいただいています。

お知らせ・ご報告が十分に行き届かないことも多々ありますが、
多くの方からのお気持ちを糧に、事業は続いています。有り難うございます。




書院2階にて、こども食堂の代表者さんから。



当日の参加者は25名前後。カードは心柔らかになる仕組みです。



地元のおかぁちゃんを装っていますが、困難な生活から抜け出せない人のためばかりか、
ボランティアさんのケアも含めて、多角的に活動を組み立ててくれています。



活動報告に続いて、参加者皆さんで意見の出し合い。



報告会を終えて、本堂にてアンサンブルコンサート。



演奏は、フェローオーケストラの楽団員みなさま。


演奏に続いて、「いす坐禅の体験」という謎メニュー。
住職がいす坐禅のご案内をしていたので、写真がありません…



報告会・演奏会・坐禅にて大龍寺でのメニューはおしまい。
柳町のコミュニティレンタルスペース「みちくらくらす」に移動して、
曙橋の飲食店「t.(ティードット)」さんのお料理を頂戴しながら本日のあれこれ。



「誰もがみな仏ごころで生きる世界へ」
新宿こども食堂での気付きを紹介した住職の法話です。


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★2週つづけて特派布教巡回~千葉県

2023年07月12日 | まなび
初めての特派布教巡回を5泊6日の愛媛県でお勤めし、
土日をおいて、月曜日から木曜日まで千葉県でのお勤めです。

巡回には事前・事後のやるべきこともありますので、
谷間のような土日も休息するわけにはいかないようです。



◆6月26日(月)
隣県であっても、任地には前日に参ることになっているようです。
拙寺の最寄り東西線早稲田駅から京成線成田駅までは乗換1回、
スーツケースをゴロゴロ引いていても、成田空港から海外ではないんですよね。

千葉県の宗務行政を担う御老僧に挨拶をして翌日の打ち合わせ、
愛媛県巡回を振り返って、原稿手直しをしようかと悩む夜。



◆6月27日(火)


翌日の午前中。成田と言えば成田山、宗派は違いますが巡回のご挨拶。
成田山の近くでお昼をいただいてから、本日のお寺さまに向かいます。


「都会の人は、お寺のことはカラッとしている人が多い」と言われたことがあります。
愛媛県とは土地柄がだいぶ異なるでしょうから、気持ち新たに会場寺院に向かいました。
どっしりした趣の伽藍、よく手の行き届いた境内、堂内に集まられている方たち。
熱心に手を合わせて迎えて下さる様子は、カラッとしている、という表現とは違います。

お話を始めますと、
納得することにはウンウンと頷き、納得しないことには真意を探ろうとする。
内容をシッカリ聞き、咀嚼、吟味しようとしている方がたくさんいました。
お話させていただく上で、これほど有り難い反応はありません。

お勤めがおわって、翌日の教場に向けて成田市内の次のお宿に。
地元の方丈様たちとの打ち合わせには、以前から縁の深い老僧も来てくださいました。
 まだ巡回先が決まっていない今年3月に、その老僧とお会いしました。
 「もし千葉県に来ることになったら、精一杯歓迎しますね!」
 と言葉を掛けて下さっていました。
それがまさか1年目で果たされるとは!と2人でニヤニヤ。



◆6月28日(水)
前日にニヤニヤしあったご老僧は、総代さんを連れて最前列の席に腰掛けています。
相手がよく見えるということは、こちらの表情も筒抜けだったことでしょう。
恐れ多すぎて冷や汗ものですが「これは温かい応援だ」と思い直してお勤めしました。

千葉県に来た時から悩んでいたお話の内容は、予定していた原稿を一部差し替えましたが、
思っていた以上に良い反応をいただけたようで、トライしてみて良かったです。
毎日、ほぼ同じ内容のお話なので、このように差し替えることも勉強になります。

大過なく2日目のお勤めをおえて成田市を離れました。


これはなんだろう。倒木の株に根を張ったのか南国の花。


香取神宮の参道でお昼をごちそうになりました。
香取神宮、鹿島神宮は知っていましたが、
息栖(そくす)神社を加えて“東国三社”と称されるそうです。




駅のすぐ横。宇和島でも似たような光景。前日打ち合わせをして、床につきました。



◆6月29日(木)
愛媛県・千葉県の巡回ラストを迎えました。
瑞々しい苗が真っ直ぐに並ぶ水田を抜けると、開けた土地にお寺がありました。
多くの人が、それぞれに、案内係・駐車係・受付係などをされてました。

お話の内容は、前日に差し替えてお話ししたものに。
参列席が非常に広角に広がっていて話をしている背後にも聴衆の席があります。
時々、フクロウのように顔を右後ろ、左後ろに向けると、案外気分が落ち着きます。


お勤めを終えて、お昼を頂戴して、帰途につきました。
梅雨だというのに、ジリジリとくる夏のような太陽。
近くのJR駅からノンビリと電車を乗り継いで、帰寮しました。



7月盆・先師一周忌法要を控えて6月に2週間不在にするのは結構な挑戦でしたが、
早め早めの準備を心掛けることになり、それはそれで良いことでした。
どのお寺さんからも、檀信徒の距離感、協力体制など、大変参考になることがあり、
拙寺が日常的に省略してしまっていることや、見逃しいてることにも気付かされ、
これからの寺院の姿を学びになることも多数ありました。有り難うございます。
留守をお願いしている家族や檀信徒の皆さんに還元できればと思っています。
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初めての特派布教巡回~愛媛県

2023年07月11日 | まなび
昨年4月、曹洞宗から特派布教師というお役を拝命しました。

一番の任務は、毎年4月に発せられる「管長告諭」を曹洞宗管長猊下からお預かりし、
これを伝えるために日本国内外の寺院・集会施設等へ派遣され
管長猊下の名代としてご法話などをさせていただくことです。
巡回先では、管長猊下をお迎えするのと同じように会場が調えられ、
その地方・地域の曹洞宗寺院の檀信徒が集まり、
お迎えからお見送りにいたるまで格式のある儀礼が修行されています。
昨年はこの派遣事業が実施されず、今年初めて派遣されることになりました。



初任の地は愛媛県。
高校生の頃に一人旅で訪れて以来の懐かしい県です。



◆6月18日(日)
人生初の特派布教を控えて1日前に松山空港へ。
県内の曹洞宗寺院を統括する宗務所に挨拶をしてしまうと時間がややあるとのことで、
新居浜市にある瑞應寺さまへ。ここは、枯淡峻厳な家風を堅持している修行道場です。





法堂の雲水さんたちは法要の準備などをしており、
指導役の老師のご案内で、落慶したばかりの宝物館を拝観させていただきました。



翌日のお勤めを控えて、今治城を望むホテルにて一泊。
地元の方丈さまがたと打ち合わせ、法話原稿の確認をして床に就きました。



◆6月19日(月)
今治市内のお寺さまにて、人生初のお勤めです。
緩やかな坂を上ると山門、法堂。境内の植栽が目にまぶしい。
堂内に集まっていた檀信徒さんたちはほぼ男性ばかり。
にこやかな方、厳しい表情の方、背筋のピンとした方、リラックスした方など様々。
始めは厳しい表情だった方が後半に身を乗り出して聞いて下さり励みになりました。

午前中でなんとかお勤めを果たし、松山でお昼を頂戴して大洲市へ。





翌日の教場となるお寺さんへ挨拶にうかがうと…副住職さんが知り合いでした。
住職さん、副住職さん揃って満面のにこにこ笑顔でお迎えして下さいました。
その後、大洲市の地元視察で、一泊100万円がニュースになった大洲城へ。



◆6月20日(火)
大洲のお寺さまにて2度目のお勤め。
住職さんは、健康的な日焼けでにこやかな方です。
特派布教の教場を引き受けて3ヶ月間、来る日も来る日も外作務に明け暮れていたそうです。
見えるところも見えないところもキレイにして当日を迎えられた姿に頭が下がります。
お集まりの檀信徒はほとんど男性でしたが、女性は反応がはっきりと返ってくるで心強かったです。

お勤めがおわり、檀信徒皆さんも帰られたお堂で、何人かでお昼ご飯をいただきました。
会場準備・片付けを担われていた檀信徒さんたちとの打ち解けた会話に、疲れも癒やされました。





そして翌日の教場となる隣町の八幡浜市へ。
例によって、地元視察は、八幡浜の港・道の駅で海の空気を吸います。
都市伝説にもなっているミカンジュースが出てくる蛇口、本当にありました。



◆6月21日(水)
八幡浜のお寺さまにて3度目のお勤め。
山間部のお寺ですが、お寺の入り口から本堂まで上り坂、等間隔に仏旗が掲げられています。
住職さん年輩のご老僧は、集まられているお寺さんたちの誰よりも堂内を駆け回り、
誰よりも大汗をかきながら、特派布教会を運営されています。

お勤めが終わって境内を歩いていると、住職の奥様から、
「この日のためにずっと準備をしてきた、境内の敷石なども全て住職が補修した」と。
住職さんは「それを言ってしまったら陰徳にならないよ」と。
最後は、高圧洗浄機の使い方で、話が盛り上がりました。

お昼のお弁当をいただいて、愛媛県南部の宇和島市へ。



まずは地元視察のために小雨の降る宇和島城へ。
城下からかつてのままの古道を上って天守閣へ至りました。


帰り道の途中、石垣の整備をしている所を通りました。
石垣の上の方は、上から命綱一本で雑草除去をしていくようです。


お泊まりは宇和島駅の駅舎ホテル。エンドレールのある珍しい駅です。



◆6月22日(木)
宇和島市のお寺さんの段取りで、4度目のお勤めは公民館で行われました。
雨模様の中でしたが、道案内・駐車場案内・受付など、
住職さん方、寺族さん、檀信徒さん、皆が方が協力して運営していました。



宇和島でのお勤めが終わって一気に松山へ。
翌日の教場はホテルのホールとのこと。主催しているお寺さんへ挨拶にうかがいました。
現役の時には直接的な出会いはありませんでしたが、大学院の10年ほど先輩でした。
松山には松山城がありますが、やや時間がかかることもあって遙拝のみしました。



◆6月23日(金)
今回の愛媛巡回の最終日。5度目のお勤めはホテルの貸しホールでした。
宿泊場所とお勤め会場が同じ場所であると移動面の心配がありません。
5日間の集大成!とはいえ、ライブは生もの。
聞いて下さる方との共同制作という面もあるので、
事前の準備を万端整えても、それで安心というわけにはいきません。
有り難いことに、毎日毎日、聴衆の方々に救われてなんとか勤め上げました。


ご法話を終えて、再びの松山城。でも上りません。


高校の時に、路面電車の「道後温泉駅」までは行くには行きました。
が、道後温泉には入らず、そのまま折り返し路面電車で帰りました。
ええ。今で言うところの“のりてつ”だったのです。
現在の道後温泉は、改修工事が進められていました。
アートな覆い屋にすっぽりくるまれています。


道後温泉の新しい取り組み。右側も、左側も、日帰り入浴施設とのことです。





20230623 JAL438 松山→羽田


機上で日没を楽しみました。シートが左の窓際というのも狙い通り!
よく見ると、富士山も逆光シルエットで浮かび上がっています。


羽田空港、着陸直前。葛西臨海公園と東京ディズニーリゾート。
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★仏教情報センター設立40周年に向けて

2021年12月24日 | まなび
仏教情報センターは僧侶が対応する無料の「電話相談」を提供しています。
《 http://bukkyo-joho.com/index.html 》

2018年2月から感染症の流行による開催見合わせまでは
「いのちを見つめる集い」の会場寺院としても
仏教情報センター主催の運営に協力してきました。

その仏教情報センターの始まりは昭和58(1983)年、
2023年には創立40周年を迎えるとのことです。



先日、YouTubeのチャンネル開設のお手伝いをさせていただきました。
これから動画がアップされていくはずですが、今は登録人数100人を目指しています。
ぜひとも、「チャンネル登録」をお願い致します。



チャンネル登録の仕方

こちらのリンク先に行くと…
 https://www.youtube.com/channel/UCxdgJd6vqctSaAiCsF7Ka4g

このような画面になりますので、画面内の赤いリンクボタンを押してください。










設立30周年の様子は、こちらの動画にまとめられています。

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★探す人、学ぶ人、歩く人、働く人たちに、禅を。

2019年12月26日 | まなび
坐禅会を2クラス制にしているように、
ここ数年、坐禅をして下さる方がとても多くなってきました。

大龍寺でも、企業研修の坐禅体験、訪日外国人の文化体験、就活支援の一環、
学生の文化体験プログラム、歩こう会の坐禅体験など、様々な人たちのニーズに応えています。



12月7日午後には近所の大学生24名が来られて、
墓地の落ち葉掃きと堂内畳の固絞り雑巾掛けをしていただきました。
清掃のあとは、坐禅とおはなし。参加者みなさんの感想シェアも。

意欲満々な皆さんの姿に、いろいろ学ぶこともありました。有り難うごさいます。




追記:先方のウェブサイトに、レポートがアップされました。
https://www.hosei.ac.jp/volunteer/NEWS/event/191226_01.html



また12月26日には、近所の外資系企業さんから14名が来られました。
1年間を振り返り、来年につなげる社内研修の1日の最後に、坐禅をしに来られました。

いまや人口が減少に転じているのをみても、経済が縮小してもよいのに、
世の中を維持していくためには経済を成長させ続けていかないといけない。
一人一人が幸せであるために、人生をどう生きていくか。
世俗と禅、社会と個人、進歩と退歩…。何かを提供できれば幸いです。
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★生活協同組合の病院作り。健康作り。

2019年12月16日 | まなび
こども食堂のご縁で、愛知県名古屋市「南生協病院」の見学に行って来ました。
ここは名前にもあるとおり、生活協同組合という組織が設立・経営を担っています。

なんと、組合員みんなが参加する会議があると聞いて、
収集つかない集会になるんじゃないかという外野の心配をよそに、
見学を終えてみて、寺院としても、考えさせられる様々な工夫をしている
「健康な人が行きたくなる病院」であると感じています。

 

1)よってって横丁
まずは東京から新幹線で名古屋まで移動して、
東海道線で東京方面に戻って最寄は東海道線南大高駅です。



病院と駅をつなぐ位置にあるのが“南大高よってって横丁”。
高層階は介護付き住宅等で、低層階はショッピングモールのように
いろいろな科の医院が入っている「医療系モール」のようです。



加えて、カフェ・レストラン・パン屋・野菜市場などが入っていて、
更に図書館の雰囲気そのままの自習室も一画にあります。



通りすがりの通行人が駅への近道として通り抜けることも想定されていて、
健康な人にとっても足を運びたくなってしまう建物になっています。

駅前にはイオンもデンと構えています。
でもどこのイオンも中の様子がうかがえない段ボール箱みたいですよね。
それに対してこの横丁は駅前の活き活きとした雰囲気作りにも一役買っています。
http://www.minami.or.jp/yokochou/index.html

 

2)南生協病院
横丁を通り抜けると、病院の玄関があります。



屋内のロビへに入ると中央部分にソファーがあるのはよいとして、
喫茶スタンド、コンビニ、それに病院には異色のツアーデスク!が目に入ります。



2階には元気が有り余っている人が通うようなスポーツクラブが入っていて、
ランニングマシンで走っている人やウエイトトレーニングをしている人が丸見えです。
館内の平面図てようやくここが病院だとわかります。



ロビーを通り抜けると車寄せや駐車場もあってこちらが正面玄関っぽい。
病院敷地内にはレストラン、野菜直売所、保育所、スタジオキッチンなどが軒を連ねていて、
こちらも、病院と聞いて思い浮かべるような「病院っぽさ」が感じられません。



1時間ほどのレクチャーを受けるためスポーツクラブの1つ上、
3階に通されると、フリーの卓球台が置いてあります。



学校が終わると、近所の子供たちがこぞって遊びに来るのだそうです。
https://www.minami-hp.jp/


 
3)生協のんびり村 
レクチャーを終えて病院エリアを見学した後、車で30分ほど移動して“生協のんびり村”へ。



ピザ釜とカマドが敷地の中心に据えられたこの施設は、

・地域交流館(地域の方たちに開かれた活動スペース)

・多世代共生住宅(多世代が一つ屋根の下で暮らす)

・小規模多機能ホーム(各人に即したスタイルで暮らす)

・グループホーム(認知症でもこれまでのように暮らす)

と様々なニーズ・ケアの段階に応じた生き方が選べる体制が整えられています。



のんびり村をまさにイチから立ち上げた方からのてんこ盛りなお話しを聞き、
4つの施設を中からと外から、説明を受けながら見せていただきました。



http://www.minami.or.jp/network/welfare/village/nonbiri/index.html
 
 
 
今回の視察には、公衆衛生の研究者・看護師・保健衛生の先生・街作りに携わる人や、
医療系の公務員など、直接関係する専門分野の方たちばかりが参加していました。
そんな中に一人、僧侶がまぎれて参加させてもらい、いろいろ勉強になりました。

「自分たちの病院を自分たちが作ろう」という意識の元で資金集めから
組合員さんたち一人一人が関わりながら始めて作られていったからでしょうか。
大人も子供も健康な人が来たくなるアイデアがふんだんに盛り込まれています。
病気に罹った人しか来ないと思っていた病院に、
地域の人たちの生活動線を呼び込むことに成功しています。

ツアーデスクがあることにはじめは違和感を覚えましたが、
「この病気が治ったら、○○に行こうね!」というニーズがあることに気付かれて、
あえて設置しているのがこのツアーデスクだそうです。
患者さんにとって、どれほど治る意志を高めることでしょう!
もう、病院にツアーデスクが無いことの方が不思議になってきました。

 

亡き人ばかりでなく、元気な人に対しても門戸を広げている寺院を理想とするのであれば、
この病院のスタイルから学ばされること、気付かされることはたくさんあるなと感じます。
やらなくてはいけないこと、取り組みたいことが多すぎて困っています。
僧侶としてこの生涯が終わる時、前のめりに倒れて逝ければ本望かなと思います。

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★外で学び、中で学び。

2019年12月12日 | まなび
12月12日午前中、オリパラ大会のボランティア研修会があり
ホーム国立オリンピック記念青少年総合センターへ行きました。



オリンピック・パラリンピックの基礎知識レクチャーと、
以前、宗派で受講したことのある障害平等研修を受けてきました。

オリンピック・パラリンピックは大変な規模の事業なのだと感じます。
10日間できるでしょうか。





研修会が終わってお寺にトンボ帰りをして、
午後は仏教情報センター「いのちを見つめる集い」がありました。
講師の明治大学福田邦夫先生は、理ではなく情熱で話される方でした。
http://bukkyo-joho.com/2_inochi/




 
平行して境内では植栽の伐採がおこなわれていて、
かなりバッサリ切っていました。本堂内が明るくなりました(^_^;)



美容室で切られすぎた時ってガッカリですよねー。
私はそういう経験ありませんけど。
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★1泊3日の富山での学習会

2019年10月26日 | まなび
10月下旬、ある社会事業の研修会のため、
往路の夜行バスを含めて1泊3日で富山に行ってきました。


研修会の集合がお昼の富山駅であったことから、
前晩の夜行バスに乗って朝6時に富山駅に着きました。


東京駅バスターミナル


富山駅には5つの駅が集中しています。
 富山    JR北陸新幹線
 富山    あいの風とやま鉄道(旧JR北陸本線)
 富山駅   富山軌道線(市内方面の路面電車)
 電鉄富山  富山地方鉄道(立山方面の私鉄)
 富山駅北  富山ライトレール富山港線
富山駅のコンコースに富山軌道線の富山駅が入り込んでいて
思いの外、大きなターミナル駅でした。



まずはライトレールに乗っておよそ20分、
かつての北前船で栄えた岩瀬浜へ。


富山駅北停車場


岩瀬浜


岩瀬浜・釣り人・立山


曇り空の下で立山の山並みはくっきり!
かつての港町は、登校中の小学生しかいませんでした。








 
 
 
 
 
朝食後、富山駅からすぐにある富岩運河の遊覧船に。







ここには運河と外海の海面差を解消する閘門(こうもん)があります。
パナマ運河と同じ仕組みです。







お昼に学習会参加者が集まり、ますの寿司で腹ごしらえをして研修会へ。







一講目の場所と内容は非公開です。

夕方の2講目は、北陸最古と言われる千光寺をお参り。
初代住職は大宝年間の天竺僧。時代を感じさせます。











2日目は雨。東京は大雨とのこと。
井波彫刻の匠、南部白雲先生の工房を見学しました。










浅草寺依頼の「施無畏」の扁額を軸に事細かに説明を聞きました。
出来上がったら、こんなに近くでは拝めません。






井波・瑞泉寺参拝も行程に入っていましたが、
南部先生の工房が大変充実していて、参拝は取りやめに。

お昼の後、富山名物のお薬屋さんに立ち寄って帰京しました。
水害で不通だった北陸新幹線がこの日から暫定ダイヤで復旧し、
予定通りの新幹線で帰ることができました。



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★ちんそう、或いはちんぞう。

2019年06月29日 | まなび
禅僧の肖像画「頂相」の勉強会が、拙寺で開かれました。
ところがこの勉強会は、私は何の準備もしていません。

ただただ、学びの場を調えることに奔走してくれた方がいて、
棚からぼた餅のように、勉強する機会を与えていただきました。
これは「勝友に恵まれた」ということなのかもしれません。
知ってはいても、全然知らなかったということがわかった有り難い学びとなりました。







写真の手前側に写っているのは「禅といま」のチラシです。
7月に入ったら、過去受講生約2200名、関係先・お寺さん約110カ所に発送します。
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★銀座で仏教。

2019年06月22日 | まなび
浄土真宗本願寺派の築地本願寺さんが、銀座で様々な講座を開いています。

https://tsukijihongwanji-lounge.jp/top/ginzasalon.html

以前から気にはなっていましたが、6月のある日、初めてお邪魔しました。
サテライトテンプルという位置づけだそうです。面白い取り組みです。








こちらの銀座サロンさんの「クローズアップDHARMA ~曹洞宗と浄土真宗~」
8月6日に曹洞宗のことについてお話する時間をいただくことになりました。


クローズアップDHARMA ~曹洞宗と浄土真宗~
曹洞宗(禅)、浄土真宗の僧侶が、それぞれの宗派の「ご本尊」「経典」「教え」についてお話します。そして、各宗派の特徴や違い、共通点などを探るトーク・セッション。同じ仏教の教えでも、宗派によって何が違うの??


■太田賢孝
曹洞宗起雲山大龍寺住職。東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業、曹洞宗大本山永平寺安居修行、駒澤大学卒業、同大学院修了。現在、曹洞宗教誨師として少年院での座禅指導に携わったり、地域の子育て活動・こども食堂などに参画している。

■西原龍哉
浄土真宗本願寺派天真寺副住職。千葉県松戸市出身。法政大学法学部卒業。龍谷大学文学部真宗学科卒業。日常生活の苦悩を仏法にて乗り越えて行く道を探求している。

■増田将之
浄土真宗本願寺派真栄寺衆徒。(公財)仏教伝道協会、 「フリースタイルな僧侶たち」顧問。現在は公益財団法人仏教伝道協会職員として、お寺の立ち上げやサポートをはじめとする、お寺とのつながりを築きながら、一般の方への仏教普及に奮闘中。
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★佐久に咲く

2018年09月10日 | まなび
日帰りで長野県の佐久市へ。

今回お邪魔したお寺の「観音まつり」では、
ご祈祷法要、法話、灯明供養、約10件の屋台、お神輿巡業、お焚き上げ、梵鐘鳴らし放題。
住職を核に、お檀家さんや地域の人たちが一丸となってお祭りを運営していました。









こちらのご住職様からは、以前、布教法話の講座で懇切なご指導をいただきました。



教場での学びも大きいが、それをご自身のお寺で存分に実践されていた。
普段からの住職の思いがお寺の姿に現れている。
コミュニティづくり、縁結びが住職の命綱だろう。
力の源はここにあるのかな。





お祭りの前後も含めて5時間ほどの滞在でしたが、大変多くの事柄を学ばせていただきました。
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★東北福祉大学の見学

2018年09月04日 | まなび
駒大・大学院の指導教授は、近所のお寺のご住職さんでもありますが、
今は仙台にある曹洞宗関係の大学にもお勤めをされています。
8月の終わりに、近所のお寺さんと一緒に学校見学をしてきました。





ぱっと見は一般の私立大学ですが、前身は曹洞宗の学林のひとつです。
宗派との関係も深く、細かく見ていくと、端々に“お寺感”が伺えます。
六角形の講堂の入り口には両大本山(永平寺・總持寺)の紋が掲げられています。



玄関ホールには観音さま。



一単が一畳という大きな作りの坐禅堂です。奥には本堂もあります。
念のため言いますが、ここは大学です。



時間的に余裕もあったので、
9年間の修復を終えて今年6月に落慶した松島の瑞巌寺をお参りしました。







津波の到達点に地蔵堂が建てられていました。
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★映画「四万十」をみて

2018年03月06日 | まなび
3月上旬、新宿で映画「四万十」を見てきました。
きっかけは岩崎順子さんと溝渕雅幸監督のアフタートークがあるからでした。







この映画はドキュメント作品で、
高知県の四万十川の岸辺で診療所を営む小笠原先生を追ったものです。
小笠原先生は診療所での診察とともに在宅医療に取り組み、
避けて通ることが出来ない看取りにも立ち会っている先生です。
いのちのあり方、しまい方を考えさせられる作品でした。
 
 
中でも、自分が誤解していたことは“看取る”ということでした。
「息を引き取るその場、その瞬間に立ち会う」ことだと思っていましたが、
生から死へとシフトしていく人生の最期の一時期を共に歩んでいくこと、
緩やかに穏やかにその時を送る人の伴走者になるということ、
それが“看取る”ということだとハッキリわかりました。

 
 
(映画の内容に触れます。)

先生は、ある患者さんの訪問診療を続けていましたが、
もういよいよ死が近いという時、ご家族に「点滴を外しましょう」と言います。

そして家族は一瞬の間を置いて肯きます。

先生も、本人も、家族も、死の前ではもう誰も無力。
「抗って死を遠ざけるのではなく、どのように受け入れ迎えるか」
「そして、その時は今だよ」と、それを静かに先生は伝えます。

ずっと伴走者であった先生は、理屈は言いません。

背景に浮かぶのは四万十川の滔々とした流れです。
川の流れは遡らないという当たり前の姿も重ねて見えてきます。



 


 
上映後、岩崎さんと監督の掛け合い。
岩崎さんの体験談は前に聴かせていただいていましたが、
映画を見た後だと、新鮮な気持ちで、初めてお聞きするかのように心ゆすぶられました。
看取りは、亡くなりゆく人のためだけにあるのではなく、
命を譲り受けその命と共にこれからも生きていく人のために、
大切な何かが行われるのだと思います。
 

 
現実的には、お寺には亡くなられた後にお知らせがあることがほとんどです。
「そろそろ亡くなりそうです」というようなお知らせがあることは稀です。

以前、法衣で病院に行って嫌な思いをしたこともあって、
そういう連絡があっても「残された時間を大切に」というお返事をしてきました。
というか、そのようなことしか言えなくなっていました。

でも、今回は、僧侶として看取りに関わることの大切さを思い出させられました。

ひと言「私に何かできる事がありますか?お見舞いに伺っても構わないですか?」
と訊ねることから、これから始めていこうと思いつつ、帰路に就きました。




     一緒に映画を見た来馬老師、岩崎さん、溝淵監督と。
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