たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★夢にまで見た夢の中で。

2023年02月13日 | おはなし
2月2日の未明のことだった。
師父と私が、砂の上を歩いている夢を見たのだ。
  
私たちは歩きながら言葉を交わしていた。
師父は自分が亡くなったことはわかっていて、
それを人生の一コマとして受け止めつつ、
いまは、自転車で世界中を旅しているそうだ。
確かに、亡くなる前に難儀をしていた足のむくみはすっかり治まり、
ついでにお腹も引っ込んでいたので、十分な運動ができているのだろう。
顔色もよく、自信に満ちた言動は、元気だった頃の本人そのものだ。

私は、ここ最近の寺や家族の出来事を話そうと思っているのに何故か言葉にならず、
口から出てくるのは、最近誰を見送ったかということばかりであった。
 
 
 
二人はいつの間にか知らない部屋の中にいた。
私はこれが夢だということがはっきり認識できていて、師父に
「初めて夢に出てきてくれたねぇ!」
とおどけながら言うと、不意に目頭があつくなってきた。
涙は一度出始めると堰を切ったように止まらず、
これは師父を見送った悲しみの涙なのか、
いま再会できた嬉し涙なのかわからないまま泣いていた。
泣きながらも頭の片隅で理由を考えていたけれど、ついに答えは出なかった。

どちらにせよ、師父が亡くなっていまだに一度も涙していない自分も、
ようやく泣けたのかもなと、ある意味ホッともしていた。
 
 
 
だが今度は、泣きやみ方がわからない。
どうやって次の展開に進もうかと焦りながら泣いていると、
息子がやって来て私に電話を手渡してきた。
息子グッジョブ!と思いながら電話を取ると、残念ながら訃報だった。

師父への挨拶もせず枕経に向かい、先方に着いたところで目が覚めた。
目の周りの違和感。涙はホントに出ていたみたいだった。
 
 
 
そういえば、師父は自転車旅行をしていると言っていたけれど、
夢の中で、その自転車はまったく見かけなかった。
そもそも師父が自転車に乗っている姿というものを、これまで一度も見たことがない。
ホントに自転車に乗れるのか怪しいものだと思えてしまうほど、見たことがない。

一体、どんな自転車で旅をしているのか。
旅をしながら誰に出会い、どんなことをしているのか。
またいつか、旅の途中で立ち寄ってほしい。
今度は涙せず、自転車の点検をしながら話をたくさんしたい。
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