杉原 桂@多摩ガーデンクリニック小児科ブログ

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喘息がなおるのかどうかについて

2008-01-21 | クリニック通信
この記事にもあるように、「喘息」と聞くだけで、一生続く病気、と思い込んでしまう親御さんも少なくありません.
喘息といっても、乳児喘息は大人になってから発症する喘息とはまたべつものととらえてもらったほうがいいでしょうし、
何より、全体として、3分の2はよくなる、という話をしても、我が子がどうなるか、という点については何ら有益な情報にはならない事もあります.
そうなると臨床医は自分の経験に照らし合わせ、そして、親御さんの顔色を伺いながら、診断名をくだしていくことになります.

さらにいうと、
「あなたは喘息です」

「あなたは今、喘息の症状をおこしています」

というのでは、また違ったニュアンスがあります.

前者では自分のアイデンティティに喘息が組み込まれてしまう恐れが非常にあります.
こんなところも気をつけながら、臨床医は分かっている情報をてがかりに目の前にいる患者さん1人1人にできるだけ最善のことを提供していっているつもりです.


喘息の自然歴
Natural History of Asthma
2008 January 03


「私の子供の喘息は成長とともに改善しますか?」と尋ねる親は多い。Ontario州の研究者は、1994年に生まれ、6歳までに喘息と診断された小児34,216人の行政データを用い、喘息が持続するかを検討した。喘息の診断は、6歳までに、喘息による入院が 1回または喘息による医師の保険請求が3年以内に2回あることに基づいて行われた。

約半数の小児が、持続性の喘息(6~12歳に喘息のため入院または医師を受診したことと定義された)であった。持続性喘息と有意に関連していた因子は、診断時に年長であること、男児であること、診断後1年間で医療サービスの利用が多いこと、6歳までにアトピー性疾患があったこと、市街地に居住していること、出生時体重が少ないことであった。医療サービスの利用が持続性喘息のもっとも強力な予測因子であった。たとえば、診断後1年間で喘息イベントがなかった小児と比べ、その1年間に喘息のため入院した小児は持続性喘息となる十度が3倍高く、喘息による医師の受診が4回以上であった小児は持続性喘息となる可能性が2.6倍高かった。

コメント:行政データに基づく研究であるという制限はあるが、この結果は家族との話し合いに役立つ情報を示しているかもしれない。驚くことではないが、喘息と診断されたあと1年間で治療の追加が少ないか全く必要なかった小児は、12歳までに寛解する可能性がもっとも高かった。

― Howard Bauchner, MD

Published in Journal Watch General Medicine January 3, 2008

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