切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《 ロシアによるウクライナへの侵略という暴挙 》 ⑮  2022.4.12

2022-04-12 23:35:21 | 社会


◆ ロシア侵略軍によるマリウポリ総攻撃の実施が近づいている。

 ウクライナの全般情勢は一種膠着状態のように見えるものの、実際には首都キーウからは撤退したもののロシア軍は再編整備を行い、東部のルガンスクやドネツクの方に戦力を集中させていると言われている。また同時に当初の戦いにおいてロシア軍は総指揮官を持たずに戦争に突入した結果、各地でウクライナ軍による総反撃を受けて苦戦する結果になったことから、改めてプーチン大統領は総指揮官を任命した。この人物はシリア内戦時にロシアが介入した際、指揮をとった人物であり、数十万人とも言われるシリア国民が虐殺された、あるいは難民化して逃亡を余儀なくされた残忍な戦争を指揮した人物でもある。そういった意味で虐殺将軍とも呼ばれており、今回新たに総指揮官に任命されたことによって、ロシア軍による更なる総破壊活動が進められることになると思う。
 ゼレンスキー大統領によると、黒海沿岸にあるマリウポリの実情は悲惨なものであり、この都市だけですでに2万人は殺されたと発表された。まだ約10万人が残されており、都市の周囲は既にロシアが実効支配しており、いわば全部を包囲された状況になっている。このマリウポリに対してもう間もなく、体制を整えたロシア軍による総攻撃が行われるというのが米を中心とする西側諸国の見通しだ。そこではおそらく民族大虐殺、すなわちジェノサイドがかなりな大規模で行われるのではないかと予想されている。

 プーチン大統領としては、5月9日の対独戦争における勝利記念日に間に合わせるように、この地域を支配するという大きな目標があると考えられている。すでに2万人もの人が殺されており、また多数の女性子供たちがロシア側に強制連行させられて、いわばウクライナ軍に対して「民間人の盾」として利用されるのではないかとの懸念が広がっている。
 ゼレンスキー大統領は西側諸国に対して、兵器の供与を要求しておりイギリスやドイツやアメリカなどはかなりの量の武器の供与を行っている。しかし広大なウクライナの国土においては東部の最前線において全面的に戦うということが、かなり難しい面もあるようだ。ロシア側は化学兵器を搭載したミサイルを発射したという情報も出ている。おそらくこれは試しに行われたものかもしれない。その実効性があると判断されれば本格的に化学兵器の投入をする可能性は十分にある。またマリウポリの製鉄所などの地下室に逃れているウクライナ兵や民間人をこうした化学兵器でいぶり出す作戦を、ロシア側は口にしているようだ。これらが全面的に実施されればマリウポリにおいては、10万人に及ぶ皆殺しの虐殺作戦が実施されるということになる。それはもはやジェノサイドからホロコーストとも言うべき状況になるのかもしれない。

◆ 西側各国の動きの成果はあるのか。

 プーチン大統領による侵略ロシア軍の戦争犯罪にあたる非道な行いに対して、世界中から非難の声が上がっている。ただし「世界中」というのは一般的な言い方にすぎない。具体的には主として西側の主要国及びアメリカが中心だ。それ以外の国々については思っているほど簡単な状況にはないようだ。軍事的にも経済的にも大きな力をつけてきた中国については、基本的には間接的にロシアを擁護するような行動をとっている。しかしそれがあまりにも顕著になると、今度は中国に対する非難及び制裁が行われる可能性も出てくるので、話し合いによる解決云々と言いながら、戦争は良くないといった表現を用いている。何とも中途半端でいい加減な立場で臨んでいるということだ。
 また人口においては中国に匹敵するインドについても、非常に微妙な立場にある。中国が海洋進出を臆面もなく海軍力を背景に推し進めている中で、それに対抗する形でアメリカ、日本、インド、オーストラリア各国が連合を組んで、中国の海洋進出に歯止めをかけようとしている。そのインドがロシアに対してはやはり中途半端な姿勢を見せているという実態がある。経済的あるいは貿易の面で、また兵器の購入といった面からもロシアとはなかなか手が切れない事情というものがある。そういった意味では具体的な行動を起こせないというのが実際のところだろう。
 このところフランスやオーストリアの首相らが、プーチン大統領と直接電話会談を行っていたが、実態としては特にこれといった成果はないと報告されている。話し合いはしたとしてもプーチン大統領にはどうしても退けない一線というものがあって、各国から説得を受けようが経済的制裁を受けようが、独自の考え方から説得を受け入れる気は全くないと言っていいだろう。もちろん仮想敵国の最大の相手であるアメリカとは話し合いにすらならないだろう。



 国連においては安全保障理事会などがロシアに対して非難の決議をあげようが、国際人権委員会がロシアを除名しようが、ロシアにとっては痛くも痒くもない思いなんだろう。少なくとも国連における常任理事国の立場というものを除いて、後は何を言われようがどのようにされようがかまわないというのがロシアの基本的姿勢だ。常任理事国の地位を保っている限りは、拒否権という伝家の宝刀があるので事実上、国連は機能していないのと同様になる。そしてそれはロシアに対してどのような戦争犯罪を犯そうとも制裁することができないということになってしまう。
 日本も欧米に続いてロシアに対する経済的な制裁を発動したが、それに対してロシアは敵国とみなすと発言しており、これまでの千島四島の返還問題に関する協議を一切行わないと宣言した。無論千島樺太墓参団のビザなし渡航もこれでシャットアウトということになる。千島四島については戦後の混乱期に、旧ソ連が一方的に支配し、なし崩し的に実効支配され今に至るものだ。旧ソ連は日本と平和条約を結んだ上での話し合いを主張してきたが、もうそれも終わったということになる。
 
 このような世界レベルでの状況を踏まえてみると、やはり大量の核を持った超大国にははっきり言って、実効性のある有効な手段が何も取れないというのが、ある意味明確になってきたということだろう。ウクライナはソ連邦崩壊以降、民主主義国として独立し経済的には資本主義であり、 EU 加盟を希望。さらには将来的に NATO への加盟も視野に入っていたものと思われる。当然ロシアとしてはすぐ隣にそのような国が誕生することは、米軍基地が置かれる可能性もありどうしても認められない事情というものがあるというのが根本的な主張だ。
 そしてウクライナ東部においては、ロシア民族とウクライナ民族が混在している地域があり、いわゆる親ロシア派の勢力が一方的に独立を宣言し、ロシアがそれを認めると言う国会決議を行って、実効支配を固める。同時に少しだけ離れていたクリミア半島については武力による制圧で実効支配を実現するということをしている。当時においてはウクライナが重要な意味を持った国であるということまでは、欧米も含めて認識が薄かったのではないかと思われるが、クリミアにしても世界的な大ニュースにはあまりならなかったような記憶がある。一応経済制裁もあったらしいが、ほとんど有効な手は打てなかったようだ。
 ロシア側からすればある意味、そのような成功体験から今回のように一気にウクライナ全体を屈服させ、ロシアの傀儡政権を打ち立てて事実上ロシアが支配する国に仕立て上げるという狙いであったはずだが、ウクライナ軍の、そして国民たちの反撃によってそれが実現せず、焦ったロシアが市民虐殺という戦争犯罪を犯すに至って、ロシアという国、そしてプーチン大統領の残忍さが改めて認識されることになった。



 なお最新のニュースでは、ロシア国有鉄道が債務不履行に陥ったとの報道があった。このことがどれだけのダメージになるのかは、今のところよくわからない。本来の資本主義的な仕組みであれば、債務不履行分の保証が何らかの形でできれば、そこから抜け出すことは可能かもしれないが、現ロシアの状況からはおそらく巨額な債務に保証をつける可能性はかなり低いだろう。とすれば株価暴落、信用失墜、そして経営難に陥り、倒産というのが普通の道筋となる。
 今のロシアにロシア国有鉄道を救うだけの経済力があるとはあまり思えないので、ここから連鎖的に様々な企業の債務不履行が発生する可能性がある。そういった意味ではロシア国内の経済状況の混乱から、 GDP の後退、インフレの加速といった国民生活への重大な影響が出てくる可能性はあるのではないか。

◆  マリウポリへの総攻撃は大虐殺戦争になるのは必至だと思われる。

 ゼレンスキー大統領は支援してくれる国の国会において、何度か演説をしている。この日本でも行われた。その国会演説を認めること自体が、ウクライナを支援しているということの証となる。そういう点からそれはロシアにとってみれば、演説を受け入れた国は紛れもないロシアの「敵国」となる。ロシアは当然報復措置を取ると宣言している。それが具体的に何をどこまで表しているのかはわからない。ただ少なくともこれから数十年という長きにわたって、ロシアという国は少なくとも、国民から正当な選挙で選ばれた民主主義と人権を守る立場の大統領や首相が誕生しない限りは、世界から実質上孤立した国として、様々な方面に敵対的な関係を保ったまま歩まざるを得ないということになる。

 そうなることが分かっていても敢えて、これから数日中には東部の要衝地であるマリウポリに対する総攻撃が開始されるだろう。ゼレンスキー大統領が各国の国会だけではなく、自国から発信する SNS 上の訴えかけに関しては、更に多くの具体的な支援が必要だと主張している。つまり武器が足りない。もっともっと必要であるということを盛んに毎日訴えているのだ。おそらく大統領たちも側近たちも、マリウポリが全滅状態になるという覚悟をしているのではないかと思う。もはや残された時間が少なく、ロシア軍は大半の兵器および武器を東部に集中させており、事実上支配しているドネツク州やルガンスク州から、そして黒海の海上からマリウポリをを取り囲んで総攻撃となるだろう。無論ウクライナ軍の兵士に対してだけではなく、市民、女子供も全て含めて抹殺するというのがロシアが取る作戦となる。

 しかしなんとも歯がゆいのが、それが分かっていて数十万人の虐殺が行われようとしている事態に対して、具体的に反撃できるのがウクライナ軍だけという事実だ。他国は武器援助、資金援助に留まらざるを得ない。実際に他国が軍を出動させロシア軍と一戦を交えれば、プーチン大統領がどこに行くにも手放さない鞄を開けるだけだ。鞄とはもちろん核ミサイル発射命令の暗号スイッチが収められたものだ。そうなればヨーロッパは核戦争の悲惨な戦場になるのは、ロシアとしても覚悟の上だろう。当然 NATO 側からの反撃の核ミサイル、 NATO 諸国に配置された米軍の核ミサイルが一斉に、ロシアの首都モスクワやサンクトペテルブルグ、そして重要な核基地に向けて発射されるのは目に見えている。ヨーロッパは崩壊するだろう。だからこそロシアとしても欧米各国が一切手出しができない、とたかをくくってウクライナを叩き潰す侵略戦争をするのだ。



 果たしてプーチン大統領とはどのような人物なのか。なぜこのようなことをするのか、できるのか、ということについて次に考えてみたいと思う。


  (以下続く)   (画像はTVニュース映像より)

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