金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

住民の声

2007年05月31日 06時59分40秒 | 青森県の医師不足
朝日新聞地方版「わの一票 地域に必要な病院残して」から

05年、県が策定した津軽地域保健医療圏の自治体病院機能再編計画は、藤崎病院の廃止を打ち出している。

4人いた勤務医は今年度からは2人に。毎月足腰の不自由な父(81)の通院に付き添うという町内の主婦(48)は言った。「父や家族に何かがあった時は心配です。弘前の病院は、患者が集中して混雑しているから避けたい」

‥(略)‥ 近くの国保平川病院があれよあれよという間に、診療所に移行することが決まってしまった。藤崎病院の利用者も不安を感じているようだ。

長靴にほうかむり姿の町内の農家女性(72)は、水田の手入れの合間にバイクで通院している。‥(略)‥

―あなたの一票、どうしますか。

「米作りが人手不足で大変だから、農政も大切。たけどやっぱり医療。地域住民に必要な病院を残すことができる人がいい」。そう言って、袋いっぱいの薬をバイクの荷かごに入れた。

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生業の仕事より医療を求めざるを得ない状況は不幸としか言いようがない。この深刻な事態をどれだけ関係者は理解しているのだろうか。

金木病院はその救急体制により地域四万人の命と安心を40年以上にわたってまもってきた。それを奪われた地域住民の悲惨さがイメージできないのではないか。「我が身に置き換えて」考える思考方法が欠落していては、将来の医療はとんでもないバケモノになってしまうだろう。「医は算術」に貶めてはならない。

中核構想白紙!

2007年05月30日 06時27分52秒 | 青森県の医師不足
津軽・自治体病院再編

「中核構想」白紙へ 弘前の市立・国立 足並みそろわず

『東奥日報』より一部抜粋
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070530092045.asp

二〇〇五年に県が示していた津軽圏域の自治体病院機能再編案で、弘前市立病院と国立病院機構弘前病院が連携し新設する中核病院構想が、白紙となる方向であることが、二十九日までに分かった。県と両病院が同日までに確認した。三十一日には津軽圏域自治体病院機能再編成推進協議会が二年ぶりに開催され、席上、白紙の方向が報告されるとみられる。今後について、県は見直しを含めた何らかの考えを提示する可能性もあり、各自治体病院は新たな対策が迫られる。

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二病院を統合し医師を集約して新中核病院というハコモノ建設で津軽医療圏域を守るという構想が頓挫した。再編を進める主体不在が主な理由のようだが、いずれにしろ「中核病院構想」にノーをつきつけた格好となった。

青森県を六つの医療圏に分割し、それぞれに中核病院を置いて効率化をはかるというのが県のグランドデザインだった。その結果、むつ圏域の不便さはよく知られていることである。

医療体制の見直しも必要だが、地域に必要不可欠の病院を「集約」というナタで切り捨てられはたまらない。

医師の労働環境の整備や待遇問題など、とりくむべき問題は山積している。これらを患者である地域住民と医師の両者の目線、すなわち当事者の目線で解決に向けてねばりづよく取り組むことが大切だ。

西北圏域は百九十九億円もの巨費を投じて「中核病院」を建設しようとしている。そろそろ発想を転換したらどうだろうか。医師招聘に全力をあげ金木病院の救急を再開すべきである。それによって「中核化」しつつあり患者の集中をきたしている西北中央病院の激務も緩和される。こちらが先に取り組むべき課題だろう。

西北圏域は津軽圏域の中核構想白紙に学ばなければならない。地域医療をまもる方法は「中核病院」建設しかないというわけではあるまい。あまり拘りすぎると邪推されることになる。

崩れる地域医療

2007年05月29日 07時07分50秒 | 青森県の医師不足
県政を問う-5- 医師不足 医師も悲鳴

『東奥日報』
http://www.toonippo.co.jp/

医療関係者が注目する西北五の中核病院構想。中核病院の建設地が決まったものの、事業費の詳細や周辺病院の役割が決まらない。何よりも五十五人もの医師確保の見通しが定かではない。一一年の開業に暗雲が立ちこめる中で、医師不足にあえぐ金木病院の救急車受け入れが止まった。

津軽地域も、病院機能の再編成が暗礁に乗り上げたままで、救急医療に対する住民の不安は増している。藤崎病院は公設民営での生き残りを探り、平川病院はやむなく診療所として出発することになった。不本意な”自然淘汰(とうた)”が進む中、中核病院に外来患者や救急患者が集中し、労働環境はますます悪化。勤務医の疲労はいよいよ限界に近づいている。「過労死が頭をよぎる」と、複数の医師は証言する。(一部抜粋)

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「自然淘汰」

なんと冷たい言葉か。止むを得ない、しかたがない、いないものはいない、無い袖は振れない・・・。何度聞かされたことか。

国策や県政のミスを住民に押し付けるなと言いたい。

新ダーヴィニズムは市場原理システムを正当化するまやかしと批判に晒されている。社会福祉、人権尊重があってこその国である。医療崩壊の背景にこの国の精神の貧しさが透けて見える。

医師人口比:20年には最下位転落

2007年05月28日 06時06分22秒 | その他
医師人口比:20年には最下位転落 OECD30カ国中

毎日新聞 2007年5月28日 3時00分

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070528k0000m040100000c.html

人口1000人当たりの日本の医師数が、2020年には経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中最下位に転落する恐れがあることが、近藤克則・日本福祉大教授(社会疫学)の試算で分かった。より下位の韓国など3カ国の増加率が日本を大きく上回るためだ。日本各地で深刻化する医師不足について、国は「医師の地域偏在が原因で、全体としては足りている」との姿勢だが、国際水準から懸け離れた医師数の少なさが浮かんだ。

OECDによると、診療に従事する03年の日本の医師数(診療医師数)は人口1000人あたり2人。OECD平均の2.9人に遠く及ばず、加盟国中27位の少なさで、▽韓国1.6人▽メキシコ1.5人▽トルコ1.4人--の3カ国を上回っているにすぎない。

一方、診療医師数の年平均増加率(90~03年)はメキシコ3.2%、トルコ3.5%、韓国は5.5%に達する。日本は1.26%と大幅に低く、OECD各国中でも最低レベルにとどまる。各国とも医療の高度化や高齢化に対応して医師数を伸ばしているが、日本は「医師が過剰になる」として、養成数を抑制する政策を続けているためだ。

近藤教授は、現状の増加率が続くと仮定し、人口1000人あたりの診療医師数の変化を試算した。09年に韓国に抜かれ、19年にメキシコ、20年にはトルコにも抜かれるとの結果になった。30年には韓国6.79人、メキシコ3.51人、トルコ3.54人になるが、日本は2.80人で、20年以上たっても現在のOECD平均にすら届かない。

近藤教授は「OECDは『医療費を低く抑えると、医療の質の低下を招き、人材確保も困難になる』と指摘している。政府は医療費を抑えるため、医師数を抑え続けてきたが、もう限界だ。少ない医師数でやれるというなら、根拠や戦略を示すべきだ」と批判している。【鯨岡秀紀】

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1994年「医師需給の見直し等に関する検討会」報告書が2017年頃から供給医師数が必要医師数を上回るという推計を出し、それをもとにこの国は医師供給の抑制を計ってきた。医療費抑制のためのマヤカシだったことが明らかになった。

医師不足は誤った国策によるものだ。

いま参議院選をひかえて政府・与党は医療問題をとりあげて諸政策を連発し支持をえようと躍起だ。遅きに失した感がある。

「年金問題」が直接の引き金だろうが、医療を含む深刻な社会格差も影響してか内閣の支持率が急落している。

『毎日新聞』
http://www.mainichi-msn.co.jp/photo/news/20070528k0000m010091000c.html

国の基本は「国民の安全と福祉」を守ることにある。医療の充実は先進国の常識。この国の後進性をいみじくも露呈した格好となった。

危ぶまれる投票率2

2007年05月27日 06時27分33秒 | その他
県知事選投票率アップをめざして、青森市選管がタレントを呼んで「知事選ハッスル2007」を市内の大型郊外店で開催したという。イベントは盛り上がったようだが投票率アップに貢献したかは疑問だ。

朝日新聞地方版に参加者の生の声が載っている。

「選挙には行きません。投票しても、何かが変わるわけじゃないから」投票日は職探しをするという。(無職23歳)

選挙に行きたいですかあ!とのタレントの問いかけに手を挙げた観客は数人だったという。

土曜日のゴラクとしてはマアマアのものだったのだろうが、それ以上のものではなかった。

県知事選の投票率が下がれば7月の参議院選挙で野党に選挙口実を与える。投票率が上がればその逆になる。

なぜこのたびの知事選がいまいち盛り上がらないのか。その原因を究明しないでただ投票率を上げるということだけに専念すれば、思わぬ落とし穴が待っていることに注意が必要だろう。

国民投票法案に最低投票率を盛り込まなかったことに批判が相次いでいる。ボイコットがおこなわれるからだという。しかし、ボイコットもまた市民の声であり権利であるはずだ。組織票だけで「憲法」を変えられてはたまったものではない。

このたびの県知事選の投票率を注目したい。そして閉塞した青森県民の声無き声に関係者は耳を傾けるべきである。

医師不足対策ー政府・与党案

2007年05月26日 06時19分52秒 | その他
《政府・与党の緊急医師確保対策案》

▽医師不足地域に対する国レベルの緊急医師派遣システムの構築

▽医師不足の地域や診療所で勤務する医師の養成

▽研修医の都市集中を是正する臨床研修病院の定員見直し

▽病院勤務医の過重労働を解消する勤務環境の整備

▽女性医師等の働きやすい職場環境の整備

▽医療リスクに対する支援体制の整備

(『朝日新聞』 http://www.asahi.com/

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これも異議なし。

これら政府・与党案が実効性があるかどうかは全国ワースト4の医師不足に苦しむ青森県の医療が改善されるかどうかが試金石となるだろう。注目したい。

五所川原重点要望事業

2007年05月22日 06時27分39秒 | 金木病院を守ろう
五所川原市が県に要望する2008年度の重点事業を公表した。

【最重点事業】

1)西北地域の自治体病院機能再編成に絡む財政支援と医師確保
2)幹線道路の整備
3)つくねいもなど特例作物の産地確立

【重点事業】

1)漆川工業団地(通称)への企業誘致
2)中心市街地の電線類地中化
3)十三湊遺跡と関連遺跡群の発掘調査
4)岩木川水系の治水
5)東北新幹線新青森駅開業に伴う西北地域への二次交通アクセス整備

(『陸奥新報』から引用)
http://www.mutusinpou.co.jp/

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市が要望のトップに地域の医療問題をとりあげたのは正しい。しかし、問題視され批判の多い199億円の中核病院構想に拘り続ける姿勢はいかがなものか。

100歩ゆずっても、「医師確保」という最大の問題をクリアできなければハコモノだけが残り地域医療は崩壊するとともに多額の借金を地域住民が抱えることになることはみな指摘するところだ。

たろえば、中核病院には何人の医師が必要なのか。サテライト病院化される金木病院は救急体制を維持して中核病院をバックアップすることになっているが、そのためには金木病院に医師は何人必要なのか。

このように具体的な数値目標を出し、それが実現可能かどうかをまず第一に検討する必要がある。この目途がたたないうちに「財政支援」を優先させ、県から金を引き出して病院建設に走ることは極めて危険な賭けといわざるをえない。

最重点目標の第一は「医師確保」とすべきである。まずはこの大きな壁を突破することである。病院建設はその後で遅くはない。

危ぶまれる投票率

2007年05月21日 06時23分16秒 | その他
このたびの知事選は「事実上の信任投票」という見方が多い(『東奥日報』)。現職優勢のなか心配されているのが投票率だ。

50%を下回れば選挙で勝っても実質「信任」とは言えず、次にひかえる参議院選で野党に口実をあたえることが懸念されるという。

三村陣営は「地道だが、企業・団体などに投票に行くよう呼び掛ける。まず期日前投票に行ってもらう」という。

沖縄知事選挙を思い出す。

投票日当日の投票は基地反対の糸数慶子候補がまさっていた。ところが・・期日前投票を開けると圧倒的に仲井真弘多候補の票だったため糸数候補は敗れた。期日前投票と不在者投票の合計は前回知事選の2倍空前絶後の110,606票で、それは全投票数の16.53%にものぼった。

沖縄経済界のドンといわれる仲井真弘多氏が企業や団体に及ぼす影響力は多大なものだ。へたすれば企業の存亡にも関わる。また企業内をみれば、経営者や上司からの命令は絶対であって、社員が自由な投票行動などとれないわけで、それが組織選挙=期日前投票という形であらわれたことは明白だった。

これは民主主義なのだろうか。選挙ハラスメントではないだろうか。

三村陣営は公開討論会を蹴って組織選挙を選んだ。これは民主主義なのだろうか。候補者それぞれが一同に会して見解を述べるフォーラムの開催を期待していた県民は少なくない。(そういえば、夕張でもやっていた)

信任は信頼によって築かれるものだ。

知事選・候補者の主張

2007年05月20日 06時55分19秒 | 青森県の医師不足
6月3日投票の青森県知事選挙。争点のひとつが医療問題だ。3候補者の見解が報道されている。

現職候補者は「自治体病院機能再編成」を主張している。いわゆる集約化によってこの難局をのりきろうというわけだが、なんのことはない地域医療の切捨てであって青森県の医療・福祉の後退である。お先真っ暗だ。

他は医師の勤務改善などをはかり医師の確保をめざすというもの、地域の人たちが医療崩壊への危機感が不足しているのではないかと臆面も無く見当はずれのコメントを述べ「これという解決策はない」として他人事のような候補者もいるから驚きだ。この見識の低さには呆然とせざるをえない。

青森県の医療崩壊の原因を端的にいえば、関係者の対応がいつも後手に回ってきたということだ。

本日の地方紙に、県が看護師のUターンを促進する計画に取り組むことが報じられている。

・・五月十一日、国保旭中央病院(千葉県、九百五十六床)の院長らが県立保険大(青森市)を訪問。指導的立場に立てる新卒看護師の採用に意欲を示しながら、海外研修、奨学金、指導体制の充実ぶりなど、至れり尽くせりの病院の待遇をアピールした。・・県立保険大の関係者は「せっかく看護師を養成したのに、他県の就職先で離職し、そのまま現場に戻らない看護師がいるのは、非常な人材損失。本県の医療機関でずっと働き続けられる職場環境をつくってほしい」と強く訴える。
(『東奥日報』 http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070520143254.asp

県外に人材が流出する原因は県内の職場に魅力がないこと。そしてこのことはいま始まったことではない。千葉の旭病院ならず、全国からさまざまなメリットを携えて青森県から人材を募る。青森県はただゆびをくわえて見ているだけ。

いつでも後手、後手の青森県。なさけなくなる。