管理者あてドクターから貴重なご意見を頂戴しましたので、以下ご紹介いたします。
◇山陰の脳外科見習さんから
山陰の脳外科見習いです。たびたび送らせていただきます。
家庭を持っている女性医師は周囲のサポート(男性医師は必須)がなければまず復帰できないでしょう。無期限で求人しても女性医師はこないのではないでしょうか。
私の出身大学の近くの脳外科で有名な病院がありますが、そこの麻酔科の女医さんは、「夜間手術をすると家庭に影響があるのでできるだけ夜間全身麻酔はしないように」通達しておりました。
もちろん大多数の外科男性医師らは仰天、非難ごうごうでした。「それを主張するなら職場かわれ」とのこと。(なんと古風であられる、部長の方々)
埋め合わせのため、外科医で麻酔経験者が自前麻酔をすることも珍しくありません。(看護師さんのほうが知っていることすらあります)
ここから見えることは、医師をふやすだけでは全く病院は機能しないことです。
優秀な看護師がいれば、医師は7割の数で足ると思います。
昨今、中堅や私のような若手医師はそのことをよく理解していますので、医師確保だけを叫ぶのではなく、「看護師充実しています」とアピールするのがいいでしょう。
私が研修した脳外科関連病院でも、ほんとに優秀な看護師がいるところでは、いくら忙しくても夜コールも少なくて楽できました。ベテランが多く、若い人がいないはずなんです、働きやすいところは(それでも元看護師の我が妻は「たまらないね、生まれ変わったら絶対医者とは結婚せんわ」とのお言葉でした)
建設的な意見も必要かと思い送らせていただきました。
追記
ちなみに、私の現在の給料は、月収手取りは研修医以下で、18万です。(大学病院時間外手当てなし)ああ、早く上級医になりたいです。これは愚痴です、すいません。目指せ、年収600万!?(たぶん5年後。)これが現実です。
私は息子が医者を目指そうとしたらとりあえず反対しますね。
◇佐々木真人さんから
「現場医師の立場から提案する、医師確保のための策」
ある病院の循環器内科勤務医です
故郷に近いこともあって、金木病院の件は興味深く拝見しておりました。
まずは救急返上表明からの2ヶ月間の活動お疲れ様です。
コメント欄には医師からの意見がいろいろあったようですが、
残念ながら、おおむね批判的な意見が主体のようでしたね。
管理人さんの読みでは「3名集めれば救急は再開できる」とのことでしたが、果たしてそうでしょうか?
金木病院の実情はそれなりに知っていますが、7名の常勤医で当直を回すと月に4~5回は当直が回ってきます。
つまり朝8時から翌日の夕方5時までの連続33時間勤務が月4~5回という訳です。
眠らずに連続33時間勤務すると、性格の変化が起こってしまうほど脳は疲労します。
それを毎週1回以上ドクターはこなさなければなりません。
こんな勤務を1年も続ければ、完全に疲弊して医師としての使命感も理想もどこかに飛んでいってしまうもの。
ドクターから批判的な意見しかこないのは、医師の誰もがこのような悲惨な勤務を経験したことがあるからです。
「もう、このような勤務を医師に強いてくる病院は日本から無くなってほしい」というのが医師の共通の願いなのです。
これからは、管理人さん達も自ら医師を探すということですから、
どうしたら救急再開前提で医師を3人確保できるかヒントを書いておきます。
---------------------------
まず、新規に雇用する3名の医師は、プライマリーケア能力(一般内科および初期救急の基本事項がこなせる能力)を持った医師に限定する。
次に日中シフト:10時間(AM8時-PM6時)、夜シフト14時間(PM6時-AM8時)に勤務時間帯を分け、
常勤医7人が働くとすれば、その人員を下記に分割する
日中シフトA:火曜から土曜までの連続5日間日中シフト担当、1名
日中シフトB:日曜から水曜までの連続4日間日中シフト担当、1名
日中シフトC:月曜から金曜までの連続5日間日中シフト担当、4名
夜間シフト:土曜日から翌週金曜まで連続7日間夜間シフト担当、1名
日中シフトBを経験した医師が次の週の夜間シフトへ、夜間シフトをこなした医師は次の週に日中シフトAにうつる。
これを各週で回していく。
こうすることによって、応援の医師に頼らずとも、平日の日中は病院に常時5~6名、平日夜間および休日には常に1名の医師が確保できます。
日中-夜間のシフト切り替え時には2~3日間の休みが確保されているため、これなら十分継続可能になります。
病院が土曜日の午前中も営業している病院であれば、日中シフトCの勤務時間を土曜日午前にのばせばOKでしょう。
また、高齢や・どうしても毎週固定して外来を行う必要がある医師は日中シフトCに固定することで対応します(ただし、その分夜間シフトをこなす医師達とは給料に差をつける必要があるでしょう)
---------------------------
こうすることで、すべてのドクターが勤務の前後で休息をとりながら働いていくことができます。
実はこのようなシフト勤務は欧米での病院では当然のように行われています。
彼らは「労働者の最低限の権利を確保しなければ、組織の維持はできない」ことを良く知っているからです。
日本は病院経営に関するプロがほとんどいません。
このため、「すべての医師が、毎週同じように働く」ことのみに固執し、勤務形態を柔軟に考えることができず、ただ医師の献身的過剰勤務だけで凌いできたことが昨今の医療崩壊の最大の原因と考えます。
当直勤務から完全に解放される上記の勤務形態をセールスポイントにすれば、赴任してくれる医師は必ずいるはずです。
管理人さん達の健闘を期待します。
金木病院が新しい地域医療の魁となりますように。
平成18年12月31日
佐々木真人
・・・これまでわたしたちの運動に対してドクター方から数多くのご意見をいただいてきた。医療現場の実情を知らないものだという非難がそのほとんどだった。わたしたちの目指すところはあくまでも金木病院の救急維持にある。「医師確保」というきわめて困難な問題を解決するために、わたしたち地域住民はあらゆる方法に果敢に挑戦しなければならない。自ら医師を探すこともやぶさかにしてはならないし、またご指摘のように医師が勤務しやすい環境やシステムの提言も視野にいれなくてはならない。年明けて活動は「第三期」にはいる。全国のドクター諸氏からも医師確保と救急維持に関するアイデアを賜れれば幸いである。
◇山陰の脳外科見習さんから
山陰の脳外科見習いです。たびたび送らせていただきます。
家庭を持っている女性医師は周囲のサポート(男性医師は必須)がなければまず復帰できないでしょう。無期限で求人しても女性医師はこないのではないでしょうか。
私の出身大学の近くの脳外科で有名な病院がありますが、そこの麻酔科の女医さんは、「夜間手術をすると家庭に影響があるのでできるだけ夜間全身麻酔はしないように」通達しておりました。
もちろん大多数の外科男性医師らは仰天、非難ごうごうでした。「それを主張するなら職場かわれ」とのこと。(なんと古風であられる、部長の方々)
埋め合わせのため、外科医で麻酔経験者が自前麻酔をすることも珍しくありません。(看護師さんのほうが知っていることすらあります)
ここから見えることは、医師をふやすだけでは全く病院は機能しないことです。
優秀な看護師がいれば、医師は7割の数で足ると思います。
昨今、中堅や私のような若手医師はそのことをよく理解していますので、医師確保だけを叫ぶのではなく、「看護師充実しています」とアピールするのがいいでしょう。
私が研修した脳外科関連病院でも、ほんとに優秀な看護師がいるところでは、いくら忙しくても夜コールも少なくて楽できました。ベテランが多く、若い人がいないはずなんです、働きやすいところは(それでも元看護師の我が妻は「たまらないね、生まれ変わったら絶対医者とは結婚せんわ」とのお言葉でした)
建設的な意見も必要かと思い送らせていただきました。
追記
ちなみに、私の現在の給料は、月収手取りは研修医以下で、18万です。(大学病院時間外手当てなし)ああ、早く上級医になりたいです。これは愚痴です、すいません。目指せ、年収600万!?(たぶん5年後。)これが現実です。
私は息子が医者を目指そうとしたらとりあえず反対しますね。
◇佐々木真人さんから
「現場医師の立場から提案する、医師確保のための策」
ある病院の循環器内科勤務医です
故郷に近いこともあって、金木病院の件は興味深く拝見しておりました。
まずは救急返上表明からの2ヶ月間の活動お疲れ様です。
コメント欄には医師からの意見がいろいろあったようですが、
残念ながら、おおむね批判的な意見が主体のようでしたね。
管理人さんの読みでは「3名集めれば救急は再開できる」とのことでしたが、果たしてそうでしょうか?
金木病院の実情はそれなりに知っていますが、7名の常勤医で当直を回すと月に4~5回は当直が回ってきます。
つまり朝8時から翌日の夕方5時までの連続33時間勤務が月4~5回という訳です。
眠らずに連続33時間勤務すると、性格の変化が起こってしまうほど脳は疲労します。
それを毎週1回以上ドクターはこなさなければなりません。
こんな勤務を1年も続ければ、完全に疲弊して医師としての使命感も理想もどこかに飛んでいってしまうもの。
ドクターから批判的な意見しかこないのは、医師の誰もがこのような悲惨な勤務を経験したことがあるからです。
「もう、このような勤務を医師に強いてくる病院は日本から無くなってほしい」というのが医師の共通の願いなのです。
これからは、管理人さん達も自ら医師を探すということですから、
どうしたら救急再開前提で医師を3人確保できるかヒントを書いておきます。
---------------------------
まず、新規に雇用する3名の医師は、プライマリーケア能力(一般内科および初期救急の基本事項がこなせる能力)を持った医師に限定する。
次に日中シフト:10時間(AM8時-PM6時)、夜シフト14時間(PM6時-AM8時)に勤務時間帯を分け、
常勤医7人が働くとすれば、その人員を下記に分割する
日中シフトA:火曜から土曜までの連続5日間日中シフト担当、1名
日中シフトB:日曜から水曜までの連続4日間日中シフト担当、1名
日中シフトC:月曜から金曜までの連続5日間日中シフト担当、4名
夜間シフト:土曜日から翌週金曜まで連続7日間夜間シフト担当、1名
日中シフトBを経験した医師が次の週の夜間シフトへ、夜間シフトをこなした医師は次の週に日中シフトAにうつる。
これを各週で回していく。
こうすることによって、応援の医師に頼らずとも、平日の日中は病院に常時5~6名、平日夜間および休日には常に1名の医師が確保できます。
日中-夜間のシフト切り替え時には2~3日間の休みが確保されているため、これなら十分継続可能になります。
病院が土曜日の午前中も営業している病院であれば、日中シフトCの勤務時間を土曜日午前にのばせばOKでしょう。
また、高齢や・どうしても毎週固定して外来を行う必要がある医師は日中シフトCに固定することで対応します(ただし、その分夜間シフトをこなす医師達とは給料に差をつける必要があるでしょう)
---------------------------
こうすることで、すべてのドクターが勤務の前後で休息をとりながら働いていくことができます。
実はこのようなシフト勤務は欧米での病院では当然のように行われています。
彼らは「労働者の最低限の権利を確保しなければ、組織の維持はできない」ことを良く知っているからです。
日本は病院経営に関するプロがほとんどいません。
このため、「すべての医師が、毎週同じように働く」ことのみに固執し、勤務形態を柔軟に考えることができず、ただ医師の献身的過剰勤務だけで凌いできたことが昨今の医療崩壊の最大の原因と考えます。
当直勤務から完全に解放される上記の勤務形態をセールスポイントにすれば、赴任してくれる医師は必ずいるはずです。
管理人さん達の健闘を期待します。
金木病院が新しい地域医療の魁となりますように。
平成18年12月31日
佐々木真人
・・・これまでわたしたちの運動に対してドクター方から数多くのご意見をいただいてきた。医療現場の実情を知らないものだという非難がそのほとんどだった。わたしたちの目指すところはあくまでも金木病院の救急維持にある。「医師確保」というきわめて困難な問題を解決するために、わたしたち地域住民はあらゆる方法に果敢に挑戦しなければならない。自ら医師を探すこともやぶさかにしてはならないし、またご指摘のように医師が勤務しやすい環境やシステムの提言も視野にいれなくてはならない。年明けて活動は「第三期」にはいる。全国のドクター諸氏からも医師確保と救急維持に関するアイデアを賜れれば幸いである。