金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

財政再建とマスタープラン

2007年02月28日 08時42分38秒 | 金木病院を守ろう
【参考】『陸奥新報』http://www.mutusinpou.co.jp/news/07022702.html

五所川原市が財政健全化計画成案
会計規模50億円圧縮 5ヶ年計画 債権団体転落を回避

五所川原市は二十六日、財政健全化計画の成案を公表した。計画期間は五ヶ年(二〇〇七―一一年度)とし、期間中の財政試算を付した。人件費削減や建設事業の抑制により、〇六年度決算見込みでは約二百九十億円となる普通会計(一般会計を含む)の規模を、五年間で約二百四十億円程度にまで圧縮するなどし、財政再建団体への転落を回避する。
市は〇五年度から一般会計にカラ財源を計上。同年度は決算時に黒字化したが、〇六年度決算見込みは三億九千六百万円の赤字。〇七年度当初にも三億九千六百万円のカラ財源を計上する危機的状況にある。
・・・(中略)・・・
西北五地域自治体病院機能再編成に伴う中核病院の整備費は盛り込んでいない。マスタープランでは一一年度完成を目指しているが、市財政課によると、主たる元金償還の据え置き期間を考慮すると、財政見通しへの影響は大きくないとする。(2.27『陸奥新報』)

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財政見通しへの影響は大きくない・・・。計画通りに病院が機能してこそ償還も可能だ。ポイントはひとえに医師招聘にかかっている。この医師不足時代に55名の医師を維持することは可能だろうか。いずれにしろ据え置き期間はあれ、借金は借金。市の危機的財政状態を見て199億円もの中核病院建設が将来大きな財政的負担になるのはだれの目にも明らかだろうと思う。

中核病院建設構想は7~8年前にはじまったと聞くが、医療現場がその後急激に変化したことを考えると、はたしてマスタープランで地域医療が守れるのかといった根本的な問題にまでメスを入れ再検討することも必要ではないかと考える。

兵庫県但馬では住民270人が集会を開き再編撤回をアピールしたという。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hyogo/news/20070226ddlk28040262000c.html

医療連携と現存の施設の改築などによる有効利用によって金のかからない現実的な対策こそが今求められているのではないだろうか・・市の財政危機にそんな思いを懐いた。

県医師不足の構造

2007年02月26日 06時33分26秒 | 青森県の医師不足
本県の充足率東北一 新年度臨床研修 弘大含めると最低に
『東奥日報』07.2.25 http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070225091238.asp

新年度、卒後臨床研修を予定している医学生と研修指定病院の組み合わせ(マッチング)で、大学病院を除いた臨床研修病院の充足率は本県が74.6%で、東北六県のうち最高だったことが、医師臨床研修マッチング協議会の調べで分かった。逆に大学病院を含めると本県の充足率は51.7%と東北で最低。弘前大学医学部付属病院の充足率低迷が、県全体の数字に大きな影響を与えていることが浮き彫りとなった。

弘大病院を除いた本県の十一の臨床研修指定病院の定員は七十一人。これに対し本年度、五十三人の医学生の臨床研修希望者があり、充足率は74.6%と前年度より10ポイントも伸び、東北六県平均65.6%を大きく上回った。

県立中央病院(青森市)、青森市民病院、八戸市民病院、十和田中央病院が充足率100%に達し、県全体の数字を大きく押し上げている。

一方、弘大病院は四十七人の定員に対し研修希望は八人にとどまり、充足率は17%と全国国立大病院で最低。この影響で大学病院を含めた本県の充足率は51.7%と東北最低、全国ワースト5位となった。

※ 東北6県のマッチング結果(2007年度)

青森 臨床研修病院マッチ数  53/71 充足率(74.6%)
    大学病院マッチ数     8/47 充足率(17.0%)
岩手 臨床研修病院マッチ数  53/76 充足率(70.0%)
    大学病院マッチ数     3/30 充足率(10.0%)
宮城 臨床研修病院マッチ数 78/134 充足率(58.2%)
    大学病院マッチ数     27/40 充足率(67.5%)
秋田 臨床研修病院マッチ数  58/87 充足率(66.7%)
    大学病院マッチ数     11/40 充足率(27.5%)
山形 臨床研修病院マッチ数  42/62 充足率(67.7%)
    大学病院マッチ数     29/50 充足率(58.0%)
福島 臨床研修病院マッチ数  60/94 充足率(63.8%)
    大学病院マッチ数     22/45 充足率(48.9%)
合計 臨床研修病院マッチ数 344/524 充足率(65.6%)
    大学病院マッチ数    100/252 充足率(39.7%)

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要するに、本県の臨床研修医充足率は東北で最下位である。その原因は弘前大学医学部附属病院に臨床研修医が残らないことにある。もとより北東北の医師不足は特に深刻なおりから青森県の充足率は全国でも最下位クラスであることは想像に難くない。

金木病院のような地域の病院が医師招聘を行う場合、まず県にお願いする。そして県は弘前大学にお願いするというのが従来のパターンであるが、弘前大学自体が臨床研修医不足に陥っていて医療現場で彼らのサポートが得られないためベテラン医師が地方の病院へ赴くことができないというのが青森県の医師不足の構造である。今日の報道で、18診療科・474床・479人の職員数をほこる青森労災病院が弘大派遣医の異動により常勤産科医不足となり4月から分娩が中止になることが明らかになった・・・。

仮に東北平均39.7%の臨床研修医が弘前大学医学部附属病院に残ったとすれば、18.6人となり現在より10.6人増える。もちろん単純計算だが、6つの医療圏に1~2名の医師を派遣することが可能となる。もしも宮城のように67.5%を達成することができれば23.7人増となり各医療圏に3~4人の派遣が可能となる。

大畑が救われる。金木病院の救急復活が現実のものとなる。中核病院構想と医師不足で野戦病院化したむつ総合病院も八戸市立市民病院もひといきつけるし、深浦の赤ひげ先生をサポートする医師も招聘できるかもしれない・・と考えたら、弘前大学医学部附属病院の役割の大きさと責任の重さをあらためて感じたものだ。臨床研修医にとって魅力ある現場となるよう全力を尽してもらいたい。

【参考】弘大の研修医充足率が全国最下位(『東奥日報』06.10.20)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20061020093943.asp

小児科医の過労死

2007年02月25日 06時39分23秒 | その他
時間外勤務が月100時間超、小児科医の「過労死」認定
2007年02月23日12時30分
『朝日新聞』http://www.asahi.com/national/update/0223/TKY200702230220.html

北海道北部の2カ所の総合病院で勤務し、03年10月に突然死した旭川市の小児科医(当時31)の遺族から出されていた労災申請について、北海道労働局は労災を認定し、遺族補償年金の支給を決めた。
医師は02年4月から03年8月まで、道北地方の公立病院で働き、同年10月から別の民間病院に移り、6日目に亡くなった。申請を担当した弁護士によると、公立病院時代に月の時間外勤務が平均100時間を超え、泊まり込みの当直も3、4回。病院外で救急患者のため待機する当番も月20~25日あり、多い日は1晩に5回呼び出された。民間病院でも5日間で32時間の時間外労働をした。遺族は過労死にあたるとして04年11月に労災認定を申請していた。
医師の遺族は労災保険の対象ではない公立病院の勤務も過労死にあたるとして、05年1月に地方公務員災害補償基金北海道支部に公務災害の認定を求めた。昨年12月に資料不足などを理由に却下されたあと、現在、不服申し立てをしている。

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医師不足が、命を救うべき医師の命を奪ってしまった。医師招聘がままならないまま医療現場は容赦なく動く・・・空恐ろしい光景だ。

そういえば先日の地域医療研主催のシンポジウムで、地域の人々が医師に感謝することが大切だ(対馬逸子代表)とか、「医師が意欲をもって働けるような環境づくりを地元のみなさんがつくってくれないと(医師は)なかなか定着しない。定着しなければ医師不足というものは解消しない、ということがあろうかと思います」(佐川誠人県医療薬務課長)という発言があった。

なかには例外もあろうが、一般的に患者は医師に感謝している。私が聞いたひとたちはみな医師に「ありがとうございます」というそうだ。いったいどこの病院の話をしているのだろう、首をひねらざるを得ない。県の発言にも仰け反る。まさかそんな「のどか」な方法で医師を招聘・維持できるわけがない。本気だとしたらあまりにも現状認識が甘すぎるし、本気でないとしたら住民を惑わすものだ。深刻な医師不足と医療崩壊をむやみに住民の責任に転嫁するのはどうか。先の暗い青森県の医師不足対策の一コマではある。

※深刻な医療現場。(署名運動を揶揄するくだりは少々頷首できませんが・・・。)
【産科を閉じて】(flash)

医師アンケートたたき台

2007年02月24日 06時22分42秒 | 医師アンケート
医師アンケートをおこないますので、アンケート項目に関して医師各位からご意見を募ります。3月早々に青森県内の総合病院(医局長あて)に発送し、郵送・FAX・e-mailのいずれかの方法で3月末日までにご回答をいただく予定です。早速集計し、当ブログ等で公開します。

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青森県内総合病院
医局長 各位
金木病院の救急体制を維持する会
事務局 ○○○○ 拝

アンケートご協力のお願い

青森県の医師不足はきわめて深刻な状況です。この高いハードルを乗り越え青森県の医療を確立するためには、管理者・医師・住民の三者が一体となって問題解決に取り組む必要があると考えます。自治体の姿勢および住民の声はメディアでもしばしば取り上げられています。しかし、実際に医療現場を担う医師の生の声をお聞きする機会がなかなかありません。そこで、医療の主体者である医師のアンケートを企画いたしました。ここから、より現実味のある青森県の医療体制の未来像が開けるものと思慮するところです。
つきましては、趣旨ご理解いただき、貴病院の医師のみなさまにアンケートにご協力くださいますよう、よろしくお願いをいたします。

【アンケートご回答】
3月31日までに
①返信封筒
②FAX(0173-○○-○○○○)
③e-mail(kinbyou@mail.goo.ne.jp)
のいずれかにてお願いいたします。
なお、アンケート集計結果はブログ「金木病院」等にて公開いたしますことをご了解ください。
ブログ「金木病院」 http://blog.goo.ne.jp/kinbyou/


青森県内総合病院勤務医アンケート

1. あなたのご出身は?
A 青森県
B 青森県以外の東北
C 北海道
D その他(     )

2. あなたは何科の医師ですか?
A 内科
B 外科
C 小児科
D 産婦人科
E その他(     )

3. どのようにして今の病院に就職されましたか?
A 医局(又はそれに準ずる組織)から出向中
B 医局(又はそれに準ずる組織)からの紹介で
C 知人の紹介で
D 雑誌やネットの応募で
E その他(     )

4. 現在、時間外勤務は週に何時間程度ですか?
A 週に50時間以上
B 週に30時間以上
C 週に10時間以上
D ほとんど無い
E その他(     )

5. このまま今の病院に残りますか?
A 残る
B 待遇が改善したら残る
C 医局(又はそれに準ずる組織)に従う
D 大学に帰りたい
E 開業する
F 民間医療法人に就職する
G その他(     )

6. 最近、地方の医師不足が言われておりますがご存知ですか?
  A 知っている
  B 聞いたことがある
  C 実際に感じている
  D 知らない
E その他(     )

7. 地方の医師不足にはどんな問題があるとお考えですか?
A 地域住民の問題
(具体的に)
B 医師の問題
(具体的に)
C 病院管理の問題
(具体的に)
D 国策の問題
(具体的に)
E これら全部の複合的問題
(具体的に)
F その他
(具体的に)

8. ところで・・・患者さんにひどいことを言われたことがありますか?
A ある
(具体的に)
B ない
(具体的に)
C その他
(具体的に)

9. これからも地域医療を支えるために、医師はどのように努力すべきでしょうか?
A 全力でサポートすべきだ
B やれる範囲でサポートすべきだ
C 医局(又はそれに準ずる組織)の人事に従う
D 早く撤収したい
E その他(     )

10.自分の子どもを医師にしたいと思いますか?
A そう思う
B そうは思わない
C 開業医ならしたい
D 勤務医ならしたい
E その他(     )

☆アンケートご協力ありがとうございます。以下、別枠のアンケートにもご協力ください。

【救急勤務】
1. 救急勤務をするうえでもっとも重要視するのは?
A 高い給与
B 当直明けが休みとなること
C 訴訟やクレーム等のバックアップ
D 看護師等のスタッフの充実
E 設備
F その他(     )

2. 救急勤務をするうえでもっとも疑問視するのは?
A 安い給料
B 当直明けの平常勤務
C 専門科以外の対応
D いわゆる「コンビニ受診」
E その他(     )

【医療過誤裁判】
大野病院事件についてあなたはどう思いますか?
A 被告は無罪
(具体的に)
B 被告は有罪
(具体的に)
C 医療過誤の定義に疑問がある
(具体的に)
D 医療は聖域だから、通常の裁判になじまない
E 過酷な医療現場では起こりうる事故で、問題のすり替えだ
F 原告の気持ちを察すれば、責任を問われるのも止むを得ない
G その他(     )

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市議会議長へ「請願書」提出

2007年02月23日 06時43分03秒 | 金木病院を守ろう
五所川原臨時市議会での議長選任にともない、本日「維持する会」が議長あて請願書を提出した。(以下、「請願書」)

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2007年 2月23日

五所川原市議会議長

斉藤 一郎 殿

請願者

住所
青森県五所川原市○○○

氏名
金木病院の救急体制を維持する会 代表(事務局)○○○○ ㊞       

紹介議員

○○○○ ㊞
          

金木病院の救急体制復活に関する請願書


1. 請願の趣旨

公立金木病院の救急体制は1964年以来42年にわたって地域4万人の健康と命をまもってきました。このたび2007年1月1日をもって救急が取り下げられたことは地域の人々に大きな衝撃と不安を与えました。二万人署名は救急体制回復の住民の切なる願いでありいまも変わりません。一日も早い救急体制の復活を請願いたします。

2. 請願項目

(1)医師確保の専門チームを早急に組織し、積極的に招聘に取り組むこと。
(2)救急体制を維持し持続するために、圏内病院間の連携や指定管理者制度の導入をも視野にいれた金木病院の医療体制を抜本的に見直すこと。

以上、地方自治法第124条の規定により請願します。

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ちなみに請願を審議する民生常任委員会は

委員長  秋元洋子(旧金木町 「自民クラブ」)
副    田中賢一(旧金木町 「誠風会」)
委 員  平山秀直(旧五所川原 公明一人会派)
     山口孝夫(旧五所川原 「誠風会」)
     野呂国四郎(旧五所川原 「済済会」)
     加藤 磐(旧金木町 「自民クラブ」)
     工藤武則(旧市浦 「自民クラブ」)

公立金木病院組合議員は

古川幸治(旧金木町 「自民クラブ」)
松野武司(旧五所川原 「済済会」)
秋元洋子(旧金木町 「自民クラブ」)
桑田 茂(旧金木町 民主党一人会派)

各位には金木病院の救急回復のために鋭意努めていただきたい。

西北五地域医療シンポジュウム

2007年02月22日 06時47分29秒 | 金木病院を守ろう
2月21日、五所川原市で約60名が参加し「西北五地域医療シンポジュウム」が開催された。知事の講演に続いて同市西北中央病院相澤中院長・同市市浦医科診療所岩村有泰所長・佐川誠人県医療薬務課長・対馬逸子西北五地域医療研代表がそれぞれの立場から、中核病院構想推進の意見を述べた。

医師不足を解決するために青森県は中核病院医療再編成を打ち出した。この構想は全国に先立っておこなわれたものだ。後がない青森県の切羽詰った苦肉の策と言えないこともない。

このシンポジュウムで、西北五圏域の中核病院構想の実現には解決すべき問題が山積していることが明らかになった。知事が語るバラ色の医療体制を西北五地域に実現すること(いわゆるマスタープラン)の道の遠さに参加者はのけ反った。具体的な見通しがなにもないのである。

長期的取り組みはおこなわれているものの、目前の医師確保の目途がたたない。199億円の中核病院建設で国や県からどれだけ援助が得られるのかも未定。佐川誠人県医療薬務課長によれば、規模の縮小もありうるという。さらには、マスタープランはまだ構想の段階だから住民に公開できる段階ではないという(相澤)。これはおかしい。なぜなら、すでに建設用地は決定し具体的に事業がスタートしているからである。先行きどうなるかは不明、住民には内容を知らせない・・・こんな中核病院構想など成立するわけがないし住民に支持されるわけがない。

失敗すれば多額の負債を抱えると同時に西北五地域の医療の砂漠化は避けられない。シンポジュウムを主催した県の下部組織「地域医療研」よ、あなたたちはどこを見ているのか。いいかげん目を醒ませと言いたい。


同シンポジュウム開会前に、三村県知事あて「要請書」をお届けした。以下、その文面。

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2007/02/21

青森県知事
三村 申吾 様

金木病院の救急体制を維持する会
事務局      一戸彰晃 拝

金木病院の救急体制を復活する要請

知事におかれましては、日々ご公務にご精進のことと拝察申し上げます。さて、本日「西北五地域医療研究会」と県が地域医療シンポジウムを開催するにあたり、当金木病院を維持する会として以下の要請をおこないたいと存じます。

1. 青森県の医師充足率が43%という全国だんとつの最下位である状況を直視し、なぜこのような医療崩壊がおこったのかの原因を明らかにし、同じ轍を踏まないようそこから青森県の医療体制を再構築すること。
2. 西北五地区のいわゆるマスタープランが当地域の医療崩壊を防ぐことができるか否かは、以下の二点に集約されると思います。多額の税金を投入する事業だけに慎重な取り組みをお願いします。
イ) 中核病院構想の妥当性・・・収支および運営面で無理はないのか。
ロ) 中核病院持続の可能性・・・最重要課題である55名の医師招聘と維持をどうやって実現するのか、具体的方策はあるのか。
3. 県が「自治体病院機能再編成」を推進する一方で、県内の地域医療崩壊が大きな社会問題となっています。今日明日の住民の命がかかっているこの焦眉の問題について早急に対処くださるようお願いいたします。
4. 43年間地域4万人の命をまもってきた金木病院の救急体制は、その役割の重要性から中核病院構想でも維持することが謳われています。金木病院の救急体制なくして中核病院構想も成立しません。一日も早く救急が復活されるよう、県のご協力を仰ぎます。
5. 医療の砂漠化を防ぐには病院管理者・医師・住民の三者一体の取り組みが必要です。医師の勤務状態の改善や病院機能のスリム化など取り組むべき課題は山積しています。これら深刻かつ根本的な問題を議論しつつ中核病院構想に取り組んでいただきたい。青森県の医療をどうやって守り育むのかという大原則を常に視野に入れた県の積極的な取り組みに期待します。青森県を日本一の医療県にしてくださるようお願いします。

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彦根市の取り組み

2007年02月21日 07時03分56秒 | その他
産婦人科医確保へ待遇改善   彦根市、対策費3800万円計上

『京都新聞』http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007022000142&genre=A2&area=S20

滋賀県彦根市は市立病院の産婦人科医師を確保するため、2007年度から医師に着任支度金の支給や待機手当の増額など待遇を改善する。

26日開会の3月定例市議会に提案する市立病院事業特別会計予算案に、医師確保対策事業費として3800万円を計上した。

医事課によると、支度金は他の医療機関から着任する医師に1人あたり50万円支給する。予算案には2人分を計上した。手術などの待機手当ては、現行の1回あたり昼9000円、夜1万2000円を、4月から昼1万8000円、夜2万円に増額する。

また、医師定着のための職場環境改善策として、研修や研究用の医療用品や映像機器などを200万円で購入する。医師の不足分を助産師による出産で補うため、新たに助産師5人を採用する。

さらに、看護師学校に在籍する学生3人を対象に、1人あたり1カ月5万円の奨学金を貸与。看護師と助産師に移転料(転居費用と交通費)を1人あたり13万6000円負担する。

彦根市立病院の産婦人科医師は3月末で現行の3人から1人に減るが、後任医師が決まっておらず、4月から診療を制限する。

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市が住民の願いに応えるのはいわば当然のことなのだろうが、昨今の住民不在の行政をあまりにも多くみせつけられてきたわたしどもにはとても新鮮に見えるのは皮肉だ。

五所川原市の教育長が3月議会を前に辞任した。「市長と市当局に猛省を促す」ための辞任という。

新年度予算に市内小中学校の障害のある子どもたちのための教員配置などを要求したが、市長に「金がない。ダメだ」と言われたという。一方では199億円の中核病院建設に問答無用で金をかける市の体質に嫌気がさした教育長の行動は理解できる。

内容を充実させていく努力を捨て、ハコモノに巨額の投資をすることで窮状を乗り切ろうとする政治手法はすでに古い。

霧の中の処方せん

2007年02月20日 08時05分26秒 | 金木病院を守ろう
第四部  模索と実行 ⑥

「西北五の中核病院構想」 医師確保「至難の業」

東奥日報 http://www.toonippo.co.jp/

手厳しい意見が飛んだ。「病院再編のマスタープランなんて何も知らされていない。問題点、課題を住民に知らせるべきだ」
昨年十一月、青森市で開かれた地域医療を考える県民フォーラム。五所川原市の菅原寛太さん(五九)の口調は厳しかった。菅原さんは訴える。「財政など課題が多いと聞くが、その情報さえ知らされていない。市民と一緒に病院をつくっていく視点が欠けている」
西北五地域で進む自治体病院の再編。基幹病院に高度医療を集め、効果的な医療を展開する。地域が”一つの病院”となって、地域で医療を完結させる―という壮大なプロジェクト。医師不足と病院経営悪化を解決する切り札と注目されるが、克服すべき課題はあまりにも多い。
「新中核病院の医師をどこから連れてくるのだろうか。現在の西北中央病院(五所川原市)でも、いくつかの診療科の維持がやっとなのに」―。西北中央病院関係者は声を潜めて語る。

圏域住民に対し責任

二〇一一年完成予定の新中核病院は五十人余りの常勤医を想定。現在の西北中央病院は三十二人(二〇〇六年五月現在)。圏域の病院の医師を全部集めてきても五十七人。
将来、弘大医学部は優先的に新中核病院に派遣すると言うが、県内で絶対的に不足している脳外科医、麻酔医を集めることができるのか。相澤中・西北五中央病院長は言う。「至難の業。今以上に病院に患者が集まるので、複数の脳外科医は必要だ。ただ、目標を掲げた以上、これを放棄するわけにはいかない。圏域の十六万に対し責任を果たさなければ」
中核病院の整備事業費百九十九億円も重くのしかかる。六市町村の負担割合は決まった。しかし、国や県からどのくらい補助されるのか全く不明だ。財政状況が厳しい中、約八割の事業費を負担する五所川原市で多額の借金返済が可能かどうか。
中核病院周辺の病院(サテライト病院)の役割・規模も決まっていない。「中核病院だけを見切り発車させた再編構想」と呼ぶ人もいる。再編の方向性を示した「マスタープラン」では、鶴田町立中央病院、つがる成人病センターの無床化が示されているが、つがる市が病院存続を望んでいる。「地域住民のためにも病院機能は維持したい」と福島弘芳・つがる市長。新年度からの協議の行方が注目される。

正直に情報出し合い

中核病院完成前に地域医療が崩壊するという声もある。現に金木病院は救急車受入れを休止した。鯵ヶ沢中央病院の事務局は「金木のことは人ごとではない。医師確保では相当な危機感を抱いている」。
新中核病院をめぐる期待と不安。マスタープランが掲げる住民ニーズに対応した医療が実現するのか。医師が集まらず、借金と建物だけが残ってしまうのか。
現在の西北中央病院は、駐車場から車があふれ出し、小泊地域を朝早く出た患者が長時間待たされ、建物が老朽化し、水道管修理に多額の費用がかかる。
地域フォーラムで苦言を呈した菅原さんは、中核病院構想自体は賛成だという。障害のある子供を養っているだけに病院のバリアフリー化、交通アクセスの整備を訴える。
「患者、障害者、高齢者の視点で病院をつくらなければ、使い勝手の悪い箱物になってしまう。情報を正直に出し合って、住民を含めて問題を一つずつ協議・検証してほしい。自治体病院は住民のための病院なのだから」

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凄まじい内容だ。中核病院の必要性を理解できないわけではないがほかの選択肢はなかったのだろうか・・・周辺の病院を無くせば患者は一極集中し、その結果オーバーフローをきたす。また通院に長時間かかり患者の負担は増加する。建設費の捻出やもっとも重大な医師確保も不透明なまま。県内では八戸市立市民病院とむつ総合病院が中核病院として先例がある。この地域は医師不足によって病院機能が麻痺しつつある。五所川原だけなぜ成立すると言い切れるのだろうか。懸案は何一つ解決されていない。

>目標を掲げた以上、これを放棄するわけにはいかない。圏域の十六万に対し責任を果たさなければ(相澤中・西北中央病院長・「西北五地域自治体病院機能再編成推進委員会委員長)

これはもう、破れかぶれとしか言いようがない。そもそも地域住民のコンセンサスも得ないで、また議会で十分な議論がなされないまま作られた構想ではなかったか?「圏域の十六万に対し責任を果たす」ということは地域医療をまもることである。「一度決めたからあとへは引けない」などという意地で強行されては住民はたまったものではない。「山は登るより、登るのをやめる方がよりおおきな勇気を必要とする」のである。状況による柔軟な対応が欲しい。

西北中央病院を改修する、金木・つがる・鶴田の各病院の役割分担と緊密なネットワーク構築など現在ある施設とマンパワーを有効活用することが現実味のある取り組みだろうと思う。自治体病院勤務医の過酷な勤務状況を改善し医師の退職を防止する。魅力ある指導体制を確立し研修医を招き入れるなど、医師不足対策に真剣に取り組むことは言うまでもないことだ。

あす、五所川原市で地域医療シンポが開催される。県の進めるグランドデザインと住民の支持が得られない現在のマスタープランに批判が集まるのは必定だ。住民の声が尊重されるシンポジウムであることを期待したい。

原発と医師派遣

2007年02月19日 06時50分36秒 | その他
プルサーマルが命綱か!?  (『週間金曜日』取材班)

ついに内科常勤医がゼロになる――。全国の自治体病院が慢性的な医師不足に陥る中、静岡県御前崎市の市立御前崎総合病院(旧町立浜岡総合病院、以下「御前崎病院」)も例外ではなく、二〇〇五年秋、病院設立以来の危機を迎えていた。
「総合病院」の内科常勤医がいなくなるという絶体絶命の状況。新研修医制度の影響などで、地方の大学病院も深刻な人材不足に陥る中、中部電力・浜岡原子力発電所の“城下町”である御前崎市には、国策推進自治体としての独自の強みがあった。
「プルサーマルを認める代償として医師を派遣してもらったのだろう」同市の清水澄夫議員はこう分析する。
・・・(略)・・・
中部電力の「プルサーマル」申請に先立ち、御前崎病院に対し、浜松医科大学(静岡県浜松市)から新たに院長を含む五人の内科医が派遣されることが決まった。
浜松医大は当初、石原茂雄・御前崎市長や病院幹部の内科医派遣要請に対し、「『ない袖は振れない』と、にべもなかった」(病院関係者)という。突然の朗報の裏には、病院という場独特の「学園争い」も絡んでいるようだが、国策推進の有無とも切り離せない関係にあったようだ。
「どこの病院も医師不足で、そう簡単に医師はこない。原発立地地域ということもあって、中部電力や県などのいろいろな関係者が水面下で動いてくれて実現した」。別の議員もこう話す。
これを裏付けるように、〇五年六月から一〇月にかけて開催されたタウンミーティングの場で、住民から医師不足への対応について質問された石原市長は、「中部電力を通じて、名古屋大にもお願いしている」と説明している。さらに同年一二月の定例議会でも、医師不足について質した市議の一般質問に対し、市長は「この病院の設立の経緯を考えますと、必ずしも今回のプルサーマル問題と無関係であるとは思っておりません」と答弁している。
しかし、これに対し、当の中部電力は「御前崎市から医師不足の問題について依頼はありました。それに対する当社の対応については、関係箇所もあることですので、公表することははばかれます」(広報部)。大学への働きかけの事実については肯定も否定もせず、「答えられない」とした。・・・(以下、略)
(『週間金曜日』2007.2.16 p.56から)

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ありうることだと思った。国策優先によるアメとムチに医療も晒されている。県内の大畑診療所常勤医不在問題をどうしても重ねてしまう。大畑も原発関連で揺れ動いたところだ。

【参考】
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20060815080524.asp

http://homepage3.nifty.com/ksueda/waste0205.html


原発関連施設の受入れを表明すれば医師を招聘できることになるのだろうが、そんなアメはまっぴらゴメンだ。太宰治は生涯権力を斜めに見続けた。へつらいだけはやめようと思う。

医師を求めて

2007年02月17日 17時49分29秒 | 青森県の医師不足
爆弾低気圧が荒れ狂うなか、関西の医療法人へドクターさがしに赴いた。飛行機は欠航となり、現地まで新幹線を乗り継いで行った。自宅を出たのが朝6時。着いたのが午後3時。この国は広いなとしみじみ思った。

不在の間、注目すべきニュースが多々あった。東奥日報紙が「霧の中の処方せん」第四部をスタートさせた。県病の看護師が、40代の看護師だけに勧奨退職者制度を適用しないのは不公平と県に要求したこと。読者投稿欄には「地域医療に関心持って」と題して遠野の医師招聘アイデアである「馬」の取り組みを紹介し、医師の待遇問題と医師へ地域医療への関心の喚起を促した。

そんななか、特に目を引いたのが七戸病院の昨年度の赤字が4億円にのぼったという記事。原因は産科医の廃止や整形外科医の減員とある。金木病院も慢性的に赤字をかかえてきたが1億数千万どまりだったことを考えるとこの赤字額は危機的である。医師不足による診療科の減が公立病院を崩壊させる端的なケースと言える。瀕死の状態に苦しむ大畑診療所は常勤医招聘ままならず、いまだ明るさが見えない。大畑の例を見れば、県が推進する中核病院構想の危うさがよくわかるのではないだろうか。金木病院も徐々に規模縮小を余儀なくされる不安にかられる。

21日、当西北五地域の中核病院構想を喧伝するためにシンポジウムが開催される。知事自身も講演する県肝いりの集会である。「医師不足の切り札--中核病院」といったところが主題となるのだろう。大畑の例をどう取り扱うのか興味がある。

青森県には民間の総合病院は無いといっていい。だから自治体病院の役割は非常に大きいものがあるし税金も投入されている。話ははじめにかえるが、多忙中わざわざわたしの為に時間を割いてくれた某民間医療法人理事長との対話は、医師招聘という具体的成果はなかったものの、大きな収穫があった。それは、民間医療法人は病院運営のためにあらゆる方法を検討しそれに果敢に挑戦しているという事実である。その緊張感にわたしは襟を正したものだ。自治体病院は税金が投入されていることの意味を勘違いしてはこなかっただろうか?それは地域医療を守るために投入されてきたわけであって、運営努力を怠ってよいということではないだろう。

大都会とはいえここでも医師不足は深刻な問題だった。医師にとって魅力ある現場を提供する病院は生き残り、そうでない病院は消えてゆくのである。自治体病院は民間医療法人に学ばなければならない・・これがこのたびの医師探しの旅から得た大きな教訓だった。