伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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モトカレ

2023-05-15 20:00:21 | ちょっといい話

今日は雨時々風雨

溜まった新聞を読む

道新の13日の夕刊「まど」欄を読み

胸が詰まる。

モトカレ

 札幌市内の喫茶店で開かれた「エッセイの会」の例会で、浜正吉さん

(82)はある女性にまつわる作品を自ら読んだ。「いい話だね」と口をそろえる

出席者の姿を見て、肩の荷が下りた気がした。

 浜さんは高齢者施設で絵手紙を教えるボランティアを務めてきた。7、8年前

描き終えた作品を前に、思い出に浸る90歳ぐらいの女性が目にとまった。

 花の絵だった。「どなたに出すのか」と聞いたが、かすかな声で聞こえなかった。

施設の職員が再度尋ねると「モトカレ」と聞こえた。思いがけぬ返答に周囲が騒が

しくなった。

 騒ぎが収まり、話を聞いてみた。女性には娘時代に結婚したい人がいた。太平洋

戦争が始まり「モトカレ」は学徒出陣で戦地へ向かった。米軍の攻撃で、船が沈没

した。戦死の報に接し、三日三晩泣き続けた。

 戦後見合い結婚した。夫の死後、一人でいると時々「モトカレ」を思い出すのだと

いう。

 浜さんは、女性の他界を人づてに知った。例会で発表した彼女の秘めた思いに広が

った共感。人を思う気持ちは時代が違っても同じ、と伝えられたことにほっとしている。

 


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