伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ202

2021-07-18 18:47:26 | ジャコシカ・・・小説

 少なくとも家族は皆、そう思っている。

それに元来姉は、隠しごとのできるタイプではない。 直裁な物言いは避けるが、かと言って言う

べきことは言う、伝えるべきことはしっかりと伝える。

 要するに自分にも人にも正直だ。

 その姉が一瞬ひるんだ様子で妹を見た。

 それからはね返すように言った。

 「まだ」

 千恵はさすがに少こし後悔した。

 短い白の前掛け姿のマスターが、笑顔で近付き清子を見る。

 今日はいつもの若い娘はいないようだ。

 清子も笑顔を返して、いつものコーヒーをオーダーする。

 落ち着いたその姿に、またも大人の女を感じてしまう。

 やはり姉にはかなわないし、生意気を言っても、自分はただの女子高生なのだと、思い知らされ

る。

 「で、特に何かある」

姉がマスターに向けた笑顔を収めてたずねる。 これもいつもの待ち合わせの時の、きまり文句だ。

 そこで千恵は今の今まで考えてもいなかったことを、すらすらと口から送り出す。

 多くは学校のことや友人のことだ。

父や母のことは当然ながら、滅多に出てこない。 何せ毎日顔を合わせているのだから。

 家族のことではやはり、嫁いだ姉のことやその子供達のことが多い。

 父から聞いたことや、母の考えや物言いについて、二人で今一度反芻したり、自分達の考えを交

換し合ったりする。

 


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