伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ14

2018-03-19 22:59:55 | ジャコシカ・・・小説
 高志は朦朧とした眼で、それ等の様子を眺め、一瞬ここは何かの秘密基地ではないかとさえ思っ

た。

 もしかしたら自分は、とんでもない所にまぎれこんでしまったのではないかという不安に襲われた。






 一週間後の開店を控え、店内は足の踏み場もなかった。

 渋谷の表通りから路地を入って直ぐにある、7階建てのビルの1階の店は、30坪とさして広く

はなかったが、入口には大きなショーウィンドゥがあり、周囲の店と比べても見劣りしない。

 ブテイック「フローラ」の名は、社長の桐山の命名だが、店長の佐々木優美も気に入っていた。

 誘われて入社した杉野あやも悪くはないと思っていた。ただ一つ彼女には気がかりな点があった。

運びこまれた商品はともかく、既に仕上がっていた店内のデスプレイが重た過ぎると思ったのだ。

 優美からはあらかじめ話は聞いていたが、社長の桐山が扱う輸入アンテイク家具をデスプレイと

して配置していて、それが多過ぎると思った。

 だから初めて店内に足を踏み入れた時は思わず「紳士物も置くのですか」と訊いた。

 「案内通り婦人物専門よ」

 優美は力をこめて言ったが、あやの違和感は拭えなかった。

 優美の力の入った断定的な言い方も少し気になった。しかしこれもまた新しい時代感覚かも知れ

ない。まずは異質なものでも拒絶せずに慣れることだ。

 とやかく言って批評できるほどの知識や経験がある訳でもないし、自信がある訳でもない。

 そう考えたらアンテイク西洋家具との組み合わせも、悪くないと思えた。


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